LIFE
2023.12.8
都心から約1時間。「都市と自然のベストミックス」相模原にて自然とアートを満喫しよう!
神奈川県の北部に位置し、人口約72.5万人を有する政令指定都市の相模原市。JRや私鉄などあわせて6つの鉄道路線が通る同市は、交通アクセスの良さなどを背景に開発が進み、首都圏を代表する都市として発展を続けてきました。
目次
ケヤキの森、ネムノキの森、ミズキの森、森の遊び場などからなる「コナラの森」。建物の一部はワークショップで作られています。
また橋本駅周辺には、リニア中央新幹線(2027年開通予定)の神奈川県駅(仮称)の設置も予定されています。
一方で相模原市は、東側に相模原台地、西側に丹沢山地・秩父山地が広がるなど、市域の6割以上を緑が占める自然豊かなまちでもあります。そうした相模原市の津久井地区や藤野地区といった、中山間(ちゅうさんかん)地域にて気軽に楽しめる自然とアートをご紹介します。
薪割り、森林浴からマウンテンバイクまで。「つちざわの森」にて里山体験を楽しもう!
「つちざわの森」。幹線道路からすぐの民家を通った先には、別世界のような森の景色が広がっています。
最初に訪ねたのは、圏央道相模原ICから車で約5分、津久井湖にもほど近い約13ヘクタールの里山「つちざわの森」です。
12年前から「森あそび会」が地域の子どもたちの森の遊び場を、「MTB(マウンテンバイク)チーム」がMTBコースとして、それぞれ森林整備をしながら活動を続けてきた「つちざわの森」は、現在、2021年に発足した合同会社ヘリテッジキーパーが運営しています。
合同会社ヘリテッジキーパーのみなさん。一番右はMTB体験のインストラクターの渡辺安良さん。その隣が青木薫さん。
ヘリテッジキーパーは津久井の里山資源を次世代へ受け継ぐため、MTBコースやキャンプ場の運営、それに教育研修プログラムなどの多様な森林サービス事業を展開してきました。
森林浴プログラムでは同社代表社員の青木薫さんのガイドのもと、テレビCM撮影にも使われたケヤキの森へと分け入ります。そして樹木に触れ、目を閉じて深呼吸しながら、五感を使って森を感じる時間を過ごしてみましょう。
また土を掘り起こして匂いを嗅いだり、ハンモックに身を委ねたり、木漏れ日に揺らぐ光を浴びる体験も癒されるのではないでしょうか。
MTB体験ではインストラクターの渡辺安良さんの指導のもと、森の中にあるアップダウンに富んだコースを滑走。MTBに乗っていると、地面の起伏がダイレクトと伝わり、より森の存在を身体全体で受け止めることができます。
このほか、薪割り体験にて非日常を体験したあとは、自然栽培の津久井在来大豆の茹でたて枝豆を堪能します。必ずしも長い滞在でなくとも、森の中にしばらくいると、日々の疲れが飛び、身も心も軽くなるような気持ちにさせられました。
「つちざわの森」
所在地:神奈川県相模原市緑区根小屋2142
毎月第3日曜日は「つちざわ森あそびの日」(10:00〜16:00)
参加費:森林管理費1100円(高校生以下無料)、MTBレンタル550円、駐車場代550円。
公式サイト:「つちざわの森」
「カフェレストランShu」でのランチと藤野地区在住のアーティストが語る藤野の魅力。
次に向かったのは神奈川県最北西端に位置し、北は東京都八王子市と檜原村、また西は山梨県上野原市と道志村に接する藤野地区です。
北部には1000メートル級の山々がそびえ、中央部の東側には神奈川県民の水がめである相模湖がある山あいの藤野地区には、戦時中から戦後にかけて、藤田嗣治や猪熊弦一郎、荻須高徳といった画家らが疎開しました。
1986年には、当時の行政の主導によりアートを中心とした地域振興事業として「藤野ふるさと芸術村構想」が提唱されます。すると自然の中で創作活動ができる場として、長い年月をかけながら多くのアーティストたちが集まり、在住アーティストと町の未来に夢をもつ住民らの熱意が一体となって、さまざまなアート活動・イベントが行われるようになりました。現在は広い意味でのアーティストとして300名ほどが在住し、それぞれが自由に創作活動を続けているといわれています。
「カフェレストランShu」。店内の随所にアート作品も飾られています。
藤野地区の日連にある「カフェレストランShu」は、地場の新鮮野菜を使ったサラダや、自家栽培のバジルでじっくりと煮込んだジェノベーゼソースなど、時間と手間ひまをかけたオリジナル料理が味わえる人気のレストランです。またギャラリーやライブ会場にも活用されるなど、藤野のアーティストらの交流の場としても知られています。
「カフェレストランShu」にて挨拶するオーナーの森久保周一さんと和子さん。
この日はいずれも藤野在住で、グラフィックデザイナーの佐藤純さん、クラフト作家のさとうますよさん、木工作家の藤崎均さんによるトークセッションが開催され、それぞれの立場から藤野に緩やかに作られたアートコミュニティについて語られました。
藤野のアーティストのつながりは自然発生的に生まれ、地域の人々も「アートは詳しくないけど面白いね」と自然と盛り上がるという佐藤さんや、固定的なグループがなく、あたかも「大小のシャボン玉のようにアーティストが集う」と語るさとうさんのお話も興味深いのではないでしょうか。
「カフェレストランShu」の落ち着いた雰囲気の店内席。ギャラリーとして使われたり、ライブイベントが開催されたりします。
2007年に藤野へ移住したという藤崎さんは、「藤野にはアーティストを呼ぶ雰囲気がある」として、「いまも20代や30代の若いアーティストたちが藤野へとやって来ている」と語りました。これからもさまざまなアート活動が藤野から発信されることでしょう。
目の前の畑で採れる野菜と藤野の地元素材を使用。オリジナルカレーソースは玉ねぎを4時間以上かけて炒めた後、自家栽培したコリアンダーなどいろいろな種類のハーブ、スパイス、そして野菜をブレンドして丹念に2日間煮込み、熟成させてから提供されます。
「カフェレストランShu」
所在地:神奈川県相模原市緑区日連981
営業日:金・土・日・祝日
営業時間:11:30~17:00( L.O 16:30 )
公式サイト:「カフェレストランShu」
「藤野ふるさと芸術村構想」によって作られた「芸術の道」の野外環境アート作品をめぐる。
「芸術の道」野外環境アート作品より土屋昌義『空を持つ柱』。ステンレスの板を組み合わせて作られています。
当時の藤野町のまちづくりとしてスタートした「藤野ふるさと芸術村構想」。この構想の中で昭和の終わりから平成のはじめにかけて作られたのが、名倉地区の里山に広がる28点の野外環境アート作品です。
「芸術の道」野外環境アート作品より原智『FLORA・FAUNA』。巨大な昆虫のようなかたちをした3つの立体作品より構成されています。
これらの野外環境アート作品は約30年あまり経ったいまも「芸術の道」と呼ばれる周回道路の沿道などに点在し、それぞれのアーティストたちが伝えたメッセージを送り続けています。
「芸術の道」野外環境アート作品より髙橋政行『山の目』。山の中にて埋もれるように目が見開き、下界を見下ろしています。
また設置から時代が経過しているからか、より作品が自然に溶け込んでように見えるかもしれません。
「芸術の道」野外環境アート作品より池田徹『森の記念碑』。鉄と石を用いた作品で、自然との調和と緊張感を演出しています。
「芸術の道」おすすめ散策コースは、満喫コース(180分)とお手軽コース(75分)の2つ。野外環境アート作品が点在するエリアはかなり広大なため、車で巡るのも便利ですが、森林浴を兼ねてのんびりと歩いて巡るのも楽しそうです。
オリジナルのサンドブラスト作品を作ろう!「藤野芸術の家」でのアート創作体験。
一般社団法人かながわ青少年協会が管理・運営する「藤野芸術の家」。
この藤野でのアート体験の拠点としておすすめしたいのが、芸術棟、宿泊棟、野外スペースからなる「藤野芸術の家」です。
「藤野芸術の家」芸術棟2Fのクリエーションホール。舞台と客席を収納するとフラットな空間として利用できます。
芸術棟では木工や陶芸、ガラス工芸が体験できる工房をはじめ、バンドの練習やレコーディングが可能な音楽スタジオ、さらに可動式の客席225席を有するクリエーションホールなどがあり、自然に囲まれた空間でさまざまな創造体験を楽しむことができます。
宿泊棟は和室と洋室をあわせ17部屋あり、最大で100名の宿泊が可能です。全室バルコニー付きの部屋からは山並みも見渡せる上、宿泊客専用の大中小の浴場も完備されています。また2階までの吹き抜けの明るいレストランもあり、リーズナブルな価格で宿泊できることでも人気を集めています。
「藤野芸術の家」芸術棟1Fの工房。木の工房では木工体験、土の工房では陶芸体験、そして自由工房ではサンドブラスト体験ができます。
この日の工房では、砂を吹き付けて模様を削るサンドブラストを体験。ガラス製のコップやお皿を選び、シールなどを使いマスキングしたのち、専用の機器にてガラス表面へと砂を吹き付け、模様をつけていきます。
用意されるガラスはビールグラスからぐい呑み、フォトプレートなど30種類以上にも及びます。またガラスを持ち込むことも可能です。
思い思いのデザインを施しながら、自分だけのオリジナルデザインで愛着のわく作品づくりを楽しみましょう。
「藤野芸術の家」
所在地:神奈川県相模原市緑区牧野4819
開館時間:9:00~21:00(1F工房は9:00~17:00)
休館日:毎週火曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12/28~1/4)
公式サイト:「藤野芸術の家」
眺望も抜群!リニューアルした源泉100%の「藤野やまなみ温泉」。
「藤野やまなみ温泉」。土日は駐車場がいっぱいになることもあります。
自然とアートを満喫した後、1日の汗を流すために最後に訪ねたのは、日帰り温泉の「藤野やまなみ温泉」です。
「藤野やまなみ温泉」の館内。フローリングには津久井産の木材が使われています。
今年8月に施設改修工事を終え、リニューアルオープンした「藤野やまなみ温泉」は、内湯・露天風呂とも源泉100%の天然温泉です。※内湯・源泉風呂:源泉100%かけ流し、内湯・内風呂:源泉100%かけ流し+循環ろ過、露天風呂:源泉100%かけ流し+循環ろ過
かつての中学校の跡地に建てられた施設は、里山の連なる小高い丘の上に位置していて、眺望も抜群。四季の自然を見ながらゆっくりリラックスした気分で入浴を楽しめます。
館内には内湯・露天風呂、サウナのほか、無料休憩所ややまなみ食堂、さらにお土産売り場もあり、相模原市の中山間地域でも人気のスポットとなっています。
「藤野やまなみ温泉」
所在地:神奈川県相模原市緑区牧野4225-1
営業時間:10:00〜21:00 最終受付は20:20
休館日:水曜日、元旦、12月31日(水曜日が祝日の場合は営業)
公式サイト:「藤野やまなみ温泉」
「都市と自然のベストミックス」を掲げる相模原市。その中山間地域では、森を守りながら次世代へと活かす取り組みが行われ、アーティストらによるコミュニティが築かれていたりするなど、さまざまな自然と文化が育まれています。
自然、アート体験、そして天然温泉を1日で満喫できる相模原市の中山間地域へぜひお出かけください。
※写真の一部は相模原市から提供を受けたものです。
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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
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