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2023.10.11
京都10/18~『ゼロからわかる江戸絵画―あ!若冲、お!北斎、わぁ!芦雪―』北斎に若冲…江戸絵画の名品118点がズラリ!
『ゼロからわかる江戸絵画―あ!若冲、お!北斎、わぁ!芦雪―』が、10月18日(水)~2024年1月8日(月・祝)まで開催されます。京都の嵯峨嵐山エリアから日本の美術や文化を発信する、福田美術館と嵯峨嵐山文華館の2館による合同開催です。
『ゼロからわかる江戸絵画―あ!若冲、お!北斎、わぁ!芦雪―』
誰もがどこかで一度は目にしたことがある、歌川広重の浮世絵や伊藤若冲の鶏をはじめ、江戸絵画の優品計118点が展示されます(福田美術館で80点、嵯峨嵐山文華館で38点が展示)。日本の絵画に精通している方はもちろん、美術に明るくない方も、「見たことある!」を入口に楽しめる展覧会となりそうです。
見どころ①応挙、若冲、芦雪……江戸時代の京都画壇
大きな見どころとなるのが、17世紀から18世紀にかけて京都で活躍した画家たちの作品です。
徹底した観察と写生により現代に受け継がれる日本画の礎を築いた円山応挙、鋭い観察眼と圧倒的な描写力・構成力によって見応えのある動物画を数多く残した伊藤若冲。動物たちの生き生きとした表情などユーモラスな作風で知名度を上げている長沢芦雪……。
彼らの作品を眺めているだけでも、江戸時代の京都画壇の勢いを感じることができるのでは。
さまざまなエンターテインメントに目が慣れた現代人でも、これらの作品には魅了されてしまうはず。作品をじっくり見たり、見比べたりしながら、好きな作品や画家を探してみてはいかがでしょうか。
見どころ②狩野派、琳派の名品たち
日本美術史においてひときわ存在感のある「狩野派」と「琳派」の屏風絵なども。
狩野派とは、室町時代から続く画家の一派で、江戸時代には幕府御用達の画家として活躍していました。
江戸城や京都・二条城をはじめ、大型建築の障壁画を多く手掛けています。若冲や応挙も、絵を習い始めたばかりの頃は狩野派に師事しており、当時は「画家といえば狩野派」と言えるほどの実力と知名度を誇っていました。
一方、どこかに弟子入りすることなく、尊敬する画家の作品を手本にして絵を学ぶ、「私淑」という方法で表現方法を継承しようとする作家たちが現れました。
俵屋宗達を祖とする「琳派」は、宗達の作品から尾形光琳が学び、光琳の作品から中村芳中が学び……と、作風を継承していきました。
本展では、狩野派や琳派による作品に加え、日本絵画の流れを意識しつつ、現代絵画の可能性に挑戦する現代作家、品川亮さんによる個展「Re:Action」も開催されます。
江戸時代の絵画の素晴らしさだけでなく、その歴史が今につながり、息づいていることも学べる機会となるのでは。
見どころ③"画狂"葛飾北斎の肉筆画、歌川広重の「五十三次」
第2会場となる嵯峨嵐山文華館では、浮世絵を中心に展示。「浮世絵」と呼ばれるものには実は種類がありますが、一般的には「浮世絵版画」の略称として用いられることが多いように思います。葛飾北斎の《富嶽三十六景》や歌川広重の《東海道五十三次》などが、浮世絵版画の代表例です。
江戸時代では、同じ絵を複数枚つくれる版画技術の発達により、「浮世絵版画」が江戸で大きな人気を博しました。現代の雑誌や広告物のように、多くの人の目に触れ、手に取ってもらうことができたからです。
本展では、歌川広重の代表作《東海道五十三次》の55枚すべてが、前期後期に分けて一挙公開されます。53の宿場と、出発地・到着地の2つをあわせて、55枚です。
一方、画家が紙や絹に筆で直接描いた1点ものの浮世絵を「肉筆浮世絵」と呼びます。版画では伝えきれない画家の個性が存分に表れており、肉筆画もたいへんに見応えがあります。
本展では、北斎の《大天狗》や《墨堤三美人図》など、貴重な肉筆浮世絵が展示されます。版画に比べると鑑賞機会が相対的に少ない作品ですし、ぜひこの機会に肉筆画の魅力にも触れていただければと思います。
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美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。
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