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STUDY

2023.6.12

「ガウディとサグラダ・ファミリア展」が待ちきれない!【第4回】カサ・ミラの特徴

スペイン・カタルーニャを代表する建築家アントニ・ガウディは、バルセロナを中心に多くの建築を残しました。なかでも1906-1910年に建設された『カサ・ミラ』は、以降の建築界に多大な影響を与えた作品の1つです。

この記事では、2023年6月13日(火)~9月10日(日)に東京国立近代美術館で開催される『ガウディとサグラダ・ファミリア展』をより楽しむための解説をしていきます。

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第4回となる今回は、建築家ガウディの代表作の1つである『カサ・ミラ』について詳しく紹介します。

カサ・ミラを知るためのポイント①カサ・ミラの歴史

『カサ・ミラ』の正面玄関(Photo by Jean-Christophe BENOIST), CC BY 3.0, via Wikimedia Commons

『カサ・ミラ』は、バルセロナの広々とした開放的な一本道グラシア通りに建っています。依頼主はペレ・ミラ・イ・カンプスで、カサ(casa)とはスペイン語で「家」を意味します。つまりカサ・ミラとは「ミラの家」という意味です。

実業家のミラは1905年に、すでにグエル公園(1900-1914年)やカサ・バトリョ(1904-1906年)で名を挙げていたガウディに別宅の建築を依頼しました。ミラの計画では、メインフロアを自分の居住地として残りの部分を賃貸にすることでした。

1906年に建築図面が市役所に提出されたものの、カサ・ミラは建物の高さや幅が当時の条例で定められた範囲を超過していたため何度も建築作業が遅延しました。ガウディが市役所と対立するのは珍しいことではなく、依頼主ミラは何度も罰金を支払うことになります。

度重なる遅延や内装を巡る意見の対立からミラ家とガウディの関係は一時冷え込んだものの、行政の制止を無視する形でガウディは建築を続行しました。結局ルールを無視した建築を巡って裁判が開かれ、ミラ家とガウディは工事費の約25%の罰金を払うか屋根裏と屋根を取り壊すかのどちらかの選択を迫られてしまいます。しかし、最終的には建築物が優れた芸術性を持つ記念建造物であると認められ、厳格に条例に則っていなくてもいいと認められました。

カサ・ミラを知るためのポイント②カサ・ミラの建築構造

上から見た『カサ・ミラ』(Photo by Jose Ramirez from Barcelona.), CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

『カサ・ミラ』は20世紀最初の10年間の、ガウディの自然主義時代にあたる作品です。建物は6階建て(日本の7階建て)にあたり、円形と楕円形の中庭があります。ファサード(正面外壁)は構造的な機能がない代わりに自由な装飾が施されています。

『カサ・ミラ』のファサード部分(Photo by ElenaStromberger),CC BY-SA 3.0 ES, via Wikimedia Commons

ファサードのデザインは海の波を思わせる起伏あるフォルムが特徴で、ガウディが自然界の有機的でユニークな形状から受けた影響がわかります。ファサードに設置された鉄製のバルコニーは植物的な形状で、抽象的でダイナミックな要素を加えています。ガウディは合理主義的な厳格さを排除しており、抽象的で自由なデザインを追求しました。

カサ・ミラを知るためのポイント③カサ・ミラの見どころ

『カサ・ミラ』の屋根部分(Photo by Marius Fiskum - www.fototopia.no), CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

『カサ・ミラ』の建築の見どころは、屋根裏のルーフテラスです。ガウディは、ルーフテラスエリアに開放的な彫刻の庭を作り出しました。屋根裏部屋のアーチの高さの違いをそのままテラスで表現しているため、テラスには屋根の凹凸があります。

階段室や煙突、換気塔が配置されたルーフテラスは、機能性だけでなくデザイン性を重視した独特なデザインが特徴です。屋根にある煙突は合計30本、換気塔2本、階段室は6つです。これらの要素は異なる様式でデザインされており、テラスの独創的で幻想的な雰囲気を作り出しています。

『カサ・ミラ』のルーフテラス(Photo by Jean-Christophe BENOIST), CC BY 3.0, via Wikimedia Commons

テラスに突き出す塔のデザインは、抽象的で有機的な起伏を備えています。この特徴は20世紀の抽象彫刻の先駆と考えられ、現にシュルレアリズムの巨匠サルバドール・ダリはこれらの塔の大ファンとして知られます。

まとめ

ガウディは建築の歴史を大きく躍進させた偉大な芸術家です。自由で独創的な建築を貫くために行政や依頼主との争いが茶飯事であった点は、ガウディの芸術を理解するための興味深いポイントです。カサ・ミラを訪れる際は、有機的で幻想的なデザインと、実用的な建築構造の2つの側面から鑑賞を楽しんでくださいね。

▼「ガウディとサグラダ・ファミリア展」が待ちきれない!【第5回】グエル公園の特徴
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はな

はな

イタリア・ローマの大学の美術史修士課程に在籍中。3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経てフリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

イタリア・ローマの大学の美術史修士課程に在籍中。3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経てフリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

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