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STUDY

2021.9.21

アンバランスで不気味?「マニエリスム」芸術の成り立ちと鑑賞のコツ!

みなさんは、「マニエリスム」という言葉を聞いたことがありますか?
「マニエリスム」とは、イタリア語でそのまま「手法」や「様式」などの意味を持つ言葉です。
美術の観点の中で「マニエリスム」と言うと、ルネッサンス様式とバロック様式の間に興った美術様式を指します。
この記事では、「マニエリスム」の歴史や特徴、鑑賞の際のコツについて紹介します!

マニエリスムの歴史

『愛の寓意』 アーニョロ・ブロンズィーノ『愛の寓意』 アーニョロ・ブロンズィーノ Bronzino, Public domain, via Wikimedia Commons

マニエリスムの歴史を理解するためには、その直前の美術様式、ルネッサンスについて知る必要があります。
ルネッサンスは15世紀イタリアで生まれた芸術様式であり、そこからヨーロッパ全土に広がり、キリスト教世界を中心に大きな影響を与えました。
古代から失われていた写実的な視点を芸術に再び取り入れ、遠近法などを活用して絵の中に描かれる空間を、現実の世界により近いものにしようという取り組みが行われました。
そんなルネッサンス芸術盛期から後期にかけ、ルネッサンス芸術家の中には、あえて自然主義、写実主義的な構造から遠ざかることで、「可能な限りの美」を目指した人もいました。

マニエリスムの特徴

『長い首の聖母』 パルミジャニーノ『長い首の聖母』 パルミジャニーノ Parmigianino, Public domain, via Wikimedia Commons

マニエリスムの特徴は、極端に長く描かれた首や四肢、奥行きが感じられない背景などが挙げられます。
ルネッサンス期に確立された「均衡」や「調和」を大胆に崩すことで、普遍的な「美」に迫ろうとする芸術家たちの挑戦でした。
異様に伸び縮みした状態で描かれた身体や、安定感に欠けた全体の構成は、見る人に不安や居心地の悪さを与えるかもしれません。

マニエリスム作品を鑑賞するコツ

『オルガス伯の埋葬』 エル・グレコ『オルガス伯の埋葬』 エル・グレコ El Greco, Public domain, via Wikimedia Commons

ここまでの解説を読んで、「不安に感じるような芸術のなにがいいの?」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、その問題提起を鑑賞者に向けて発信することが、マニエリスム芸術を取り入れた画家や彫刻家の一番の意図だったのかもしれません。
古代ギリシア・ローマの写実主義が4世紀後半のゲルマン民族の南下により失われて以来、1,000年の時を経て古典復興にたどり着いた15世紀のヨーロッパの人々にとって、ルネッサンスにおける「写実主義」はある種の「正解」もしくは「美術が到達できる最高地点」として認識されていました。
そんな芸術の潮流で、美しい者同士を組み合わせてより美しいものを生み出そうというコンセプトの中で生まれたマニエリスム様式は「『美』とは何か?」という芸術家たちの問いかけでもあります。

あなたがもしマニエリスムの作品を前にして、心がざわざわするような居心地の悪さを感じるのであれば、それこそが作品を楽しむために一番重要な感性です。
マニエリスム様式の絵や彫刻に出会ったときは、作品から伝わる不均衡や不安感を楽しみましょう。

はな

はな

3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経て2021年秋よりイタリアの大学で美術史修士課程に進学予定。フリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経て2021年秋よりイタリアの大学で美術史修士課程に進学予定。フリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。