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EVENT

2022.10.11

展覧会・博覧会のはじまりとは?京都・龍谷ミュージアム「博覧 -近代京都の集め見せる力-」

いまでは美術館や博物館に足を運べば当たり前に開催されている展覧会や博覧会。その始まりをご存じですか?

今日に至るまでのその歩みや試みなどに触れられる秋季特別展「博覧 -近代京都の集め見せる力-」が、京都の龍谷(りゅうこく)ミュージアムにて開催中です。その見どころをご紹介します。

「博覧」とは?

本展覧会の企画・構成を担当した学芸員・和田秀寿さん

幼い頃、小石や貝類、切手やコインを夢中になって集め、そのコレクションを友人と見せ合い、楽しんだ記憶はありませんか? ……その思いは好奇心や満足感から、時には探求心へと膨らんでいくこともあります。

「“集める”という行為自体には、さまざまな想いがこめられています」と語るのは、龍谷ミュージアムの本展覧会の企画・構成を担当した学芸員・和田秀寿さん。

「博覧(はくらん)」とは趣味や研究、社会の発展のため、ある種のモノや資料を広く集め、一般に公開するという意味です。そして、その催しが博覧会や展示会であり、その常設の機関が博物館です。

日本の近代化を支えた博覧

会場風景

龍谷ミュージアムにて開催中の本展覧会では、集めて見せる試みとして開催された2つの博覧会と2つの博物館を取り上げ、当時の主催者側の展示に込めた強い思いを探ります。

明治時代から昭和戦前期にかけて、京都で開催された博覧会や展示会、開設された博物館では、さまざまな手法を用いて展示資料を集め、見せ方(展示手法)や意匠(展示造作)にも工夫を凝らしていました。

明治維新後、博覧会や博物館は日本の近代化を進める上で重要な役割を担ってきたのです。

4つのテーマで切り取る博覧

会場風景

会場では、日本初の「博覧会」と称された「京都博覧会」、明治初期から継続された浄土真宗の法灯を伝える大規模な展覧会「西本願寺蒐覧会(しゅうらんかい)」、仏教を児童に伝える博物館「仏教児童博物館」、京都で先駆的な自然史系博物館「平瀬貝類博物館」の4つを紹介しています。

1. 京都博覧会

西本願寺を会場として開催された「京都博覧会」は、日本初の博覧会として多くの観覧者を集めました。初期は外国人へのPRも図られ、外国人に向けた新聞やポスターなどの告知物だけでなく、入館チケットなどからも伺えます。

2. 西本願寺蒐覧会

続く、西本願寺が独自の手法で企画した「西本願寺蒐覧会」では、浄土真宗の法灯を伝える大規模な展覧会として、全国各地から人力で仏像等の法宝物を京都に持ち込んだことから、当時の人々が抱く仏教の信仰心への強さを感じることができます。

3. 仏教児童博物館

また、龍谷大学図書館に設立され、円山公園近くに独立施設として開館した「仏教児童博物館」では、50年以上の長きに渡りさまざまな知恵を絞って、運営・継続に尽力した様子が伺えます。当時、アメリカと友好関係を図ったとされている返礼人形を介したコミュニケーションもご覧になることができます。

4. 平瀬貝類博物館

最後の京都で先駆的な私設の自然史系博物館「平瀬貝類博物館」では、今では一般的となっているミュージアムショップが開設され、そこで販売されていた品々の売上が運営資金の一部となっていたそうです。その他にも心躍るような貝類標本やカタツムリの構造模型などが展示されていました。

最後に…

会場風景

本展覧会は古写真や文献資料約200点から、当時の展示の工夫や意義を探っています。

会場構成や展示方法から伺える主催者側の情熱はもちろん、展示作品や関連資料から当時の様子が感じられ、今日に至るまでの博覧会や博物館の歩みを疑似体験できます。

こうして美術館や博物館で開催される展覧会や博覧会が当たり前になっている今、あらためて先人の情熱があったからこそ、私たちは作品を鑑賞できているのだと感じました。

会期中には、さまざまなテーマの記念講演会やワークショップが開催されるので、足を運んでみてはいかがでしょうか。


取材・撮影・文:新麻記子

展覧会情報

秋季特別展「博覧 -近代京都の集め見せる力-」
会期:2022年9月17日(土)~11月23日(祝・水) 
※前期:10月16日(日)まで、後期:10月18日(火)から
会場:龍谷ミュージアム
時間:午前10時~午後5時
※10月7日(金)・21日(金)は午後8時まで。入館は閉館時間の30分前まで
休館:月曜日
※9月19日(祝・月)、10月10日(祝・月)は開館。9月20日(火)、10月11日(火)は休館
ホームページ:https://museum.ryukoku.ac.jp/exhibition/2022/hakuran/

【記念講演】
「特別展回想 列品解説と共に」
講師:和田秀寿(龍谷ミュージアム学芸員)
日程:11月13日(日)13:30~15:00
会場:龍谷大学大宮学舎東黌
※事前申し込み必要/聴講無料/各回先着150名/観覧券必要(観覧後の半券可)

【ワークショップ】
【1】貝を使ったリース作り
講師:大谷洋子氏(西宮自然保護協会理事)
日時:10月15日(土)
①11:00~12:30、②15:00~16:30
会場:龍谷ミュージアム101講義室
参加費:お1人500円
【2】天然石から岩絵具を作ろう
講師:米田寿恵氏(龍谷大学先端理工学部 研究補助員[森正和研究室])
日時:10月29日(土)
①11:00~12:30、②14:00~15:30
会場:龍谷ミュージアム101講義室
参加費:お1人800円
※企画:森正和(龍谷大学先端理工学部)
※事前申し込み必要/各回先着10名/当日の観覧券必要(当日の観覧後の半券可)
※小学校低学年の方が参加する場合は、保護者が付き添ってご参加ください(付き添いのみの参加は無料)。

【写真7枚】展覧会・博覧会のはじまりとは?京都・龍谷ミュージアム「博覧 -近代京都の集め見せる力-」 を詳しく見る
新 麻記子

新 麻記子

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アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。

アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。

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