EVENT
2024.3.26
【軽井沢 3/7〜】等身大の藤田を知る『藤田嗣治 エコール・ド・パリの時代 1918~ 1928 年』
軽井沢安東美術館にて春の特集展示『藤田嗣治 エコール・ド・パリの時代 1918~1928 年』が開幕します。会期は 3 月 7 日(木)〜7 月 23 日(火)です。
本展では新収蔵の初公開作品《二人の少女》をはじめ、藤田初期の作品から 1910~20年代のスタイルが紹介されます。
軽井沢安東美術館 展示室2 (中央)《二人の少女》1918 年 油彩・キャンバス、(左)《腕を上げた裸婦》 1924 年 油彩・キャンバス、(右)《街はずれの門》1918 年 油彩・キャンバス
1913 年、世界の舞台で闘うためにパリに渡った藤田。自由な作風の画家たちに衝撃を受け、自らも自分のスタイルを模索し、ついに「乳白色の肌」という藤田独自の作風を開拓しました。
軽井沢安東美術館 展示室 5 撮影:Ryota Atarashi
本展では、藤田の名が次第に知られるようになった頃の作品《二人の少女》(1918年)や《街はずれの門》(1918 年)をはじめ、「乳白色の肌」の作品の数々、並行して制作された油彩画などが展示されます。独自の画風を開拓した「エコール・ド・パリ」時代の藤田の歩みを追う本展は、葛藤や困難の末にたどり着いたオリジナリティーに迫る機会となりそうです。
見どころ①初公開作品をはじめ充実の展示
軽井沢安東美術館 展示室 4 撮影:Takahiro Maruo
本展では同館で初公開の作品 2 点に加え、「乳白色の肌」が特徴の藤田らしい作品が多数展示されます。
初公開作品のうち 1 点は《二人の少女》(1918 年 油彩・キャンバス)です。少女の肌や背景の色合いには、藤田が後に打ち出した「乳白色の肌」や「乳白色の下地」の要素が感じられ、独自の作風の開花を予感させます。
もう 1 つの初公開作品は《シャリテ病院の自画像》(1924 年 鉛筆・紙)で、事故に遭って入院していた病床での自分の姿を描いた自画像です。本展では同じ頃に描かれた他の自画像 3 点とあわせて鑑賞でき、自画像という共通点を持ちながらも、個性豊かでユニークな作品に触れることができます。
「乳白色の肌」が特徴の作品では、モンパルナスの女王と呼ばれたモデルのキキや、3番目の妻となったユキを描いた人物像のほか、《腕を上げた裸婦》(1924 年 油彩・キャンバス)、《横たわる裸婦》(1923 年 油彩・キャンバス)なども展示されます。
見どころ②藤田の言葉とともにエコール・ド・パリ時代の歩みを紹介
軽井沢安東美術館 展示室 3 撮影:Takahiro Maruo
本展では藤田の初期の作品とともに、作品が制作された背景や藤田自身が語った言葉も紹介されます。
ピカソのアトリエを訪ねた藤田が受けた衝撃や、アンリ・ルソーに魅せられた藤田が風景画に取り組んだこと、親友のモディリアーニとのエピソードなどなど……。藤田が残した言葉を通して出来事を追体験し、画家の人生を立体的に捉えることができそうです。
見どころ③写真で知るエコール・ド・パリ時代の藤田
軽井沢安東美術館 展示室 2 撮影:Takahiro Maruo
本展では絵画作品に加え、1910〜20 年代にパリで撮影された藤田の写真も紹介されます。
展示されるのは、藤田の作品の舞台にもなったカフェ・ラ・ロトンドでの写真や、自宅のアトリエでユキをモデルに作品を描く藤田の写真など。写真を通して当時のパリを感じ、藤田が見た風景を間接的に知ることができます。
背景にあるのは、「当時の藤田嗣治を等身大で知っていただきたい」という主催者の強い思い。本展では絵画作品のみならず写真や言葉も隈なく堪能し、作品と画家の魅力に迫ってみてはいかがでしょうか。
展覧会情報
春の特集展示 藤田嗣治 エコール・ド・パリの時代 1918~1928 年
会場:軽井沢安東美術館(長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢東 43 番地 10)
会期:2024 年 3 月 7 日(木)〜7 月 23 日(火)
開館時間:10:00〜17:00(入館は 16:30 まで)
休館日:水曜日(祝日の場合は開館、翌平日が休館)
※休館日や観覧料など詳細は美術館公式ウェブサイトを参照
美術館公式ウェブサイト:軽井沢安東美術館
※本記事に掲載した写真は過去の展示風景であり本展の展示とは異なる場合があります
画像ギャラリー
あわせて読みたい
-
EVENT
2024.09.11
【太田記念美術館】『浮世絵お化け屋敷』の後期展示の見どころレポート!幽霊と妖怪を描いた浮世絵の名品が大集合
はろるど
-
EVENT
2024.08.20
風景をシンプルに描いたlandscape作品で大人気!田村久美子の個展「YOURSCAPE ~ あなたが見るセカイ〜」が、南青山イロハニアートスタジオにて開催!
はろるど
-
EVENT
2024.07.29
【空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン】色彩とユーモアの魔術師、フォロンの全貌に迫る大回顧展
つくだゆき
-
EVENT
2024.07.24
六本木ヒルズで一狩り行こうぜ!「モンスターハンター20周年-大狩猟展-」開催
新 麻記子
-
EVENT
2024.07.24
【東京都美術館】大地に耳をすます 気配と手ざわり
はろるど
-
EVENT
2024.06.28
ポップなイラストで人気を集めるビオレッティの個展「うごく」が南青山イロハニアートスタジオにて開催!
イロハニアート編集部
このライターの書いた記事
-
EVENT
2024.11.01
【東京11/23〜】『唐ごのみ ―国宝 雪松図と中国の書画―』円山応挙の国宝と中国書画に親しむ
明菜
-
STUDY
2024.10.22
日本美術の「狩野派」とは?狩野永徳や狩野正信など重要絵師を学ぶ
明菜
-
EVENT
2024.10.05
【東大阪市チームラボ】常設作品が10/5(土)オープン。大阪製罐の工場の一部が草むらとアートの空間へ
明菜
-
EVENT
2024.10.04
太田記念美術館『広重ブルー』 ー歌川広重と「ベロ藍」が生んだ名作を展示
明菜
-
LIFE
2024.10.02
ミュージアムグッズは『便利堂』におまかせ!130年超の美術愛を「絵はがき」で
明菜
-
EVENT
2024.09.12
【京都10/11〜】特別展「巨匠たちの学び舎 日本画の名作はこうして生まれた」47名の巨匠の名品が一堂に。
明菜
美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。
美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。
明菜さんの記事一覧はこちら