Facebook Twitter Instagram

STUDY

2023.5.30

ポストモダニズムってなに?現代アートを理解するためのイロハを解説

「ポストモダニズム」は、現代アート鑑賞においてよく耳にする言葉です。意味の幅が広く概念が複雑なので、具体的に何を指すのかわからない方も多いのではないでしょうか。

実際、「ポストモダニズム」の定義はあいまいで美術史学者の間でも用途や解釈が異なることもあります。この記事では、「ポストモダニズム」芸術を理解するためのイロハを解説します。

ポストモダニズムとモダニズム

アンディ・ウォーホル『キャンベルのスープ缶』の展示風景(ニューヨーク近代美術館), CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

ポストモダニズムは、19世紀半ばから始まったモダニズムの潮流に影響を受けた芸術です。モダニズムはそれまでの構造的で伝統的な価値観から脱し、新しい形で自己認識を再構築する動きが基盤となっています。

写実主義や自然主義はモダニズムにおいては否定され、抽象的な形、線、色などによって革新と実験が繰り返されました。

▼関連記事:モダニズムってなに?現代アートを理解するためのイロハを解説
記事を読む

一方ポストモダニズムは「すべての文化、伝統、人類に対する説明」を懐疑し、その代わりに相対的な真実を探す芸術です。つまり、ポストモダニズムは、それまで科学によって裏付けられてきた客観的で合理的な知識の可能性を否定し、すべての解釈が視点に依存しているとする考え方です。

ポストモダニズムはモダニズムへの反発として生まれたと解釈する美術史家がいる一方で、ポストモダニズムはモダニズムの延長上にあると考える人も多くいます。

ポストモダニズムの芸術の特徴

ロバート・スミッソン『スパイラルジェッティ(Spiral Jetty)』 (Image:Soren.harward at en.wikipedia), Public domain, via Wikimedia Commons

ポストモダニズム芸術の特徴は、テキストを多く使用し、単純でパフォーマンス性がある点です。また、過去のテーマや芸術を現代のコンテクストで再利用し、芸術のオリジナリティや創造性の重要性が低い特徴があります。

このような潮流の中で、ハイアートとローアートと呼ばれる芸術の垣根がなくなり、ファインアートも大衆文化も同じ土俵で扱われることになりました。

ポストモダニズムにおいては、工業材料やポップカルチャーを用いた作品によって、すべての創作活動が「芸術」と総合的にみなされます。ポストモダニズムは「芸術」における前進や進歩という概念を否定しており、様式芸術の本来の用途を無視して混同する特徴があります。

ポストモダニズムを理解するためには…

トニー・スミス『タウ(Tau)』(Photo by LorenzoBéatrix), CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

ポストモダニズムは「芸術」を問い直す(否定する)思想運動に基づく芸術です。芸術でありながら芸術を否定する矛盾は、簡単に理解できる考え方ではありません。

ポストモダニズムを理解するために重要なポイントは、ポストモダニズムが高尚な芸術と低俗な芸術の境界を根絶している点です。ポストモダニズムにおいては芸術の定義はすべてに適用され、商業製品やごみ同然の物体でも「芸術」になり得ます。

ポストモダニズムは、芸術には前進も進歩もないという考えに基づき作品を制作する芸術です。それまで西洋世界に根強く浸透していた進歩主義的な思想に限界を感じた芸術家が、芸術とは何か? を問う運動が含まれています。

ポストモダニズムの芸術作品を観て、これが芸術? と疑問に思うことがあれば、それは芸術家の意図した「境界の根絶」を感じ取れたサインと言えます。ぜひ、これらを踏まえてポストモダニズム作品の鑑賞を楽しんでくださいね。

【写真3枚】ポストモダニズムってなに?現代アートを理解するためのイロハを解説 を詳しく見る
はな

はな

イタリア・ローマの大学の美術史修士課程に在籍中。3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経てフリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

イタリア・ローマの大学の美術史修士課程に在籍中。3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経てフリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

はなさんの記事一覧はこちら