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2022.6.14

総合芸術をたった1枚で表現する。『MONDO 映画ポスターアートの最前線』

忘れられない映画はありますか?

私は「スター・ウォーズ」シリーズが大好きで、新作が公開される度に見に行きますし、グッズだってつい買ってしまいます。小学生の頃はライトセーバーのおもちゃが欲しくて欲しくてたまらなかったのですが、女の子は女の子らしくお人形遊びをするもの、という価値観が普通だった当時、買って欲しいとは言い出せませんでした。その反動ですかね、グッズを買い集める大人になったのは。

総合芸術をたった1枚で表現する。『MONDO 映画ポスターアートの最前線』展示風景

忘れられない映画、誰にでも1つや2つはあると思います。近年、そうした往年の名作を再解釈した、アートとしてのポスター復権の動きが生まれているそうです。その最前線にいるのが、アメリカ・テキサス州オースティンに本拠地を置く『MONDO(モンド)』というアート集団です。

総合芸術をたった1枚で表現する。『MONDO 映画ポスターアートの最前線』『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』(1980年 /アメリカ/アーヴィン・カーシュナー監督)
ポスター:タイラー・スタウト(2010年) MONDO 所蔵

MONDOが制作したポスター71点が展示される展覧会『MONDO 映画ポスターアートの最前線』が、京都国立近代美術館で始まりました。本展は国立映画アーカイブと京都国立近代美術館が共同する映画ポスター展の第9弾。国立映画アーカイブでの開催が終了し、京都では7月18日まで開催されています。

総合芸術をたった1枚で表現する。『MONDO 映画ポスターアートの最前線』展示風景

この記事では、MONDOとはどんな人たちの集団なのか、展覧会の見どころはどこなのか、詳しく紹介していきます。

MONDOってどんなアート集団?

総合芸術をたった1枚で表現する。『MONDO 映画ポスターアートの最前線』『タクシードライバー』(1976年/アメリカ/マーティン・スコセッシ監督)
ポスター:マルティン・アンシン(2013年) MONDO 所蔵

映画のポスターといえば、一般的には宣伝用のポスターを指します。しかし、MONDOが制作するのは宣伝用ではなく、アートとしてのポスター。グラフィック・デザイナーやイラストレーター、画家などのアーティストたちが映画を自在に解釈し、映画を1枚に表現したポスターです。

MONDOは、2004年に映画館「アラモ・ドラフトハウス」系列のTシャツ店として生まれました。独自に制作したポスターがTシャツよりも人気を集めるようになり、宣伝用ではないもうひとつのポスター、「オルタナティブ・ポスター」というカルチャーが生まれました。

ポスターのどこを見たら良い?

総合芸術をたった1枚で表現する。『MONDO 映画ポスターアートの最前線』『ブルース・ブラザース』(1980年/アメリカ/ジョン・ランディス監督
ポスター:オリー・モス(2010年) MONDO 所蔵

MONDOのポスターのポイントは、新作映画の公開時にPRのために作られたものではない、ということ。いつまでも色あせない名作映画を、アーティストたちが独自に再解釈し、ポスターという形で表現しているのです。

総合芸術と言われるとおり、映画はさまざまな要素で成り立っています。映像そのものの美しさ、ストーリー、俳優の演技、セット、小道具、BGM……。映画が始まってから終わるまでの間、すべての要素がバランス良く調和しているのです。

総合芸術をたった1枚で表現する。『MONDO 映画ポスターアートの最前線』『レポマン』(1984年/アメリカ/アレックス・コックス監督)
ポスター:ジェイ・ショー(2013年) MONDO 所蔵

こうした複雑な映像表現を、1枚の静止画であるポスターに還元してしまう。とても大胆な行為だと思いませんか?

どう考えても、映画本編よりもポスターのほうが情報量が少なくなるはず。BGMなんてポスターには使えないですし。ところがMONDOのポスターは、映画が持つ魅力を気持ち良いくらい明快に、端的に伝えてくれます。映画の一番の魅力を掴み、ポスターで的確に表現されているのです。

国公立では世界で初めての展覧会

総合芸術をたった1枚で表現する。『MONDO 映画ポスターアートの最前線』展示風景

これまでにMONDO自身による小規模な展示が行われたことはあるものの、国公立の映画機関や美術館で展覧会が行われるのは、今回が世界で初めてとのこと。

1色ずつインクを刷り重ねたMONDOのポスターには、一見に値する手作り感が溢れています。デジタルによる着色とは異なるナマモノの質感は、実物でしか味わうことができません。

総合芸術をたった1枚で表現する。『MONDO 映画ポスターアートの最前線』展示風景

旧作映画を題材に、アナログな方法でポスターを制作するMONDO。古き良き映画芸術への憧憬も感じられて、胸が熱くなる展覧会でした。

展覧会情報

MONDO 映画ポスターアートの最前線

会場:京都国立近代美術館 4F コレクション・ギャラリー内
会期:2022年5月19日(木)~7月18日(月・祝)
休館日:7月18日を除く毎週月曜日
開館時間:9:30~18:00
※7月12日(火)~7月18日(月・祝)は、10:00~18:00
※金曜日は20:00まで開館(5月20日と7月15日を除く)
※入館は閉館の30分前まで
公式サイト:https://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionArchive/2022/447.html

明菜

明菜

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美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。

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