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2023.10.26
圧倒的な没入感に浸る。現代美術家、大巻伸嗣の個展が国立新美術館にて開催!
「存在」とは何かをテーマに、身体の感覚を揺さぶるようなインスタレーションを手がけてきた現代美術家の大巻伸嗣(1971年生まれ)。近年は「地平線の ゆくえ」(2023年、弘前れんが倉庫美術館)や「存在のざわめき」(2020年、関渡美術館、台北)など国内外で個展を開いてきたほか、「あいちトリエンナーレ」(2016年、愛知)などの芸術祭にも数多く参加してきました。
目次
Gravity and Grace, 2023 Photo courtesy of A4 Art Museum
その大巻の新たな個展『大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ』が、東京・六本木の国立新美術館にて11月1日よりスタート。天井高8m、2000m2にも及ぶ展示室をダイナミックに用い、この広大な空間でなければ成し得ない作品を展示します。
強烈な光が空間を照らす。〈Gravity and Grace〉シリーズの最新バージョンが公開!
Gravity and Grace(部分), 2023 Photo courtesy of A4 Art Museum
まず見逃せないのは、2011年の東日本大震災と福島の原発事故をきっかけに、2016年に初めて発表された〈Gravity and Grace〉シリーズの最新バージョンが公開されることです。
ここで大巻は、原子力が引き起こした未曽有の人災に、核分裂反応の爆発的なエネルギーの象徴ともいえる、最大84万ルーメンにも達する強烈な光によって応答。この魅惑的な光と、そこへ吸い寄せられる人々の姿を通じて、エネルギーに過度に依存した今日の社会を批評します。
さまざまな動植物からなる文様を施された大きな壺から放たれる強烈な光は、神々しいほどに美しく見えますが、そこには常に社会がどのような問題を抱えているかを考察して作品を制作してきた、大巻の現代に対する鋭い眼差しが込められているのです。
巨大なインスタレーションと繊細なドローイングの対比も見どころ
Rustle of Existence, 2023 Photo courtesy of A4 Art Museum
今回の個展にて大巻は、国立新美術館の広いホワイトキューブを最大限に生かした3つの大きなインスタレーションを構想しています。
大巻が創り出す空間はしばしば、身体を凌駕する大きさの効果ともあいまって、そこに身を置く者に深い内省を促すような崇高な感覚を与えてきました。
また大巻はドローイングを通じて、その場に漂う気配をつかみとり、空間の広がりや運動、光と影の交差などを確かめています。
そこで本展では圧倒的な空間を創出するために無数に描き残してきたドローイングも展示。それらに大巻のインスピレーションの源泉が垣間見えると同時に、巨大なインスタレーションと繊細なドローイングとの対比も見どころとなりそうです。
パフォーマンスや、詩人関口涼子とのコラボレーションも開催
空間における身体、また他者との身体的関係に関心を寄せる大巻は、近年、「Rain」(2023 年、愛知県芸術劇場、新国立劇場ほか)の舞台美術を手がけるなど、演劇の分野にも活躍の幅を広げています。
そもそも大巻のインスタレーションは、光と闇のコントラストや、舞台のような設えの空間に観者を導きいれる点などで、演劇を強く連想させます。また空間に足を踏み入れる人々は、観客であると同時に、大巻が立ち上げた世界の一員としての演者のようにも見えます。
会期中には、会場内でパフォーマンスも行われる予定のほか、大巻が近年、言語に新たな着想を得ていることから、詩人の関口涼子とのコラボレーションも実施されます。
そのうち「大巻伸嗣 ギャラリートーク ~関口涼子による詩の朗読つき~」では、大巻が作品を前にして、コンセプトや制作の背景、本展覧会への思いを自ら語る上、本展覧会の展示とカタログに参加している詩人の関口涼子による詩の朗読(ポエトリーリーディング)も行われます。
さらに「クロストーク:大巻伸嗣×関口涼子」では、大巻伸嗣と関口涼子が対談。インスタレーションと言葉という異なった表現形式の出会いがもたらす思いがけない効果や、異なった媒体を用いるふたりの共通した関心などが、それぞれの視点から語られます。
大巻伸嗣ポートレイト Pic by paul barbera / where they create
「大巻伸嗣 ギャラリートーク ~関口涼子による詩の朗読つき~」
日時:2023年11月3日(金・祝) 11:00~12:00
会場:国立新美術館 企画展示室2E
参加方法:当日10時より1階・中央インフォメーションにて整理券配布
「クロストーク:大巻伸嗣×関口涼子」
日時:2023年11月3日(金・祝) 14:00~15:30(13:30開場)
会場:国立新美術館 3階 講堂
参加方法:当日12時より1階・中央インフォメーションにて整理券配布
これらのトークにて大巻の話に耳を傾けつつ、詩人関口との異色のコラボレーションを楽しむのも良いのではないでしょうか。美術家の生の声を聞くことができるのも、現代美術展の醍醐味のひとつといえるでしょう。
過去に布に紐や水晶、また絵具に和紙、あるいはシャボン玉や角材などの素材を駆使して作品を制作して大巻。その作品は人々に喜びや驚きを与えながら、時に瞑想へと誘う、社会の歴史や出来事に目を向けさせるなど、さまざまな感興や思慮を呼び起こしてきました。
映像や音響、そして詩も用いて展開する、大巻の創り出した現代の総合芸術を国立新美術館にて体感してください。
展覧会情報
『大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ』 国立新美術館 企画展示室2E
開催期間:2023年11月1日(水)〜12月25日(月)
所在地:東京都港区六本木7丁目22-2
アクセス:東京メトロ千代田線乃木坂駅青山霊園方面改札6出口(美術館直結)、東京メトロ日比谷線六本木駅4a出口から徒歩約5分、都営地下鉄大江戸線六本木駅7出口から徒歩約4分。
開館時間:10:00~18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
休館日:毎週火曜日
入館料:無料
公式サイト:『大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ』
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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
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