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2022.6.27

1100体のワニがまわる?!現代美術家、タムラサトルの展覧会が国立新美術館にて開催中

1972年生まれの現代美術家、タムラサトル。これまでに主に電気で動く立体作品で知られ、火花を出しながら点滅する白熱灯や音を出しながら回る布、また記号を象ったチェーンが動く作品などを制作してきました。

1100体のワニがまわる?!現代美術家、タムラサトルの展覧会が国立新美術館にて開催中

そのタムラがワニをモチーフとしたインスタレーションを国立新美術館にて公開。「えっ?美術館でワニ?」という声も聞こえてきそうですが、正真正銘のワニ、まさにワニを象った作品以外の何物でもありません。見どころをご紹介します。

美術館の展示室にてワニがまわる!その驚きの光景とは?

1100体のワニがまわる?!現代美術家、タムラサトルの展覧会が国立新美術館にて開催中

まず上の1枚の写真をご覧ください。ちょうど会場の入口から展示室の中央部分を写した光景ですが、左に緑色の大きな立体の作品が見えます。そう、これがワニ、実に約12メートルにも及ぶ巨大なワニの作品なのです。

1100体のワニがまわる?!現代美術家、タムラサトルの展覧会が国立新美術館にて開催中

もう少し近寄ってみましょう。目を見開き、口を大きくあけながら、長い体を横にピンと伸ばすようにしてワニが台座の上に置かれています。そしてこの台座が電気仕掛けの装置になっていて、電力とモーターによってひたすら回転しています。つまりワニがまわっているのです。

1100体のワニがまわる?!現代美術家、タムラサトルの展覧会が国立新美術館にて開催中

これこそがタイトルにも付けられた「ワニがまわる」の意味。会場にはこの巨大な緑のワニをはじめ、黄色や赤、それに青などの色とりどりのワニが実に約1100体もまわっています。また小さいもので10センチ程度とサイズもさまざま。回転するスピードもすべて同じではありません。とあるワニに至っては、静止していたと思うと、突然、ギギギと音を立ててまわったりすることもあります。

タムラサトルがワニをまわる作品を作ったきっかけ

1100体のワニがまわる?!現代美術家、タムラサトルの展覧会が国立新美術館にて開催中

どこを見てもワニ、ワニ、ワニ…。どれもくるくるとまわっていて、しばらく見ていると目も回りそうですが、どうしてタムラはワニがまわる作品を作ろうとしたのでしょうか? そもそも美術館にてワニをまわらせるというアイデア自体、とてもユニークだと思いませんか?

きっかけは1994年にまでさかのぼります。この年の秋、当時、大学3年生だったタムラに「電気を使った芸術装置」を作るという課題が出たのです。しかし電気に関する知識がなかったタムラは困惑。あれこそ考えるものの、なかなかアイデアが浮かばなかったために、プラン発表の前夜、朝起きて最初に思い描いたものを作ると決めて就寝します。

そして翌朝、なぜか「ワニがまわる」という絵が浮かび、それを作ることにしたのです。結果的に完成したのが、ウレタン製のワニの彫刻がモーターを動力源に毎分30回転する作品、名付けて『スピンクロコダイル』。長さは4.5メートルでした。

1100体のワニがまわる?!現代美術家、タムラサトルの展覧会が国立新美術館にて開催中

タムラはこの作品を作った時、「何か得体の知れないものに出くわしたような強烈な興奮を覚えた」と語っています。そしてその後も「ワニがまわる」理由を考えながら、まわるワニの作品を作り続けます。以来、30年。ワニの数や色、サイズ、それに回転速度を変化させながらバリエーションを変えて創出してきました。タムラとってまわるワニとは、もはやライフワークと呼んで良いかもしれません。

ワニがまわることの意味とは?不思議なもやもやを楽しむ

1100体のワニがまわる?!現代美術家、タムラサトルの展覧会が国立新美術館にて開催中

ワニがまわることはどのような意味を持つのでしょうか。実はタムラはワニがまわることに意味はなく、むしろなぜか分からないがワニがまわっているという不思議な現実こそが面白いと考えています。また「なぜワニがまわるのか」という問いに答えはないとも言っています。そしてワニがまわる状況こそが面白さの本質であることに気づくまで、タムラは約2年かかったそうです。

1100体のワニがまわる?!現代美術家、タムラサトルの展覧会が国立新美術館にて開催中

今回のインスタレーションを『スピンクロコダイル・ガーデン』と名付けたタムラは、この空間を1100体ものカラフルなワニの彫刻がまわる庭園と位置付けました。またワニの一部は、タムラが籍を置く宇都宮メディア・アーツ専門学校の学生や、日本大学芸術学部デザイン学科の有志、それに国立新美術館にて行われたワークショップの参加者によって制作されています。そのうち美術館のワークショップでは、小中学生9名と大人15名が参加し、2日間にわたってワニの身体作りや色付けが行われました。

1100体のワニがまわる?!現代美術家、タムラサトルの展覧会が国立新美術館にて開催中

最後にタムラは来場者へのメッセージとして、「アートは自分にとって好きか嫌いでも良い」とし、「わけが分からないもやもやの楽しさを感じてほしい」と語っています。会期は約1ヶ月限定。観覧は無料です。美術館の展示室にて大量のワニのオブジェが一斉にくるくるとまわるという、どう考えても不思議で謎めいた光景を楽しんでみてください。 


※写真はすべて『ワニがまわる タムラサトル』展示風景

『ワニがまわる タムラサトル』 国立新美術館 企画展示室1E
開催期間:2022年6月15日(水)~7月18日(月・祝)
所在地:東京都港区六本木7-22-2
アクセス:東京メトロ千代田線乃木坂駅6出口より直結。東京メトロ日比谷線六本木駅4a出口から徒歩約5分。都営大江戸線六本木駅7出口から徒歩約4分
開館時間:10:00~18:00
 ※金曜・土曜は20時まで開館
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:火曜日
料金:無料
https://www.nact.jp

はろるど

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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。