EVENT
2021.10.5
新たに写真、映像、インスタレーションが追加!全国巡回展の集大成『蜷川実花展 -虚構と現実の間に-』
独特の色彩と幻想的な世界観で人々を魅了し、国内外から高い評価を受けて、さらなる飛躍を迎えている蜷川実花(にながわみか)。
写真家の枠を超え、映画、デザイン、ファッションなど多彩な活動をしているアーティストです。
彼女の名前を知らずとも、街角などの看板広告や、Netflixなどの映像作品で、その作品をご覧になった方もいらっしゃるはず…!!!
そんな彼女の作品が一堂に会する展覧会が、現在上野の森美術館にて開催中です。
「虚構と現実」をテーマにアーティストの写真の本質に迫る本展覧会を、見どころとともにご紹介します。
全国10会場巡回の集大成である本展覧会
現在、上野の森美術館にて開催中の『蜷川実花展 -虚構と現実の間に-』。
2018年から全国10会場を巡回した展覧会の集大成となる東京展では、これまでの展示作品を半数ほど入れ替えただけでなく、編集を加えたものや新しく撮りためた写真作品をはじめ、自身の書斎を再現したインスタレーションなども加わり、表現のジャンルを限定することなく時代の先端を鮮烈に示しつづける、“蜷川実花”の作品世界を全身で体感できる内容となっています。
今年撮影した桜や藤の写真《光の庭》、ポラロイド作品《TOKYO》、女性やパラスポーツ選手のポートレートなどの写真作品に目を向けてみると、極彩色から光溢れる表現への変化が楽しめたり、コロナ禍で街中が一変した様子が感じられたり、凛とした姿や表情から勇気をもらえることでしょう。
パーソナルな部分に触れられるセクション
過去の写真展に比べると…今回、蜷川氏のパーソナルな部分に触れられるのも楽しみ方の一つ。
『Self-Image』では、自己を取り戻す方法として蜷川氏が自身をモノクロームで撮影した写真作品が展示されています。映像作品の仕事に携わっている際には、数多くのスタッフと関わることが多く、自宅にも帰れない日々がつづき、自分というものを見失いがちになってしまうのだと担当学芸員さんが教えてくれました。
また、柔らかな光が印象的な写真作品で構成された『うつくしい日々』では、蜷川氏の父・蜷川幸雄が病に倒れ、ゆるやかに死へと向かう、1年半の日常を捉えています。蜷川氏が「あの世の目線で撮影した」というように、家族や人々そして世界と別れゆく父の視線と、心に不安と悲しみを宿した娘の視線が重なり、写真とともにテキストも添えられています。
この4年間の彼女の出来事を切り取り、「蜷川実花の今」に焦点を当てた作品から、心象風景に着目してみると、実に彼女の身に様々な変化が起きたことが感じられるでしょう。
作品創作の起源を垣間見られるセクション
会場の最後を彩るのは自身の書斎を再現したというインスタレーション作品『Chaos Room』。
展示室の真ん中にある大木には多彩な写真や映像の一部がモニターに映し出され、展示室の対角には書籍や資料、オブシェなどの小物類、映像作品に使用されたセットなどが配置され、これまでの蜷川氏の活動が浮かび上がってきます。
デスクに置かれた資料には細かく指示された絵コンテをはじめとし、その作品の社会背景を反映するために集められた浮世絵や春画などもあり、一つの作品に対して真剣に向きあう蜷川氏の情熱や、創作の起源を垣間見ることができます。
日常を彩ってくれる数々のグッズ
美術館内のミュージアムショップでは、蜷川氏の作品がプリントされたアパレルやステーショナリーをはじめ、マスク、トランプ、キーホルダーなど、蜷川氏がディレクションしたオリジナルグッズが販売されています。
暮らしにアートを取り入れる意味でも、使いやすいグッズが多数展開されているので、ぜひお手に取ってみてくださいね。
最後に…
会場では、「虚構と現実」をテーマに主軸となる写真の本質に迫るとともに、表現のジャンルにとらわれず制作された作品が一堂に会するだけでなく、蜷川のパーソナルな部分に触れられる機会となり、より作品への理解が深まる内容となっています。
独特の色彩と幻想的な世界観で人々を魅了する蜷川氏の作品創作への情熱や起源が垣間見られる、またとない機会をお見逃しなく…!!!
蜷川実花展 -虚構と現実の間に-
会期:2021年9月16日[木]- 11月14日[日]
会場:上野の森美術館
時間:10:00 - 17:00 ※最終入館は閉館の30分前まで
入場料:一般1,800(1,600)円、大学・高校1,600(1,400)円、中学生・小学生600(500)円
※平日は日付、土日祝は日時指定制。観覧前日までは( )内の前売り料金で購入できます。
HP:https://ninagawa-exh.com/
画像ギャラリー
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アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。
アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。
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