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2024.4.18
【京都4/19〜】上村松園と鏑木清方も競演する『君があまりにも綺麗すぎて ~福田コレクションの美人画~』
福田美術館と嵯峨嵐山文華館の共催で『君があまりにも綺麗すぎて ~福田コレクションの美人画~』が開幕されます。会期は2024年4月19日(金)~7月1日(月)です。
上村松園《美人観月》(部分)1913年頃 通期展示 福田美術館蔵
日本で「美人画」というジャンルが誕生したのは江戸時代です。洗練された衣装や優れた着こなしを絵画として愛でる文化が生まれました。
美人画は当時の流行を映すだけでなく、廃れることのない本質的な「美しさ」を伝える作品でもあります。しなやかなポーズや優美な仕草には、つい目を奪われてしまいます。
大林千萬樹《四季美人図_2》20世紀 通期展示 福田美術館蔵
本展では「君があまりにも綺麗すぎて」をキーワードに、近世から近代にかけての約190人の美人たちを展示し、その魅力に迫ります。容姿のみならず、服飾品や背景にいたるまでの画家のこだわりまで、じっくり堪能したい展覧会です。
見どころ①美人画のルーツをたどる
鳥文斎栄之《蛍狩美人図》(部分)18世紀 後期展示 福田美術館蔵
日本における美人画の始まりは、遊女などを描いた江戸時代の浮世絵あたりから、と言われています。第1会場となる嵯峨嵐山文華館では、江戸時代から近代へと続く美人画の発展に迫ります。
葛飾北斎《墨堤三美人図》(部分)19世紀 後期展示 福田美術館蔵
1階展示室では、美人画のルーツとなる浮世絵が展示。江戸で活躍した歌川広重や葛飾北斎、近世に京都や大阪で活躍した画家らによる、多彩な作品が紹介されます。女性の髪型や衣服から、当時の流行を知ることができます。
2階展示室(畳ギャラリー)では、浮世絵の流れを汲む汲む鏑木清方や北野恒富、伊東深水など、近代美人画の名手たちによる作品が紹介されます。美人画は時代とともにどのように変化したのか、その系譜を探ります。
また、雪女や幽霊のような実在しない女性や、『源氏物語』など物語に登場する女性に着目した美人画も展示されるとのこと。物語と絡み合うことで奥行きを増した美人画と出会う機会になりそうです。
見どころ②「東の清方、西の松園」の競演
第2会場の福田美術館でも、数多くの画家たちによる美人画を展示。特に注目したいのが、「東の清方、 西の松園」が競演するギャラリー1の展示です。
上村松園と鏑木清方は近代を代表する美人画家です。同時代・同ジャンルゆえ比較されることの多い画家ですが、生まれも育ちも異なる2人の作品には、異なる「フェチ」が詰め込まれているように思います。
池田蕉園《もの詣で》(部分)1907年 前期展示 福田美術館蔵
また、上村松園の《長夜》と池田蕉園による《もの詣で》の共演も見逃せません。ともに第1回文展に出品された作品で(上村松園《長夜》は3等を受賞)、このたび120年ぶりに同じ空間で展示される運びとなりました。
見どころ③美人画の魅力に酔いしれて
ギャラリー2では、大正から昭和期に活躍した画家を中心に紹介されます。伊藤小坡、伊東深水、梶原緋佐子など独自の発想と手法で制作された美人画や、甲斐荘楠音、岡本神草らによる妖艶な美人画も。「美人画」というジャンルが持つ多彩さや多様性を見る機会となりそうです。
パノラマギャラリーでは、中村貞以の作品が紹介されます。幼い頃、両手に火傷を負って指が不自由になったため、絵筆を両手で挟んで持つ「合掌描き」という技法で多くの作品を残しました。
2館共催により、大規模な展示となる本展。1つ1つの作品を堪能することはもちろん、「美人画」というジャンル全体を見渡す機会にもなりそうです。
私としては、美人画の注目ポイントは絵の中の人物との距離感だと思っています。親密な感じがしてドキドキしたり、突き放された印象に胸が苦しくなったり。絵の中の人物に心を翻弄されたとき、「君があまりにも綺麗すぎて」とたしかに感じますね。
大林千萬樹《四季美人図_3》20世紀 通期展示 福田美術館蔵
皆さんが、「君があまりにも綺麗すぎて」と感じるのは、どんな作品でしょうか? ぜひ会場に足を運び、美人画を楽しんでくださいね。
展覧会情報
君があまりにも綺麗すぎて ~福田コレクションの美人画~
会期:2024年4月19日(金)~7月1日(月)
◎前期:4月19日(金)~5月27日(月)
◎後期:5月29日(水)~7月1日(月)
開館時間:10:00〜17:00(最終入館 16:30)
休館日:5月28日(火)展示替え、6月18日(火)設備点検
会場:福田美術館、嵯峨嵐山文華館
展覧会ウェブサイト:
福田美術館:君があまりにも綺麗すぎて ~福田コレクションの美人画~
嵯峨嵐山文華館:君があまりにも綺麗すぎて ~福田コレクションの美人画~
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美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。
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