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EVENT

2023.11.30

「考えさせる」作品であると同時に、「見る」楽しみや「作る」ことの誘惑も感じさせる豊嶋康子の初の大規模個展、「豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表」が開催。

豊嶋康子の美術館における初の大規模個展「豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表」が東京都現代美術館で、2023年12月9日(土)から2024年3月10日(日)まで開催されます。

《色調補正1》2005年- 作家蔵 撮影:後藤充 (公開制作、府中市美術館、2005年)

本展は、彼女の30年以上にわたる制作を包括的に紹介するもので、初期作品から最新作まで、約400点の作品が展示されます。この記事では展覧会の見どころをご紹介します。

豊嶋康子の作品

《回転左右》2018年 個人蔵 撮影:豊嶋康子

豊嶋康子は、1990年代から活動を続ける日本のアーティスト。彼女は、日常生活の中にある制度や価値観に独自の視点で対峙し続けてきました。物の使用法や構造、経済活動や色の体系を「私」の設定のもと捉え返すことで、私たちの認識や体験の枠組みを再考し、別の見方を提示しています。

「天地」や「左右」はどのようにして決まるのでしょうか?あるいは裏と 表をひっくり返すことは?「考えさせる」作品であると同時に、「見る」楽しみや「作る」ことの誘惑も感じさせる豊嶋の作品群。同時代を生きる私たちにとって、「自分事」である作品に出会えるかもしれません。

展覧会のみどころ

33年ぶりに全面的に修復された初期作品を公開

《名人戦》1992年 作家蔵 撮影:山本糾

豊嶋康子の作品は、物の使い方や構造を独自の方法で再解釈しています。彼女のキャリアは、1990年に作成された《エンドレス・ソロバン》や《鉛筆》などの作品から始まり、物の機能を宙づりにするというアプローチを取り入れています。

今回、彼女のアーティストとしてのデビュー作品である〈マークシート〉と《エンドレス・ソロバン》は、33年ぶりに全面的に修復され、オリジナルのインスタレーション形式で展示されます。特に〈マークシート〉は、豊嶋が自身の芸術的表現を確立した重要な作品とされています。

《鉛筆》1996年 東京都現代美術館蔵 撮影:椎木静寧

アートと日常生活の間の関係を再考させる作品

《口座開設》1996年- 作家蔵 撮影:加藤建

1990年代後半から、豊嶋康子は「表現」の範囲を拡大しました。特定のシステム全体を彼女自身の視点から逆照射するような手法を取り入れ、例えば銀行での口座開設、株式の購入、生命保険への加入など日常生活における社会・経済活動そのものを作品の素材として用いた《口座開設》や《ミニ投資》などの作品を発表しました。

これにより、彼女は経済システムや社会構造に対する新たな見方を提示し、アートと日常生活の間の関係を再考させる作品を制作しています。

物事の構造と認識を新たな視点で再考し探求

《隠蔽工作20120625》2012年 東京都現代美術館蔵 撮影:大谷一郎

豊嶋康子の作品は、外見上は多様ですが、共通しているのは、既成のシステムや枠組みに対する新しいアプローチです。彼女は自己の視点を用いて、物事の見方を変え、元の意味や機能を敢えて逸脱させたり、歪めたりしています。このような方法により、彼女は物事の構造と私たちの認識や体験の仕方を新たな角度から探求しています。

例えば、〈ある順番に並べる〉(2014-2016)や〈隠蔽工作〉(2012)、一連の〈パネル〉(2013-2015)、〈地動説2020〉(2020)などの作品は、このようなアプローチをとることで、既存の構造を抽象的に展開し、観る人に異なる解釈や体験を提供するものと言えます。

《地動説2020アイレー》2020年 個人蔵 撮影:星野健太

豊嶋康子のプロフィール

豊嶋康子(とよしま・やすこ)
1967年埼玉県生まれ。同地在住。
1993年東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修士課程修了。1990年田村画廊にて初個展。その後、秋山画廊(東京)、M画廊(足利市)、ガレリア フィナルテ(名古屋)、Maki Fine Arts(東京)などで継続的に個展を開催。

近年の個展に、「公開制作27 豊嶋康子『色調補正』」(2005年 府中市美術館)、「資本空間 スリー・ディメンショナル・ロジカル・ピクチャーの彼岸vol.1」(2015年 ギャラリーαM)ほか。
グループ展に「ART TODAY 1990」(1990年 高輪美術館)、「傾く小屋」(2002年 東京都現代美術館)、「第9回恵比寿映像祭 マルチプルな未来」(2017年 東京都写真美術館)、「アッセンブリッジ・ナゴヤ2017」(2017年 旧・名古屋税関港寮)、「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」(2019年 国立新美術館)ほか多数。東京造形大学教授。

開催概要

豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表
会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F
開催期間:2023年12月9日(土)~2024年3月10日(日)
所在地:東京都江東区三好4-1-1(木場公園内)
アクセス:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2番出口より徒歩9分、都営大江戸線清澄白河駅A3番出口より徒歩13分
開館時間:10:00~18:00
 ※展示室入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(1月8日、2月12日は開館)、12月28日~1月1日、1月9日、2月13日
観覧料:一般1,400円、大学生・専門学生・65歳以上1000円、中高生600円、小学生以下無料
公式サイト:豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表

【写真7枚】「考えさせる」作品であると同時に、「見る」楽しみや「作る」ことの誘惑も感じさせる豊嶋康子の初の大規模個展、「豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表」が開催。 を詳しく見る
つくだゆき

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東京美術館巡りというSNSアカウントの中の人をやっております。サラリーマンのかたわら、お休みの日には、美術館巡りにいそしんでおります。もともとミーハーなので、国内外の古典的なオールドマスターが好きでしたが、去年あたりから現代アートもたしなむようになり、今が割と雑食色が強いです。

東京美術館巡りというSNSアカウントの中の人をやっております。サラリーマンのかたわら、お休みの日には、美術館巡りにいそしんでおります。もともとミーハーなので、国内外の古典的なオールドマスターが好きでしたが、去年あたりから現代アートもたしなむようになり、今が割と雑食色が強いです。

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