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EVENT

2024.4.23

「好き」に出会える美術館がリニューアルオープン『シン・東洋陶磁―MOCOコレクション』

「自分も大人になったなあ……」と感じた瞬間は、どんなときですか?

国宝《油滴天目茶碗》南宋時代・12-13世紀 大阪市立東洋陶磁美術館(住友グループ寄贈/安宅コレクション)

私の場合、ひとつを挙げると、「うつわに心が動く自分を見つけたとき」です。

小さい頃はうつわを道具としか見ておらず、食器なんて使えれば何でもいいと思っていました。母がアウトレットで食器を真剣に選ぶのを尻目に、「ブランドのバッグ買った方が良くない?」と、生意気なことを思ったものです。

《三彩印花 花文 輪花盤》遼時代・11世紀 大阪市立東洋陶磁美術館(李秉昌博士寄贈)

それから二十年ほどたち、不思議なことに、いつしか私もうつわに心が惹かれるようになっていました。明確なきっかけはありません。しかし今では、好みのうつわに出会うと「かわいい」と愛でる気持ちが湧いてきます。

いやはや、まさか喋りも動きもしない「陶磁器」に対して、「くぅ〜〜〜っ、かわいい!」と胸がときめく体験をすることになろうとは。

《白地黒花 唐草文 鉢》金時代・12-13世紀 大阪市立東洋陶磁美術館(李秉昌博士寄贈)

ですが、同じような人が結構いるのではないかと踏んでいます。そんなあなたと手を取り合って喜びたい。大阪市立東洋陶磁美術館がついにリニューアルオープンしました!(拍手)

大阪・中之島に堂々と建つ同館が開館したのは、1982年11月。中国や韓国をはじめ東洋陶磁で世界的に知られる「安宅コレクション」を住友グループから寄贈されたことを記念して、大阪市が設立しました。

展示風景

エントランスの増改築や展示環境の整備、さらには国宝「油滴天目茶碗」専用の独立ケースの導入などのリニューアルが行われ、この度オープンとなりました。

2024年4月12日(金)から9月29日(日)まで、リニューアルオープン記念特別展「シン・東洋陶磁―MOCOコレクション」が開催されています。

国宝《飛青磁 花生》元時代・14世紀 大阪市立東洋陶磁美術館(住友グループ寄贈/安宅コレクション)

たくさんの見慣れない作品と出会えて、刺激のある楽しい展示でした。展示環境の工夫も含めて、要チェックポイントを紹介していきます!

見どころ①約380件のコレクションがずらり

展示風景

本展では同館が世界に誇るコレクションから約380件が展示されます(うち国宝2件、重要文化財13件)。1件につき30秒の鑑賞だったとしても、たっぷり約3時間楽しめてしまう……展示の充実っぷり、伝わりますでしょうか?

韓国陶磁、中国陶磁、日本陶磁などに区切られ、さらに色や技法別など特徴ごとにまとめて展示されています。件数こそ膨大ですが、単調な感じは無く、テンポよく作品を見ていくことができました。

重要文化財《木葉天目 茶碗》南宋時代・12-13世紀 大阪市立東洋陶磁美術館(住友グループ寄贈/安宅コレクション)

私は丸いもの・小さいものが好きなので、撮ってきた写真が似通ってしまいますね……。同館の展示室は基本的に撮影OKなのも嬉しいです(フラッシュ禁止など注意事項にご留意ください)。

私もある程度は美術館に通っているつもりでしたが、日本の焼きものに知見が偏っていることに気づきました。中国や韓国の陶磁には見慣れない形やデザインのものが多く、古い作品でも現代アートのように新鮮に感じられました。

見どころ②国宝「油滴天目茶碗」専用の独立ケース

展示風景

国宝に指定されている「油滴天目茶碗」は、専用の独立ケースで展示。360°どこからでも見られるようになりました。


茶碗の内側にある油のしずくのような斑文は、光の角度によって金や青など虹色に変化します。

国宝《油滴天目茶碗》南宋時代・12-13世紀 大阪市立東洋陶磁美術館(住友グループ寄贈/安宅コレクション)

茶碗の内側にはカーブがあるため、目の高さを変えると斑文の色も変わります。上下左右に頭を動かしてさまざまな位置から見ると、油滴天目茶碗の魅力の深さに気づけるはず。

ちなみに、油滴天目茶碗の複雑な色彩を鑑賞するための特別な照明も使われています。今なお謎の多い油滴天目茶碗について、最新の科学的な研究が反映されています。

見どころ③美術館そのものの居心地の良さ

展示風景

「より多くの市民や利用者の皆様に親しまれ、さまざまな人々とつながる美術館に生まれ変わること」を目指したという今回のリニューアル。その思いのとおり、開放的で居心地の良い空間だと感じました。

エントランスから望む大阪市中央公会堂

エントランスの大きな窓からは、重要文化財に指定される大阪市中央公会堂の堂々たる姿が見えます。洗練された都会でありながら水と緑がある中之島の清々しい空気が、館内にも流れ込むような心地よさでした。

展示風景

また、展示室の光にも工夫が。世界初の「自然採光展示室」が設置され、自然光の下、リラックスした空間で陶磁器を見ることができるようになりました。

他の展示室では、自然光に近いとされる「紫」励起LED照明が導入されました。陶磁器本来の魅力に触れられるようになっています。

café KITONARI

カフェやミュージアムショップのリニューアルも嬉しいポイント。カフェでは所蔵品をモチーフにした目にも楽しいメニューをいただくことができます。

収蔵品をモチーフにしたメニュー

正直、「大阪市立東洋陶磁美術館」という文字列には硬い印象があり、難しそうに感じてしまう人が多いのではないかと思います。

ですが、陶磁器の魅力をじっくり堪能できる居心地の良い美術館なんです! カフェやミュージアムショップもあわせて楽しめるので、ぜひ足をお運びいただきたいな〜! と思います。

展覧会情報

リニューアルオープン記念特別展「シン・東洋陶磁―MOCOコレクション」

会場:大阪市立東洋陶磁美術館
会期:2024年4月12日(金)〜9月29日(日)

休館日:月曜日、5/7(火)、7/16(火)、8/13(火)、9/17(火)、9/24(火)
※但し祝日の4/29(月)、5/6(月)、7/15(月)、8/12(月)、9/16(月)、9/23(月)は開館

開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)

美術館公式ウェブサイト:大阪市立東洋陶磁美術館

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明菜

明菜

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美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。

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