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2023.12.1
【12月のおすすめ展覧会5選】『癒やしの日本美術』から『みちのく いとしい仏たち』、それに荒木悠の個展まで。
早いもので今年も残すところあと1ヶ月。毎月のおすすめ展覧会を紹介する【展覧会5選】の記事も今年最後の更新となりました。皆さんはこの1年、どのような展覧会が心に残りましたでしょうか。
年末とはいえ、12月からはじまる展覧会は意外と少なくありません。日本美術から西洋美術、そして現代美術まで、幅広いジャンルからおすすめの展覧会をご紹介します。
目次
若冲、芦雪の「ゆるかわ」に心も和む。山種美術館にて特別展『癒やしの日本美術 —ほのぼの若冲・なごみの土牛—』が開催。
素朴でゆるやかな表情が魅力的な伊藤若冲の《布袋図》(個人蔵)や《伏見人形図》、それに可愛らしい子犬たちがじゃれ合う長沢芦雪の《菊花子犬図》(個人蔵)などのユーモアあふれる作品を前にすると、自然と笑みがこぼれます。
そして古き良き日本の自然を描いた川合玉堂の《山雨一過》や、心地よい音を想像させる上村松園の《杜鵑を聴く》を見ると、気持ちがリラックスするもの。また奥村土牛の《兎》といった愛らしい動物を描いた作品からは、対象をいとおしむ画家の愛情が伝わってきます。
山種美術館の特別展『癒やしの日本美術 —ほのぼの若冲・なごみの土牛—』では、「癒やし」をテーマに、伊藤若冲や上村松園、また奥村土牛に小茂田青樹、さらには千住博など、同館のコレクションを中心に江戸時代から現代までの約60点の絵画を展示します。
日常が大きく揺らぎ、ニュースを見れば悲しい気持ちになるほど不安定な世界情勢が続く今、若冲、芦雪の「ゆるかわ」に心が和み、ふわもふ動物、愛らしい子どもの姿に癒やされるといった、美術館で心安らぐひとときを過ごすことができます。いつも大人気のカフェで提供されるオリジナル和菓子にも期待が高まります。※本文中に所蔵表記のない作品はすべて山種美術館所蔵。
特別展『癒やしの日本美術 —ほのぼの若冲・なごみの土牛—』 山種美術館
開催期間:2023年12月2日(土)~2024年2月4日(日)
所在地:東京都渋谷区広尾3-12-36
アクセス:JR恵比寿駅西口・東京メトロ日比谷線恵比寿駅2番出口より徒歩約10分。恵比寿駅西口より日赤医療センター前行都バス(学06番)に乗車し、「広尾高校前」下車徒歩1分。渋谷駅東口ターミナル54番乗り場より日赤医療センター前行都バス(学03番)に乗車し、「東4丁目」下車徒歩2分。
開館時間:10:00~17:00
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日[1/8(月・祝)は開館、1/9(火)は休館、12/29(金)~1/2(火)は年末年始休館]
観覧料:一般1400円、中学生以下無料(付添者の同伴が必要)。
※冬の学割:大学・高校生500円(本展に限り、入館料が通常1100円のところを特別に500円。)
※きもの特典:きもので来館すると、一般200円引。
『癒やしの日本美術 —ほのぼの若冲・なごみの土牛—』
問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
北東北の仏像と神像が集結!東京ステーションギャラリーの『みちのく いとしい仏たち』。
江戸時代から青森・岩手・秋田の北東北の民家やお堂に祀られてきた仏像や神像。それらは専門の仏師や造仏僧ではなく、地元の大工や木地師と呼ばれる職人らの手によって作られ、厳しい風土を生きるみちのくの人々の日常のささやかな祈りの対象として大切にされてきました。
こうした民間仏は、端正な顔立ちやすがたのご本尊と異なり、煌びやかな装飾が見られません。その彫りの拙さやプロモーションのぎこちなさは、単にユニークなだけでなく、北東北の人々の心情を映した祈りのかたちそのものといえます。
東京ステーションギャラリーにて開かれる『みちのく いとしい仏たち』では、青森・岩手・秋田の北東北に伝わる約130点の木像を紹介し、日本の信仰のかたちについて考えます。
展示は「笑みをたたえる」、「ブイブイいわせる」、「かわいくて かなしくて」などユニークな切り口による8つのセレクションにて構成され、祈りの静けさと装飾性を帯びた造形が秀逸な『六観音立像』(宝積寺/岩手県葛巻町)や大工・右衛門四良の手による無骨で優しい『童子跪坐像』(法蓮寺/青森県十和田市』などが公開されます。東京ステーションギャラリーでは初めて仏像・神像を紹介する展覧会となります。
『みちのく いとしい仏たち』 東京ステーションギャラリー
開催期間:2023年12月2日(土)~2024年2月12日(月・振)
所在地:東京都千代田区丸の内1-9-1
アクセス:JR線東京駅丸の内北口改札前。東京メトロ丸の内線東京駅より徒歩約3分
開館時間:10:00~18:00
※金曜日は20:00まで開館
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(1/8、2/5、2/12は開館)、12/29(金)~1/1(月)、1/9(火)
観覧料:一般1400円、高校・大学生1200円、中学生以下無料
『みちのく いとしい仏たち』
ヘリングの世界観を体現する150点が勢ぞろい!注目の『キース・ヘリング展 アートをストリートへ』。
Photo by ©Makoto Murata Keith Haring Artwork @Keith Haring Foundation
「アートはみんなのために」という信念のもと、混沌とする社会への強いメッセージを発信し続けたキース・ヘリング(1958~1990)。1980年代にアンディ・ウォーホルやジャン=ミシェル・バスキアと共にカルチャーシーンを牽引すると、明るく、ポップなイメージの作品を数多く制作しました。
エイズによる合併症によりわずか31歳の若さで亡くなるものの、社会に潜む暴力や不平等、さらにHIV・エイズに対する偏見に対して闘い続けたヘリングのアートは、時を超えていまも現代社会に生きる人々の心を揺さぶります。
森アーツセンターギャラリーの『キース・ヘリング展 アートをストリートへ』では、活動初期のサブウェイ・ドローイング、トレードマークとなったモチーフによる作品《イコンズ》や彫刻、ポスター、晩年の大型作品まで、ヘリングの世界観を体現する150点が勢ぞろいします。
また日本に特別な想いを抱いていたへリングは数度にわたって来日を果たしましたが、そうした縁で生まれた貴重な作品や資料を、当時の写真とともにトピックとして展示します。光・闇・喧噪・色彩など、ドラマチックに展開する展示空間にも注目が集まります。
『キース・ヘリング展 アートをストリートへ』 森アーツセンターギャラリー
開催期間:2023年12月9日(土)〜2024年2月25日(日)
所在地:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 52F
アクセス:東京メトロ日比谷線「六本木駅」1C出口より徒歩3分(コンコースにて直結)、都営地下鉄大江戸線「六本木駅」3出口より徒歩6分。
開館時間:10:00~19:00、金曜日・土曜日は20:00まで。
年末年始(12月31日~1月3日)は11:00~18:00
※入場は閉館の30分前まで
会期中無休
観覧料:一般、大学生・専門学生2200円、中高生1700円、小学生700円。
※事前予約制(日時指定券)を導入
『キース・ヘリング展 アートをストリートへ』
初期から最晩年の大作《三人の若い女》、さらに同時代の画家まで。アーティゾン美術館の『マリー・ローランサン —時代をうつす眼』展。
20世紀前半に活躍したマリー・ローランサン(1883〜1956)は、画家や彫刻家だけではなく、文筆家や詩人とも親しく交流し、自作詩も発表したほか、バレエの舞台装置や舞台衣裳のデザインも手がけるなどして幅広く活動しました。
そして自らに影響を与えた存在として、同時代の画家マティス、ドラン、ピカソ、ブラックの名前を挙げているものの、彼らの様式を模倣することなく、パステルカラーによる独自の画風を生み出しました。
アーティゾン美術館で開かれる『マリー・ローランサン —時代をうつす眼』では、石橋財団コレクションや国内外の美術館からローランサンの作品約40点、挿絵本等の資料約25点に加えて、ローランサンと同時代に活躍した画家たちの作品約25点、合計約90点を展示します。
キュビスムの画家として活動していた初期から最晩年の大作《三人の若い女》に至るまでの活動を紹介しながら、同時期にパリで活躍していた画家たちの作品を合わせて展示することで、ローランサンの作品の特徴をよりよく知ることができる機会が実現します。
『マリー・ローランサン —時代をうつす眼』 アーティゾン美術館
開催期間:2023年12月9日(土)~2024年3月3日(日)
所在地:東京都中央区京橋1-7-2
アクセス:JR線東京駅八重洲中央口、東京メトロ銀座線・京橋駅6番、7番出口より徒歩5分
開館時間:10:00~18:00
※2月23日を除く金曜日は20:00まで
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(1月8日、2月12日は開館)、12月28日-1月3日、1月9日、2月13日。
観覧料:1800円(ウェブ予約チケット)、学生無料(要ウェブ予約・中学生以下予約不要)
※窓口販売チケットは2000円(予約枠に空きがある場合のみ販売)。
※この料金で同時開催の展覧会を全てご覧いただけます。
同時開催:石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 野見山暁治
『マリー・ローランサン —時代をうつす眼』
アーティスト・映画監督の荒木悠の美術館での初個展が、青森県の十和田市現代美術館にて開催!
1985年生まれで、アーティスト・映画監督として活動する荒木悠は、文化の伝播や異文化同士の出会い、またその過程で生じる誤訳や誤解の持つ可能性に強い関心を寄せると、ドキュメンタリー、アニメーションなどの映画や映像作品などの作品を制作してきました。
近年の映像インスタレーションでは、歴史上の出来事と空想との狭間に差異を見出し、再現・再演・再生といった表現手法で探究。2019年に資生堂ギャラリーにて開かれた個展では、ピエール・ロティの著作『秋の日本』を素材に、東洋と西洋、ジェンダー、階層といったさまざまな差異の交錯が浮かび上がる作品を展示して高く評価されました。
その荒木が初めて美術館にて個展を開くのが、十和田市現代美術館の『荒木悠 LONELY PLANETS』です。タイトルは世界的なシェアを誇る老舗旅行ガイドブック「ロンリープラネット」の名前が、ある歌詞の聞き間違いから生まれたことに親近感を覚えた荒木によってつけられました。
そこには青森を旅するように訪ね歩き、本展に登場する人々・風景・モチーフと偶然遭遇した作家の心境が重ねられています。本展ではこれまでのリサーチを経て、作家のテーマを展開した新作の映像作品4点と過去作品3点(予定)を公開します。
『荒木悠 LONELY PLANETS』 十和田市現代美術館
開催期間:2023年12月9日(土) 〜2024年3月31日(日)
所在地:青森県十和田市西二番町10-9
アクセス:八戸駅より十和田観光電鉄バス「八戸駅」東口5から乗車、「官庁街通」バス停下車、美術館まで徒歩5分。(所要時間 約1時間)七戸十和田駅より十和田観光電鉄バス「七戸十和田駅」南口2番から乗車。(所要時間 約35分)
開館時間:9:00~17:00
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(祝日の場合はその翌日)
観覧料:一般1800円(常設展込み)、高校生以下無料
『荒木悠 LONELY PLANETS』
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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
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