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INTERVIEW

2023.3.28

「見るだけで自信になる“分身”を」200人が完成待ち!「マルメのモンスター屋」が描く自己肯定を具現化したモンスターたち

「#あなたがモデルのモンスター描きます。」をキャッチコピーに、依頼者をモデルにしたモンスターを描いている「マルメのモンスター屋」さん。ただ単に似顔絵ではなく、アンケートやSNSの投稿内容などから人柄までをインプットし、作品を作っています。

2023年1月から開始したクラウドファンディングでは目標金額30万円に対して、3月26日現在で136万9,000円と456%で大幅に達成。プロジェクト終了を3月31日に控え、現在も予約が殺到している大人気のイラストレーターです。

今回はそんなマルメのモンスター屋さん、店主・マルメさんにインタビュー。活動をはじめた背景や、制作時に意識していること、作品を通して依頼者に感じてほしいことなどについてお話をうかがいました。

人気沸騰で現在は「200人が完成待ち」

――現在の活動を教えてください。

依頼者様をモデルにしたモンスターを創作してお届けしています。アンケートやSNS投稿で性格を把握させていただき、依頼者様の個性や魅力を体現したモチーフや色合いで創作をしているのが特徴です。

――ただ単に似顔絵ではないのがおもしろいですよね。そこに創作の余地というか、アート性があります。

そうですね。アンケート回答から得られる情報を結びつけて、ご依頼者さまのお人柄を推察します。この「推察」は私の主観でおこなうものですので、創作の余地がある部分ですね。

――アンケート項目を伺ってもよろしいでしょうか。

「どんなときに楽しいと感じるか」「どんなときに悲しいと感じるか」「どんな信念があるか」などです。そのなかから“長所”を見つけて作品を作っています。ただアンケートだけでは、素直なお人柄が出てきにくい場合もあると思いますので、可能でしたらSNSの投稿も確認させていただいて性格を把握するようにしていますね。

占いやスピリチュアル的なカウンセリングのように「その人の本質を見抜く」というものではありません。「ひとりの知人が、自分にこんな魅力を見出してくれた」というふうに受け止めていただけると嬉しいです。

――反響はいかがでしょうか。

ありがたいことにInstagramで見つけてくださり、多くの依頼があります。今は200人ほどのご依頼がある状態です。

――え、すごいですね!

そうですね。自分でもここまで求めてくださると思っていなかったので、驚いています。

「生きづらさ」を肯定する作品を

――画風が独特ですよね。可愛らしさはもちろんですが、ただかわいいだけではない、少しあやしさも感じます。

そこは注力している部分で、自分では「いじらしさ」を意識していますね。ただ単にかわいいだけでなく、生きづらさを感じながらも健気に生きているような雰囲気になればいいな、と思うんですよ。

――なるほど。この画風は作品を通して伝えたいメッセージに通ずるところもあるんでしょうか。

そうですね。メッセージとしては依頼者様が自分を好きになれるような作品になればいいなと思っています。

その背景には自分の体験があるんです。自分は芸術系の大学を出た後に広告やデザインの企業に就職したんですが、新卒で何もできなくてすごく叱られていたんですね。いま考えたらパワハラというか、理不尽な理由が多かったのですが、新卒ならではの無力感もあって「すべて自分ができないことが悪い」と思い込んでしまったんです。

そこでひどく自尊心が傷ついてしまい、身体を壊して、やがて入院に至りました。そのとき「辛かった時期に“長所”を意識できなかったこと」が自分を肯定できない大きな要因だと思ったんですね。あのとき「あなたの長所はここだよ」って言ってもらえたら何か変わったと思うんです。

――なるほど。

追い込まれたときって客観的に自分を見られないので、つい自分を責めちゃうんですよね。だからこそ「自分の長所を描いた作品や言葉が近くにあって、いつでも見返せたら自信につながるんじゃないかな」と思って、この活動を始めました。

だから私は作品と一緒に必ず、お人柄の考察の結果や、そこから導き出したモンスターのコンセプトを、ことばで明確につづってお届けしています。

今はお届けした後に、依頼者の皆さんから「自分を認めてもらえた気がした」「どういう生き方をすればいいかを考えるきっかけになった」「このモンスターに力をもらえた気がした」などのお礼のメッセージをいただけることがあります。

そのときは自分の活動が誰かの自信につながったようで本当に嬉しいですね。

「人を見る力」が作るオーダーメイドのモンスター

――この活動をするなかで、絵のスキルだけでなく、人を見る力も大切になりますよね。

周りの人を見ることは、自分にとっては幼い頃からの習慣のようなものですね。

きっかけがあって、小学生のときに下級生が転んで泣いちゃったのを見たんです。そのとき隣の友だちはすぐに駆け寄って助けていたのに、私は何もできなかったんですよ。

そこで「自分にもちゃんと優しさってあるのかな」って、すごくショックを受けて、それから特に周りの人が何を感じているかについては意識しながら、これまで生きてきました。退職したあとに「自分の得意分野を生かして仕事をしよう」と思い、長所をリストアップしてみたのですが「人を観察する意欲」はすぐに出てきましたね。

セルフコントロールの重要さも感じていますね。

――誰かの性格を具現化するにあたって、ご自身のメンタルを健康に保つことも重要ですよね。

はい。やっぱりまずは自分自身の個性を認める姿勢でないと、依頼者さまの個性を絵に落とし込むことはできないと思っています。そのなかで「自分自身を認めてあげること」はすごく意識していますね。

――今後、やりたいことはあるんですか?

いま、モンスターを絵に描いたり、フィギュアにしたりしているんですが、今後は「モンスターお守り」を作りたいと思っています。例えば受験のとき、不安になっているときにふと見返して力につながるようなモンスターがいるといいな、と。

私自身、大学受験で二浪したんですが、その時に自分を褒めて勇気づけてくれる存在がいたら何か変わったのかな、と思います。ポケットや財布などに忍ばせる「お供」として、モンスターを、ご自身の尊さを思い出すきっかけにしてもらえれば嬉しいですね。

・マルメのモンスター屋 Instagram
https://www.instagram.com/mu_poika_drawing/

・マルメのモンスター屋 BASEshop
https://kimandesign.base.shop/

・【クラウドファンディングサイト】#あなたがモデルのモンスター描きます。お人柄をお調べして、個性や魅力を描きます。 - CAMPFIRE (キャンプファイヤー)
https://camp-fire.jp/projects/view/646083
※募集期間は2023年3月31日まで

【写真3枚】「見るだけで自信になる“分身”を」200人が完成待ち!「マルメのモンスター屋」が描く自己肯定を具現化したモンスターたち を詳しく見る

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ジュウ・ショ

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アート・カルチャーライター。サブカル系・アート系Webメディアの運営、美術館の専属ライターなどを経験。堅苦しく書かれがちなアートを「深くたのしく」伝えていきます。週刊女性PRIMEでも執筆中です。noteではマンガ、アニメ、文学、音楽なども紹介しています。

アート・カルチャーライター。サブカル系・アート系Webメディアの運営、美術館の専属ライターなどを経験。堅苦しく書かれがちなアートを「深くたのしく」伝えていきます。週刊女性PRIMEでも執筆中です。noteではマンガ、アニメ、文学、音楽なども紹介しています。

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