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2023.8.8

【パリ】安藤忠雄が手掛けた、歴史と現代が対話する壮大なアートの殿堂『ブルス・ドゥ・コメルス』

2021年5月、パリの新しいアートの殿堂『ブルス・ドゥ・コメルス』がオープンしました。

1763年穀物貯蔵庫として建設され、1889年商品取引所として機能し、2世紀もの歴史が刻まれた歴史的建造物が、アートコレクター フランソワ・ピノー氏の新しい現代美術館として生まれ変わりました。

その館内をリノベーションして新しく生まれ変わらせたのは日本人建築家の安藤忠雄氏!「…パリに行ったらここは絶対訪れなくては!」と意気込み、本美術館に足を運んだ筆者によるレポートをお届けします。

『ブルス・ドゥ・コメルス』外観(撮影:新 麻記子)

歴史的建造物のブルス・ドゥ・コメルスとは?

1763年穀物貯蔵庫として建設され、1889年商品取引所として機能し、2世紀もの歴史が刻まれた歴史的建造物である『ブルス・ドゥ・コメルス』。

神殿のようにも見えるこの円筒形の建物は、西洋の歴史的な装飾であるネオクラシック様式で、建物中央部分には大きな吹き抜け空間が広がり、頭上にあるガラスのドームから光が注ぐ構造になっています。暖かな天然光が差し込むこのガラスと鉄の天井と、それを彩る壁画は1813年のものなのだそう。

『ブルス・ドゥ・コメルス』内観(撮影:新 麻記子)

美術館開館を機会に修復された巨大な壁画には、アメリカ、アフリカ、アジア、南欧、北欧などの民俗が描かれており、当時の世界貿易の発達とともに植民地主義やそれらの偏見を色濃く映し出しています。壁画には日本人と思わしき人物(侍?)も描かれているので、じっくり目を凝らしながら探してみてください。

そんな円筒形の建物の巨大なドームの中の吹き抜けの空間に、リノベーションを手掛けた建築家の安藤忠雄は、鉄筋コンクリートの円筒をすっぽりと収めてみせました。

ぐるっと回遊するように作品を楽しもう!

『ブルス・ドゥ・コメルス』内観(撮影:新 麻記子)

美術館に足を踏み入れてみると、鑑賞者は建物中央部分に導かれ、そこには大きな吹き抜けを生かした展示空間があります。建物中央部分の展示空間を中心として、その他の展示空間にもつながっており、鑑賞者は縦横無尽に行き来しながら作品鑑賞を楽しめます。

『ブルス・ドゥ・コメルス』内観(撮影:新 麻記子)

その他の展示空間では、仕切りの形跡や褪せた壁画など、当時の面影が残っています。しかし、ひとたび展示室に足を踏み入れると、隔てていたかつての壁は取っ払われ、大きなホワイトキューブとして生まれ変わり、充分にアートを楽しめる空間が広がっています。

『ブルス・ドゥ・コメルス』内観(撮影:新 麻記子)

鉄筋コンクリートの円筒に沿って回遊すると、2階や地下へと通じる階段があります。2階は1階と同じく大きな展示室があり、さまざまな現代美術作品が展示され、鑑賞者を楽しませてくれました。地下には大きなホールがあり、時折講演会やコンサートが開催されるそうです。

大富豪のアートコレクター、フランソワ・ピノー氏のコレクション

『ブルス・ドゥ・コメルス』内観(撮影:新 麻記子)

『ブルス・ドゥ・コメルス』では、世界中のアーティスト350人の作品10,000点余りを所有しているピノー・コレクションを中心に展示されています。

グッチやサンローランなどを有するラグジュアリーブランドのグループ「ケリング」のCEOで、アート界にも絶大な影響力を持つ、実業家であり大富豪のフランソワ・ピノー氏。

ピノー・コレクションは、私達が生きる現代の芸術に対して、コレクターの目を通したユニークな視点、現代社会にコミットした視点、これまでになかった芸術の見方を提供しています。

『ブルス・ドゥ・コメルス』内観(撮影:新 麻記子)

『ブルス・ドゥ・コメルス』では、絵画、彫刻、写真、インスタレーション、音声、ビデオ、パフォーマンスなどのあらゆる芸術表現、そして現代アートの歴史的評価が定まった作品のみならず、新進アーティストの作品も広く受け入れています。

また、テーマ展、グループ展、作家別の展示、作家の自由創作などの展示と並行し、講演会やコンサートなどの文化・教育プログラムも組まれ、見るべきもの、発見すべきもの、体験すべきものを、年間を通して鑑賞者に提供しています。

『ブルス・ドゥ・コメルス』内観(撮影:新 麻記子)

最後に…

『ブルス・ドゥ・コメルス』内観

筆者が訪れた際には、建物中央の展示空間ではメディアアートの大型作品の展示とともに、アーティストによる(ダンス)パフォーマンスが行われていました。また、企画展示室ではアメリカの現代美術作家のロニ・ホーンの個展が開催されており、ガラスの作品だけでなく、電球や写真の作品が楽しめました。

さらに、休憩スペースには探さないと見つけられない小さな作品まで、公共スペースにおいても鑑賞者を飽きさせません。地下のフロアでは、安藤忠雄さんによる作品世界の空間が広がっており、日本特有の美意識である“侘び寂び”が感じられる、茶室のような静寂を楽しめることでしょう。


コロナが落ち着き渡航も容易になった今!ぜひパリを訪れたら歴史と現代が対話する壮大なアートの殿堂『ブルス・ドゥ・コメルス』に足を運んでみてくださいね!

施設情報

ブルス・ド・コメルス(Bourse de commerces)
住所:2 Rue de Viarmes, 75001 Paris
電話番号:+33 1 55 04 60 60
開館時間:11:00〜19:00(金、第1土曜日は〜21:00)
休館日:火曜日
料金:一般 14ユーロ / 割引 10ユーロ / 第1土曜日の17:00~21:00は入場無料
公式サイト:ブルス・ド・コメルス

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新 麻記子

新 麻記子

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アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。

アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。

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