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2023.4.7

猫好き大注目の『江戸にゃんこ 浮世絵ネコづくし』展見どころポイント!江戸時代は空前の猫ブームだった!?

古くから人間と深く関わってきた動物である猫は、美術においてもさまざまなかたちにて表現されてきました。そして日本の江戸時代の浮世絵に登場する動物の中でも、猫はペットとして最も多く描かれています。

歌川国芳『其まゝ地口 猫飼好五十三疋 上中下』 ギャラリー紅屋蔵 後期展示

イロハニアートの読者の皆さんにも「猫を飼っている」という方も多いのではないでしょうか?そうした猫ちゃん好きにもおすすめしたいのが、東京・神宮前の太田記念美術館にて開催中の『江戸にゃんこ 浮世絵ネコづくし』です。

見どころ①国芳の作品が大集合!江戸時代の「猫の浮世絵」ブームを知る

歌川国芳『猫の当字 かつを』 個人蔵 前期展示

まず最初の見どころは、猫の浮世絵を得意とした歌川国芳の作品が多く展示されていることです。前期には国芳作品のなかでも人気の『猫の当字』シリーズ全5点を、また後期では名作『其まゝ地口 猫飼好五十三疋 上中下』と『たとゑ尽の内』をともに展示し、国芳の描いた猫の魅力に迫ります。

歌川国芳『猫の百面相 (荒獅子男之助ほか)』 個人蔵 前期展示

また天保12(1841)年、国芳は猫を役者の顔で描いた団扇絵『猫の百面相』を売り出すと人気を集め、その団扇を用いた歌舞伎が上演されます。さらに国芳は、当時話題の曲鞠の芸人を猫に置き換えた作品や、 翌年刊行の始まる『朧月猫の草紙』の挿絵も手がけるなど、猫を擬人化した作品を集中して生み出します。

歌川国芳『朧月猫の草紙』6編上下表紙 個人蔵 前期展示

そうした天保12年から13年に制作された猫の作品も大集結。国芳が仕掛けた江戸時代の「猫の浮世絵」ブームを目の当たりにできるのです。

見どころ②波乱の猫生を送る?江戸っ子に愛された「猫の物語」とは?

みんな大好きな猫。今でも猫の登場する漫画などは人気ですが、江戸時代でも猫が活躍する説話や小説、歌舞伎の演目が多くの人々の心を掴んでいました。

歌川国芳「山海愛度図会 七 ヲゝいたい 越中滑川大蛸」(後期)個人蔵

展示では武道の極意を説く古猫や、母親の仇を討ち御殿奉公にあがるといった、波乱の人生ならぬ猫生を送った「おこま」や「おたま」を主人公とした小説など、猫が主役や重要な役を担う作品を紹介します。江戸っ子に愛された「猫の物語」とは?それを浮世絵からひもといていくわけです。

見どころ③歌川広重や月岡芳年らの優品、さらにはおもちゃ絵まで。

歌川芳藤『新板猫の温泉』 個人蔵 前期展示

「おもちゃ絵」を知っていますか? これは双六や福笑い、それにかるた絵に影絵といった子ども向けに描かれた浮世絵のことで、幕末から明治時代にかけてさかんに作られました。そして猫は子どもたちにも人気だったことから、おもちゃ絵においても猫を題材したものが多く生み出されます。

作者不詳『大なまづ ねこのたハむれ』 個人蔵 後期展示

そうした猫のおもちゃ絵を40点ほど展示。猫たちが銭湯に行ったり、おそばを食べたり、人力車にも乗る?! 当時の子どもたちが楽しんだであろう、愛らしく可笑しい猫のおもちゃ絵の世界を追体験することができます。

歌川国芳『鼠よけの猫』 ギャラリー紅屋蔵 後期展示

このように歌川国芳の名品はじめ、歌川広重や月岡芳年らの優品、さらにはおもちゃ絵など、 猫を題材とした多彩な作品を公開。踊ったり、学校に通ったりする猫や、化け猫にメス猫の一代記、さらにネズミ除けのお札として描かれた猫など、さまざまなすがたに表現された猫の浮世絵を見ることができます。

会期は2023年4月1日から5月28日まで。ただし前期(4月1日〜25日)と後期(4月29日〜5月28日)にて全点の作品が入れ替えとなります。

歌川芳藤『小猫を集め大猫とする』 個人蔵 後期展示

日本屈指の浮世絵コレクションで知られる太田記念美術館ですが、今回の出展作の大多数は個人の所蔵する作品です。これまでなかなか公開されてこなかったような、思いがけない掘り出し物もあるかもしれません。

あれこれ表現された猫ちゃんの浮世絵を、『江戸にゃんこ 浮世絵ネコづくし』にて楽しみましょう。


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展覧会情報

『江戸にゃんこ 浮世絵ネコづくし』 太田記念美術館
開催期間:2023年4月1日(土)〜5月28日(日)
 ※前期:4月1日(土)〜4月25日(火)、後期:4月29日(土・祝)〜5月28日(日)
 ※前期と後期で全点入れ替え。
所在地:東京都渋谷区神宮前1-10-10
アクセス:JR線原宿駅表参道口より徒歩5分。東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅5番出口より徒歩3分
開館時間: 10:30~17:30
 ※入館は17:00まで
休館日:月曜日。4月26日〜4月28日(展示替えのため)
観覧料:一般1200円、大高生800円、中学生以下無料
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp

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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

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