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2022.12.1

【12月のおすすめ展覧会5選】智積院の名宝から北斎かける百人一首、諏訪敦の個展まで

残すところあと1ヶ月。毎月の見ておきたい展覧会を紹介する「おすすめ展覧会5選」も今年最後の更新となりました。この1年、どのような展覧会との出会いがあったでしょうか。

『京都・智積院の名宝』の会場となるサントリー美術館の展示室風景。※「リニューアル・オープン記念展 Ⅰ ART in LIFE, LIFE and BEAUTY」にて撮影。

12月も見逃せない展覧会が少なくありません。日本美術と現代美術家の個展を中心におすすめをご紹介します。

写実絵画から感じる人間の尊厳。美術家、諏訪敦の個展が府中市美術館にて開催

1967年生まれの画家、諏訪敦。卓越したリアリスム表現による、緻密で再現性の高い人物の絵画などで知られ、日本における写実絵画のトップランナーとして高く評価されてきました。また単にモデルをリアルに描くのではなく、丹念な調査の実践や膨大な取材に基づいて制作するのも特徴で、眼で見える通りだけでなく、その奥に潜む眼では捉えきれないような題材へも肉薄し、新たな視覚像として表現しています。

府中市美術館で開催される『諏訪敦「眼窩裏の火事』 では、終戦直後の満州で病没した祖母をテーマにしたプロジェクト『棄民』をはじめ、コロナ禍のなかで取り組んだ静物画、さらに長く描き続けていた舞踏家の大野一雄の存在を通し、像主との関係の永続性を示した作品などが公開されます。人間の尊厳や凄みを感じる諏訪の絵画を、都内の美術館にてじっくりと向き合うことのできる久しぶりの機会となります。

『諏訪敦「眼窩裏の火事』 府中市美術館
開催期間:2022年12月17日(土)〜2023年2月26日(日)
所在地:東京都府中市浅間町1-3 都立府中の森公園内
アクセス:京王線東府中駅北口より徒歩17分。京王線東府中駅北口よりバス「ちゅうバス府中駅」行きにて「府中市美術館」下車すぐ
開館時間:10:00~17:00
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし1月9日は開館)、年末年始(12月29日〜1月3日)、1月10日(火)
料金:一般700円、大学・高校生350円、小・中学生150円。
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/

桃山美術の傑作も東京へ。サントリー美術館の『京都・智積院の名宝』展

京都・東山七条に位置し、真言宗智山派の総本山である智積院(ちしゃくいん)。弘法大師空海にはじまる同寺は、鎌倉時代に興教大師覚鑁(かくばん)の法統を受け継ぐと、後に隆盛を極めた和歌山県の根来寺山内で室町時代中期に創建されました。そして豊臣秀吉の時代に一時衰退するも、1601年に徳川家康の寄進を受け、現在の東山の地にて再興されました。いまでは全国に約3000もの末寺を擁するなど、多くの人々の信仰を集めています。

サントリー美術館にて開かれる『京都・智積院の名宝』では、智積院の歴史をたどりつつ、所蔵する寺宝を紹介。桃山美術の傑作として名高い長谷川等伯の『楓図』と息子の久蔵の『桜図』(ともに国宝)といった障壁画群を初めて寺外で同時公開するのをはじめ、仏教美術や中国美術の優品、さらに智積院とゆかりの深い京都画壇の土田麦僊や堂本印象の作品などが展示されます。東京で智積院の寺宝を愛でるまたとない機会となります。

『京都・智積院の名宝』 サントリー美術館
開催期間:2022年11月30日(水)~2023年1月22日(日)
所在地:東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
アクセス:都営地下鉄大江戸線六本木駅出口8より直結。東京メトロ日比谷線六本木駅より地下通路にて直結。東京メトロ千代田線乃木坂駅出口3より徒歩約3分
開館時間:10:00~18:00
 ※金・土曜、および1月8日(日)は20時まで開館
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:火曜日、年末年始(12月30~1月1日)
 ※1月17日は18時まで開館。
料金:一般1500円、大学・高校生1000円、中学生以下無料
https://www.suntory.co.jp/sma/

江戸時代の百人一首事情とは?すみだ北斎美術館での『北斎かける百人一首』展

江戸時代中期頃までに教養として浸透し、現在でも愛好家の少なくない百人一首。江戸時代後期の浮世絵師の葛飾北斎は、百人一首の歌を絵にして内容を解説しようと、最後の大判錦絵シリーズ「百人一首乳母かゑとき(ひゃくにんいっし ゅうばがえとき)」を企画し、全27図を出版しました。そこには歌や歌人の一般的な伝承やイメージに独自の発想が盛り込まれ、天才絵師の北斎ならではの才知に満ちた世界観が表現されています。

すみだ北斎美術館にて開かれる『北斎かける百人一首』では、同館の所蔵する「百人一首乳母かゑとき」シリーズから23図を公開。あわせて歌仙絵や狂歌のモチーフといった、様々なかたちにて百人一首を表現した摺物など約105点の作品が展示されます。それに江戸時代の「百人一首事情」として、当時どのように百人一首が広まり、人々が楽しんでいたのかの一端も明らかになります。また百人一首の一覧や歌人の関係を紹介するリーフレットも、来館者限定で配布されます。

『北斎かける百人一首』 すみだ北斎美術館
開催期間:2022年12月15日(木) 〜 2023年2月26日(日)
所在地:東京都墨田区亀沢2-7-2
アクセス:都営大江戸線両国駅A3出口より徒歩5分。JR線両国駅東口より徒歩9分
開館時間:9:30~17:30
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし1月2日、1月9日は開館)、年末年始(12月29日~1月1日)、1月4日(水)、1月10日(火)
観覧料:一般1000円、大学・高校生・65歳以上700円、中学生300円、小学生以下無料
https://hokusai-museum.jp/

「声」がさまざまな身体を行き来する。十和田市現代美術館での『百瀬文 口を寄せる』展

現代美術家の百瀬文(ももせ あや、1988年生まれ)を知っていますか? 映像やサウンド・インスタレーションなどの技法を用い、セクシュアリティやジェンダーへの問題を掘り下げる百瀬は、近年、「アーティスト・ファイル 2015 隣の部屋―日本と韓国の作家たち」(国立新美術館)や「六本木クロッシング2016展:僕の身体、あなたの声」(森美術館)にも出展。また今年開かれた国際芸術祭「あいち 2022」(愛知芸術文化センター)では、オペラ『サロメ』の一節を素材に、俳優とCG映像を組み合わせた重層的な作品を公開し、美術ファンの注目を集めました。

十和田市現代美術館での『百瀬文 口を寄せる』では、女性声優をテーマに、「声」だけが聞こえて性別を判断できるアニメーションのない新作のサウンド・インスタレーション『声優のためのエチュード』を公開。さらに耳の聞こえない女性と耳の聞こえる男性との触れ合いに生じるすれ違いを映した『Social Dance』や、百瀬の父親が百瀬の書いた173にも及ぶ質問に口頭で答えていく中、回答が父親の意志から離れていくという『定点観測(父の場合)』などが展示されます。

『百瀬文 口を寄せる』 十和田市現代美術館
開催期間:2022年12月10日(土) 〜2023年6月4日(日)
所在地:青森県十和田市西二番町10-9
アクセス:八戸駅より十和田観光電鉄バス「八戸駅」東口5から乗車、「官庁街通」バス停下車、美術館まで徒歩5分。(所要時間 約1時間)七戸十和田駅より十和田観光電鉄バス「七戸十和田駅」南口2番から乗車(所要時間 約35分)
開館時間:9:00~17:00
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(祝日の場合はその翌日、ただし1月2日は臨時開館)、年末年始(12月27日〜1月1日)、メンテナンス休館(1月10日〜19日)
観覧料:一般1800円(常設展込み)、高校生以下無料
https://towadaartcenter.com

お得な「冬の学割」も!山種美術館で愛でたい四季折々の日本の風景

1966年に全国初の日本画専門の美術館として開館した山種美術館。古画、浮世絵、油彩画、そして近現代の日本画を中心に約1800余点を所蔵すると、展覧会にて広く公開し、多くの美術ファンの目を楽しませてきました。特に重要文化財『炎舞』や『名樹散椿』をはじめとする120点の速水御舟の作品や、『鳴門』や『醍醐』など、戦後の院展出品作の大半を含む135点の奥村土牛のコレクションで知られています。

そうした山種美術館のコレクションより、日本の風景や自然に焦点を当て、江戸時代から現代までの画家たちが描いた優品を紹介するのが『日本の風景を描く―歌川広重から田渕俊夫まで―』です。ここでは歌川広重の『東海道五拾三次』にはじまり、田植えの様子を絶妙な構図で描いた川合玉堂の『早乙女』、また37年ぶりの公開となる石田武の『四季奥入瀬』の『春渓』と『瑠璃』などが展示されます。なお会期中は大学・高校生の観覧料が半額になる、お得な「冬の学割」も実施されます。

『日本の風景を描く―歌川広重から田渕俊夫まで―』 山種美術館
開催期間:2022年12月10日(土)~2023年2月26日(日)
所在地:東京都渋谷区広尾3-12-36
アクセス:JR恵比寿駅西口・東京メトロ日比谷線恵比寿駅2番出口より徒歩約10分。渋谷駅東口ターミナルより日赤医療センター前行都バス(学03番)に乗車し、「東4丁目」下車徒歩2分
開館時間:10:00~17:00
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし1月9日は開館)、1月10日(火)、年末年始(12月29日~1月2日)
観覧料:一般1300円、大学・高校生500円(冬の学割)、中学生以下無料
※きもの特典:きもので来館すると、一般200円引、大学生・高校生100円引
※オンラインチケットあり。
https://www.yamatane-museum.jp

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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

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