STUDY
2023.1.23
「ルーヴル美術館展 愛を描く」が待ちきれない!【第2回】『アモルとプシュケ』の楽しみ方とは?
2023年3月1日から国立新美術館で開催される『ルーヴル美術館展 愛を描く』では、ルーヴル美術館に所蔵されている「愛」をテーマにした作品が数多く来日します。どんな作品が日本に来るのか今から知っておきたい! という人に向けて、ローマの大学院で美術史を専攻している筆者が特に注目の作品を4点ピックアップ。第2回となる今回は、フランソワ・ジェラールの『アモルとプシュケ』についてご紹介します。
フランソワ・ジェラールはどんな画家?
Antoine-Jean Gros, CC0, via Wikimedia Commons
フランソワ・ジェラールはローマに生まれパリで修業した画家です。父の死や貧困を理由に芸術活動を中断しなければならないこともありました。
今回紹介する『アモルとプシュケ』のように神話をテーマにした作品を制作することもありましたが、彼の作品に特に多いのは肖像画です。帝政期矢ブルボン王朝の主要な人物の肖像画を多く残し、ヨーロッパ全土から肖像画の依頼を受けていました。
『アモルとプシュケ』のストーリー
フランソワ・ジェラール《アモルとプシュケ》、または《アモルの最初のキスを受けるプシュケ》1798年 油彩/カンヴァス 186 x 132 cm パリ、ルーヴル美術館 Photo © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Tony Querrec / distributed by AMF-DNPartcom
『アモルとプシュケ』はギリシャ神話の寓話で、西洋では時代を超えて好まれてきたテーマです。人間の王女プシュケの美しさを妬んだ美の女神アフロディーテは、息子のアモル(エロス)の愛の矢を使って醜い男と結婚させようとしました。
しかし、アモルはプシュケの美しさに見惚れているうちに自分の矢で自分を傷つけてしまい、プシュケに恋します。神託に従って山の上に取り残されていたプシュケは、気づくと宮殿にいて、アモルとの新婚生活を始めます。
アモルは自分の姿を見てはいけないとプシュケに伝え、夜の間だけ宮殿でプシュケと一緒に過ごしました。プシュケは夫の姿を一目見たいと思いアモルが寝ているすきにろうそくで顔を覗き込みます。愛の神エロスが夫であることに驚いたプシュケはアモルの肩に蝋(ろう)を垂らしてしまい、アモルが目覚めてしまいました。
姿を見られたアモルは姿を消し、プシュケはアモルを探すために旅にでます。義母アフロディーテから当たられた試練を乗り越え、最後は神の酒を飲んで不死身になりオリンポスでアモルと幸せに暮らしました。
作品の楽しみ方
「プシュケ」はギリシャ語で「魂」という意味があります。『アモルとプシュケ』は多くの試練を乗り越えて「愛」と「魂」が結びつく物語として、絵画や文学作品のモチーフとなってきました。
アモル(エロス)はアフロディーテの息子として羽の生えた子どもの姿で描かれることが多いですが、ジェラールの『アモルとプシュケ』では、プシュケとの愛を育む青年として大人の姿で描かれています。今回のルーヴル美術館展のテーマ「愛を描く」にぴったりの作品です。
ジェラールのこの作品は、『アモルとプシュケ』以外に『アモルから最初のキスを受けるプシュケ』とも呼ばれます。アモルが優しくキスをする無垢なプシュケの前には象徴的な蝶が舞っています。穏やかな構図は、2人の間にある穏やかで深い愛の絆を感じられますね。
展覧会に足を運んだ際には、作品の背景にある物語と2人の深い愛を感じてみてください。
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【第3回】『ニンフとサテュロス』の楽しみ方とは?
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展覧会情報
「ルーヴル美術館展 愛を描く」国立新美術館
会期:2023年3月1日(水)-6月12日(月)
休館日:毎週火曜(ただし3/21(火・祝)・5/2(火)は開館)、3/22(水)
開館時間:10:00-18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
画像ギャラリー
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イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
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