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2023.8.15

【フランス・北部】もう1つのルーヴル美術館へ、『ルーヴル・ランス』へ行ってみよう!

フランス・パリにある世界最大規模の国立美術館であり、世界で最も入館者数が多いことで知られるルーヴル美術館。そんなルーヴル美術館の分館としてフランス北部の街「ランス」に建設された『ルーヴル・ランス』はご存知ですか?

美術館の入場料が無料で、常設展がFreeで鑑賞できるほか、ルーヴル美術館の幅広いジャンルから厳選された名画や傑作を画期的な展示方法で話題を呼ぶなどさまざまな見どころがあります。

フランス・パリ市内のさまざまな美術館を巡り、地方の美術館に訪れようと考えるも、「どこから足を運んだらいいの?」と迷っている、そんな読者にぜひ足を運んでもらいたい美術館です。

『ルーヴル・ランス』は炭鉱跡から生まれた美術館

フランス最北部シュティの街並み(撮影:新麻記子)

『ルーヴル・ランス』は、フランス最北部シュティの町(ノール・パ・ド・カレー地方)にあり、パリ北駅からTGVで1時間10分とアクセスが良く、日帰りで充分に楽しめる場所です。

ランス駅からは美術館を結ぶ無料バスが30分ごとに発車するほか、徒歩でもランスの町並みや園内の自然を楽しみながら20分ほどで到着します。

美術館への道(撮影:新麻記子)

もし、ランスの駅に降り立ったら駅前から美術館へとつながる遊歩道を利用してみてください。この遊歩道は過去に炭鉱と駅を結んで炭を運んだ軌道の跡を利用したものなのだそう。

こういったところからも、地域の歴史との調和をはかるルーヴル・ランスの取り組みが伺えます。

景色を映し込み、街に溶け込む『ルーヴル・ランス』

「ルーヴル・ランス」外観(撮影:新麻記子)

フランス北部にある街「ランス」は、世界文化遺産に指定されている「炭坑遺構」が広がっています。

そんな「ランス」の特徴である風景を壊さない建物が求められ、ガラスやアルミパネルなどスタイリッシュな素材を多用し、周囲と溶け込むような建築を多く手がける、妹島和世氏と西沢立衛氏の日本人建築家ユニットのSANNAが担当しました。

「ルーヴル・ランス」内観(撮影:新麻記子)

外壁はアルミパネルが採用されており、周囲の環境や風景を映し込む効果があるため、横に長い大きな建物を周囲に溶け込ませるという重要な役割を果たしています。

建物の中央に配置されるエントランスホールは、外光を取り込みやすいガラス張りになっており、曲面ガラスで囲われる空間が点在し、カフェやライブラリー、学習センターなどがあります。

5000年の歴史の足跡をたどる『時のギャラリー』

展示品(撮影:新麻記子)

『ルーヴル・ランス』は所蔵品を持たず、ルーヴル美術館の幅広いジャンルから選ばれた名画や傑作、未公開作品250点が展示され、毎年1/3の作品を入れ替えているそうです。

常設展示室『時のギャラリー』では、入口から奥に向かって年代が記してあり、紀元前3500年前から19世紀までのルーヴル美術館のコレクションが時系列順に展示されています。

展示品(撮影:新麻記子)

「絵画は壁面に架けるもの」という固定概念を崩し、あらゆる文明や文化から生まれた美術作品群を一度に鑑賞できるように、仕切りが一切取り除かれた画期的な鑑賞方法を提案しています。

例えば、古代エジプト彫刻がギリシャ彫刻にいかに影響を与えたか、美術作品同士が対話しているかのように配置され、同時期のさまざまな技術や文明を比較しながら鑑賞することができます。

収蔵庫に入れる見学ツアーも開催中!

展示品(撮影:新麻記子)

エントランスホールから地下に降りると、ルーヴル・ランスの「舞台裏」である、収蔵庫や修復の部屋が見えます。

芸術作品の保存の裏側まで見せたい!という考えのもと、市民に芸術をより身近に感じてもらいたいという配慮から、このようにガラス越しに収蔵庫や修復の部屋が解放されています。

毎週収蔵庫に入る見学ツアーもあるそうなので、ご興味のある方は事前予約をしてから出かけてみてください。

最後に…

フランス最北部シュティの街並み(撮影:新麻記子)

美術館や美術展に足を運ぶと時系列順に地域やジャンルに縛られて作品鑑賞を進めてしまいがちですが、仕切りが一切取り除かれた画期的な展示方法により、文明や文化が共鳴し築かれていった足跡を辿れる工夫が素晴らしいと思いました。

本来、物の成り立ちとして0ベースで生み出せるものではないですよね…先人達の知恵をかりながら技術や文明の発展とともに、自身の創造性を織り混ぜて作品を生み出せるものだと、改めてこの展示空間の作品を鑑賞しながら感じることができました。

ぜひルーヴル美術館に行ったことがあるのなら、『ルーヴル・ランス』にも訪れてみてください。

(撮影・文:新麻記子)

【施設情報】

ルーヴル・ランス美術館( Louvre-Lens)
アクセス:99 rue Paul Bert 62300 Lens
開館時間:10:00-18:00
休館日:火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
入館料:11€(18-25歳は6€,18歳以下無料)
公式サイト:ルーヴル・ランス美術館

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新 麻記子

新 麻記子

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アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。

アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。

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