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EVENT

2022.10.14

東京の地場に発する国際芸術祭。本祭へ向けたプレイベント「東京ビエンナーレ 2023 はじまり展」が開催中!

東京のまちを舞台に2年に1度開催される国際芸術祭、東京ビエンナーレ。第1回目はコロナ禍によって当初の2020年から会期が延期され、翌年に「東京ビエンナーレ2020/2021」として開催されました。そこではアーティストによる展示のほか、地域の人々の参加するプロジェクトが行われ、街の景観を取り込んだARの作品などでも注目を集めました。

「東京ビエンナーレ 2023 はじまり展」から中村政人「メタユニットM1プロジェクト_寛永寺」

第2回目の「東京ビエンナーレ2023」は会期を2023年の7月から10月に設定し、さまざまな取り組みが行われていますが、現在、プレイベントとして本祭に向けた計画展示と一部のアートプロジェクトを公開する「東京ビエンナーレ 2023 はじまり展」が開かれています。

まずは東叡山寛永寺へ。「東京ビエンナーレ2023」への計画や構想を知ろう

「東京ビエンナーレ2023計画展示」外観

まずメイン会場の1つが、2025年に創建250年を迎える東叡山寛永寺(台東区)です。ここでは「東京ビエンナーレ2023計画展示」として、「セキスイハイムM1」のボックスを用い、小池一子 + 一力昭圭、並河進、宮本武典、Tokyo Urban Farming、中村政人、⻄原珉、藤幡正樹らが、2023年に向けて各地域やデジタル空間上で構想するプロジェクトを発表しています。

「東京ビエンナーレ2023計画展示」より。リング型のシールにメッセージを書き込むことができます。

また「東京ビエンナーレ2023」のテーマは「リンゲージ つながりをつくる」ですが、「あなたもリンゲージに参加しませんか?」として、来場者が「東京ビエンナーレ2023」でやってみたいことを記入して貼るコーナーもあります。すでにパネルには多くのメッセージが寄せられていました。

川家の歴代将軍が集結?⽇⽐野克彦の『ALL TOGETHER NOW≪Transforming box series≫』が面白い

⻄村雄輔『ECHO works』

この東叡山寛永寺で作品を公開しているのが、⻄村雄輔、鈴⽊理策、⽇⽐野克彦の3名のアーティストです。まず根本中堂前では西村雄輔が上野の土を採取して、回向柱をイメージした『ECHO works』を展示。柱から四方に紐を伸ばすことで、周囲や未来へのつながりを意識しています。

鈴⽊理策『1868』 撮影:池ノ谷侑花(ゆかい) ※東京ビエンナーレ事務局より提供

根本中堂では、鈴⽊理策が旧幕府軍と新政府軍が戦った上野戦争の足跡などを撮影した映像、『1868』を見せています。15代将軍徳川慶喜は1868年、寛永寺に2ヶ月間謹慎していましたが、その史実とコロナ禍の外出自粛に着想を得て制作しました。

日比野克彦『ALL TOGETHER NOW 《Transforming box series》』 撮影:池ノ谷侑花(ゆかい) ※東京ビエンナーレ事務局より提供

渋沢家霊堂前庭での⽇⽐野克彦による『ALL TOGETHER NOW≪Transforming box series≫』も見逃せません。徳川家の15人の将軍のうち、寛永寺には6人のお墓が存在していますが、残りの9人の将軍を段ボールの立体に見立て、歴代のすべての将軍が集った様子を表しているのです。

日比野克彦『ALL TOGETHER NOW 《Transforming box series》』 撮影:池ノ谷侑花(ゆかい) ※東京ビエンナーレ事務局より提供

美しい庭園へ日用的な段ボールが介在する光景そのものも面白いのではないでしょうか。

東京ドームシティをめぐる流動へアートで対峙する。高橋臨太郎の作品とは?

高橋臨太郎『After a typhoon』記録写真

さて東叡山寛永寺のある上野桜木を離れ、次の会場である水道橋へと向かいましょう。東京ドームシティ(文京区)では、高橋臨太郎が場所をリサーチしてアート作品を制作。東京ドームを中心に吹き抜けていく風に向かってパラシュートを引っ張るパフォーマンスや、弓形の木板に水糸を張った自作のハープを演奏した時の写真や映像、それに音楽を公開しています。

東京ドームシティ会場における高橋臨太郎の展示風景

場所は東京ドームシティのGallery AaMoと都営三田線水道橋駅A3出口をつなぐ通路です。ちょうど駅出口より弧を描くようにして通路が続いていますが、その壁面のほとんどを全て用いて写真などを展示しています。ハープの奏でる音に耳を傾けながら作品を鑑賞するのも楽しいかもしれません。

カフェも併設!コミュニティスペースとして生まれ変わった「優美堂」

神田小川町の靖国通り沿いに建つ優美堂。

最後は水道橋からも歩いていける神田小川町です。戦前から額縁屋として建ち、アーティストの中村政人と協力者による「優美堂再生プロジェクト」にてコミュニティスペースとして生まれ変わった優美堂(千代田区)でも展示が行われています。

中村政人「優美堂再生プロジェクト/ニクイホドヤサシイ」展示風景

そのうち2階では優美堂に残された額縁と複製画を使った中村の作品を展示。あえて複製画の上に油絵具でドローイングした、名画へのリクペストとも言える絵画が並んでいます。

優美堂よりカフェスペース。

また優美堂ではカフェも併設され、コーヒーから日本茶、また日本酒などのアルコール、さらには名物の富士山カレーなどをギャラリーの作品を見ながら楽しむことができます。

優美堂のカフェにてオレンジティー。

自家製のオレンジシロップにローズマリーを添えたオレンジティーを頂きましたが、程よい甘味が口に広がって癒やされました。

今後は大丸有でもプロジェクトが展開。来年へ向けて盛り上がりを見せる「東京ビエンナーレ 2023」

前回の「東京ビエンナーレ2020/2021」より藤浩志『kaekko Expo.』展示風景。※会場:アーツ千代田3331 会期:2021年8月17日(火)〜9月5日(日)

現在の「東京ビエンナーレ 2023 はじまり展」は東叡山寛永寺と東京ドームシティ、それに優美堂の3カ所にて開かれていますが、今後は「東京ビエンナーレ2020/2021」でも作品が展開した大手町・丸の内・有楽町、通称「大丸有」エリアでもプロジェクトが行われます。また谷中や大丸有、それに吉原をめぐるツアーも実施されます。

来年へ向けて盛り上がりを見せそうな「東京ビエンナーレ 2023」。「はじまり展」の会期は10月30日までです。お見逃しなきようにおすすめします!

展覧会情報

『東京ビエンナーレ 2023 はじまり展』
[開催期間]2022年10月6日(木)〜10月30日(日)※メイン期間
[開催場所]東叡山寛永寺、東京ドームシティ、優美堂ほか
[休場日]寛永寺会場:月〜水曜日(祝日は開場)、優美堂会場:水曜日
[開催時間]
 寛永寺会場:10:30〜16:30(入場は16:00 まで) ただし根本中堂は15:30最終入場、16:00閉場
 東京ドームシティ:終日公開(夜間1:30〜4:30は立入不可)。
 優美堂会場:11:30〜18:00(木・金・土は20:00 まで)
[料金]入場無料(一部、有料イベントあり)
https://tokyobiennale.jp

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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

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