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2021.8.4

あの曜変天目も!『三菱の至宝展』で日本の国宝をたっぷり満喫

「三菱創業150周年記念 三菱の至宝展」が、2021年9月12日(日)まで開催中です。

三菱の至宝展

本展では三菱の社長を務めた岩崎彌太郎、彌之助、久彌、小彌太が収集した100点余りの文化財が紹介されています。そのうち国宝は12点、重要文化財はなんと31点。三菱創業家が誇る古今東西の貴重な作品を観ることができます(※本記事は前期展示内容についてのレポートです)。

日本が誇る道具の美を感じる

大名物《唐物茄子茶入 付藻茄子》南宋~元時代(13-14世紀) (公財)静嘉堂蔵大名物《唐物茄子茶入 付藻茄子》南宋~元時代(13-14世紀) (公財)静嘉堂蔵

※展示期間:6月30日~8月9日
会場に入ってまず目に飛び込んでくるのが『唐物茄子茶入 付藻茄子』。足利義満が愛蔵し、2度の戦火から救い出された貴重な茶入です。小ぶりながらもでっぷりとした風格をたたえており、深いこげ茶の色味も情緒を醸し出しています。

国宝《太刀 銘 包永》 手掻包永 鎌倉時代(13世紀) (公財)静嘉堂蔵国宝《太刀 銘 包永》 手掻包永 鎌倉時代(13世紀) (公財)静嘉堂蔵

※展示期間:6月30日~8月9日

さらに足を進めると、国宝『太刀 銘 包永』の姿が。これがまた、思わず息を飲むような美しさでした。照明に照らされて静かに光る刃は、見る者の目を釘付けにさせる魔性の魅力を持っています。制作されたのは鎌倉時代とのことですが、ここ数年以内に作られたものと言われても全く違和感がありません。それほど刃がみずみずしく、古臭さを感じさせないのです。

茶入も刀剣も、それぞれはいわばただの道具です。にもかかわらず、何百年にもわたって人々が守り継承し続けたくなる美しさを持っているということに、あらためて驚かされます。本展の作品を通して、改めて日本が誇る「道具の美」を感じてみるのも良いのではないでしょうか。

中国やチベットのレアな文化財も!

本展で紹介されているのは日本の文化財だけではありません。中国やチベットなど、アジアの作品も多数出品されています。

国宝《風雨山水図》伝馬遠 南宋時代(13世紀) (公財)静嘉堂蔵国宝《風雨山水図》伝馬遠 南宋時代(13世紀) (公財)静嘉堂蔵

※展示期間:6月30日~8月9日

たとえば『風雨山水図』は、中国の宮廷画家・馬遠による作品です。中国らしい切り立った崖が、雨で霞んでいる様子が見事に表現されています。傘をさしながら足早に駆け抜ける一人の男も描かれており、ストーリー性を感じさせます。降りしきる雨の静けさと、自然の雄大さが感じられる一作です。

個人的にも「これはすごい!」と驚いたのが『セタプ像』です。「セタプ」とは「漆皮の鎧」という意味で、鎧を着た護法尊(法を守護する仏)が描かれたチベット仏画。わたしたちが仏教画でよく見る裸同然の質素な仏ではなく、その名の通り鎧をまとっていて何やら強そうに見えます。その体は赤々と燃えていて、クリクリとした三つ目はどこかアニメチックです。日本の密教画とも全く異なる趣があり、仏画のバラエティを感じずにはいられませんでした。

美しく恐ろしい『曜変天目』は必見

国宝《曜変天目(稲葉天目)》 建窯 南宋時代(12-13 世紀) (公財)静嘉堂蔵国宝《曜変天目(稲葉天目)》 建窯 南宋時代(12-13 世紀) (公財)静嘉堂蔵

本展の目玉は、なんと言っても『曜変天目( 稲葉天目)》』です。曜変天目とは、中国の南宋時代に作られた茶碗で、器の中に大小の斑点が広がっているのが特徴。完成品の曜変天目は世界に3つしか現存しておらず、そのうちの一つを本展で見ることができます。

その斑点がきらめく星々に見えることから、曜変天目はよく宇宙にもたとえられます。深い青色や緑色の輪郭をたたえた斑点には、えもいわれぬ美しさとどことない恐ろしさが備わっています。まさに宇宙を見た時に感じるような畏怖の気持ちが生じます。この気持ちはぜひ生で見て味わっていただければと存じます。

作品鑑賞だけじゃない楽しみ方

本展では作品自体を味わうのに加えて、三菱を創業した岩崎家の4人の経営者たちの心情に思いを馳せてみるのも面白いかもしれません。

岩崎家初代~四代社長は、江戸から明治の時代に生まれています。まさに、西洋列強に追いつけ追い越せの精神でビジネスを行なってきた経営者たちです。日本のビジネスが西洋化されて豊かになる一方で、日本やアジアに宿る精神や美への感覚が空虚になっていくのと危惧する思いもあったのではないでしょうか。その中で日本やアジアの美術・文化を価値あるものとして守り抜かねばならぬという熱量が芽生えていったのかもしれません。そんな空想を抱きながら本展を見てみると、また違った趣を感じられます。

まとめ

「三菱創業150周年記念 三菱の至宝展」は、明治期に創り出された洋風事務所建築を可能な限り忠実に復元した、三菱一号美術館で開催されています。落ち着いたクラシックな空間で味わう国宝や重要文化財は、写真でみるより一層厳かで輝いて見えます。ちょっぴり大人な鑑賞体験を味わいたい方は、足を運んでみてはいかがでしょうか。

「三菱創業150周年記念 三菱の至宝展」

開催期間:2021年6月30日(水)~9月12日(日)
※展示替えあり
前期:8月9日(月・振休)まで/後期:8月11日(水)から

所在地:東京都千代田区丸の内2-6-2

アクセス:JR「東京」駅(丸の内南口)徒歩5分、JR「有楽町」駅(国際フォーラム口)徒歩6分、都営三田線「日比谷」駅(B7出口)徒歩3分、東京メトロ千代田線「二重橋前」駅(1番出口)徒歩3分、東京メトロ有楽町線「有楽町」駅(D3/D5出口)徒歩6分、東京メトロ丸ノ内線「東京」駅(地下道直結)徒歩6分

開館時間:10:00〜18:00
※入館は閉館の30分前まで
※開館日、開館時間を変更する場合がございます。最新情報は公式サイトをご確認ください。
夜間開館日あり
※当面の間、夜間開館は20:00までとなります。詳細は公式サイトをご確認ください。

休館日:月曜日、展示替えの8月10日(火)
(但し、祝・振休の場合、7月26日、8月30日、9月6日は開館)

料金:一般1,900円、高校・大学生1,000円、小・中学生無料

公式サイト:https://mimt.jp/kokuhou12/

お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)

静物

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ただの美術好きとして、Twitterで美術に関するあれこれをつぶやいています。ライターとしてのお仕事もたまにさせてめらったりしています。推し主義はシュルレアリスムと印象派。

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