EVENT
2022.3.9
パリから日本へ。東京・京都・名古屋の3会場で開催!『デザイン・ダイアローグ メゾン・エ・オブジェ・パリ展』で楽しむ最先端のデザイン
1995年に誕生し、世界最高峰のインテリアとデザインの国際見本市として知られる『メゾン・エ・オブジェ』。毎年1月と9月にパリにて行われ、業界関係者をターゲットにしながら、期間中は約9万人もの来場者が訪れるというビックイベントです。
目次
『デザイン・ダイアローグ メゾン・エ・オブジェ・パリ展』展示風景。撮影ができます。
その『メゾン・エ・オブジェ』を見本市ではなく展覧会として編集した『デザイン・ダイアローグ メゾン・エ・オブジェ・パリ展』が、日本橋高島屋S.C.本館8階ホールでスタートしました。パリの見本市のエッセンスを体験できる展示は3部構成。見どころをレポートします。
21名のデザイナーによる椅子と照明を一堂に展示。「DESIGNER OF THE YEAR(デザイナー・オブ・ザ・イヤー)」
ロナン&エルワン・ブルレック(フランス) デザイナー・オブ・ザ・イヤー2011
まず第1部の「DESIGNER OF THE YEAR(デザイナー・オブ・ザ・イヤー)」では、25年にわたりデザイン、クリエーション、オブジェ、家具、インテリアデザインなどの分野において表彰された21名のデザイナーの作品をまとめて紹介。主に椅子と照明がブースごとに展示されています。
フィリップ・スタルク(フランス) デザイナー・オブ・ザ・イヤー2000
2000年に受賞したフランスのフィリップ・スタルクは、1970年半ばよりパリのクラブのインテリアを手がけ、その名が当時のフランス大統領ミッテランの目に留まり、大統領公邸などの内装までを手がけた人物。シンプルながらもラグジュアリーなデザインを見せています。
コンスタンチン・グルチッチ デザイナー・オブ・ザ・イヤー2007
ドイツのコンスタンチン・グルチッチ(2007年受賞)は、ベルリンを拠点にインダストリアルデザインから建築、ファッションのコラボレーションなど幅広く活躍。世界のブランドとも多く仕事をこなしています。まるで塔のようなユニークな照明も面白いのではないでしょうか。
日本人デザイナーの作品も見逃せません。ガラスのベンチ「Water Block」などで知られ、建築や現代美術の分野においても活動する吉岡徳仁は、2012年に同賞を受賞。ガラスを用いた球体の照明を展示しています。まるで宝石のようなきらめきを放っていました。
nendo | 佐藤オオキ(日本) デザイナー・オブ・ザ・イヤー2015
デザインオフィスnendo(ネンド)代表の佐藤オオキも受賞者の1人です。TOKYO2020の聖火台のデザインでも注目を浴びましたが、現在、次のパリ五輪開催の2024年に向けて、フランス高速鉄道TGVの新型車両のデザインまでを担っているというから、活躍の幅広さが伺えます。
パリの見本市のハイライトを再現!「What`s New?(ホワッツ・ニュー)」で魅せられる多様なデザイン
第2部の「What`s New?(ホワッツ・ニュー)」では、パリのメゾン・エ・オブジェの会場のハイライトの1つである最新製品が集められた展示を再現。「自然の要素」をテーマに、全体装飾を担うエリザベス・ルリッシュによって選ばれた約200点ものさまざまな製品が公開されています。
この展示が実にスタイリッシュです。椅子やテーブル、食器、ラグ、照明など幅広いジャンルの製品が、あたかも1つの小宇宙を築くようにして並んでいます。
また「自然の要素」のテーマは、「本質的自然」、「瞑想的自然」、「彫刻的自然」に分けられ、穏やかで癒しの雰囲気や洗練された空間、また有機的な鉱物の要素を思わせるクリエーションなどが連動するように展開しているのも魅力です。
ユニークな照明や食器など、心ひかれるままに探して歩くのも楽しいのではないでしょうか。なお本展は当初、1月にパリで行われる予定だったものの、3月24日〜28日に延期されたことから、パリ会場のエッセンスに先駆けた展示となります。
日本とフランスの若手クリエイターの共演。「RISING TALENT AWARD(ライジングタレントアワード)」
「RISING TALENT AWARD(ライジングタレントアワード)」からジュリ・リショズとナターシャ・サシャ
ラストの第3部「RISING TALENT AWARD(ライジングタレントアワード)」で紹介されるのは、若い世代のクリエーターたちです。同アワードでは、デザインとクリエーションに秀でた人物を顕彰すべく、選考委員会のもと、毎回異なった1つの国から有望な35歳以下の若手デザイナーが選出されます。
「RISING TALENT AWARD」は創設以来、イタリア、レバノン、中国、アメリカなど多くの国で若いデザイナーを表彰してきましたが、2022年の開催地は日本に決定。2020年に行われたフランスでの受賞者と向き合うかたち、つまり対話するように展示されています。
坂下麦の『SUKI』が魅惑的ではないでしょうか。これはごく薄い和紙とステンレスの細線を組み合わせた照明で、「すき」とは透き、隙、数寄を意味する掛詞になっています。有名なイサム・ノグチの『AKARI』を再解釈して制作した作品ですが、淡い光に温かみを感じました。
肌色のカラーリサーチから始まったという蓑島さとみの『Skin Tote』もユニークな作品です。肌を臓器や人格を内包する容器と捉え、色の多様性と奥行きを見出した蓑島は、それをカバンとして造形化しました。
『デザイン・ダイアローグ メゾン・エ・オブジェ・パリ展』からル・コルビュジェによるタペストリーなど
この他、イントロダクションとして、かつて高島屋で開催されたシャルロット・ペリアン展「選擇・傳統・創造」(1941年)や「ル・コルビュジェ、レジェ、ぺリアン三人展」(1955年)にて公開された家具なども展示されています。高島屋とフランスのデザインとの長い関係が伺えますが、ル・コルビュジェによるタペストリーも見どころとなりそうです。
春から夏にかけて京都、名古屋へも巡回!
日々の暮らしに追われていると、なかなか身の回りのデザインにまで深く意識が及ばないかもしれません。しかしこの展覧会では過去から現在の多様なデザインが紹介しているとともに、若手クリエーターに焦点を当てることで、未来のデザインの可能性も指し示しています。そうしたクリエーターの作品からは、生活を豊かにするようなヒントも得られるのではないでしょうか。
『デザイン・ダイアローグ メゾン・エ・オブジェ・パリ展』巡回予定
・京都高島屋7階7階グランドホール 4月28日(木)〜5月9日(月)
・ジェイアール名古屋タカシマヤ10階特設会場 8月17日(水)〜8月30日(火)
なお展示は東京での会期を終えると京都、および名古屋の高島屋へと巡回します。各会場の営業時間等は決まり次第、お知らせがありますが、関西、中京地区の方も楽しみにしていてください。
『デザイン・ダイアローグ メゾン・エ・オブジェ・パリ展』 日本橋高島屋S.C. 本館8階ホール
開催期間:2022年3月3日(木)〜3月21日(月・祝)
所在地:東京都中央区日本橋2-4-1
アクセス:東京メトロ銀座線・東西線日本橋駅直結。都営浅草線日本橋駅から徒歩4分。
開館時間:10:30~19:30
※最終日は16時まで
※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
料金:一般・大学・高校500円、中学生以下無料。
https://www.takashimaya.co.jp/store/special/maison-objet/top.html
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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
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