EVENT
2026.6.18
【虎ノ門】日常が奇妙な違和感に変わる瞬間。佐藤雅晴『REAL≒UNREAL』で体験する、映像と平面の美しい越境
2026年夏の虎ノ門、私たちの「現実」に対する認識を根底から揺さぶる至高のアート体験が幕を開けます。
2026年7月1日(水)から8月23日(日)まで、虎ノ門ヒルズ ステーションタワー内の「art cruise gallery by Baycrew’s」にて、美術家・佐藤雅晴氏の個展『REAL≒UNREAL』が開催されます。
本展は、実写をなぞって描き出す「ロトスコープ」という独自の技法で知られ、45歳という若さでこの世を去った佐藤雅晴氏の画業を辿る貴重な機会です。ドイツでの初期作品から後年の代表作まで、映像と平面作品を交えた計27点が集結します。
この記事では、あまりに静かで、そして饒舌な佐藤作品の魅力と、本展の見どころをご紹介します。
目次
佐藤雅晴が到達した技法「ロトスコープ」が生む、知覚の揺らぎ
佐藤雅晴氏の作品を語る上で欠かせないのが、「ロトスコープ」という技法です。これは、実写で撮影した映像をひとコマずつペンでトレースし、アニメーションとして再構築する手法。
一見すると、何の変哲もない日常の風景。
しかし、そこには実写ではあり得ない「滑らかすぎる動き」や「あまりに明晰な色彩」が混在しています。「これは現実(REAL)なのか、それとも描かれた非現実(UNREAL)なのか」。
見る者の脳裏に生じるこの小さなバグこそが、佐藤作品の醍醐味です。
今回の個展『REAL≒UNREAL』では、そのタイトルの通り、私たちが信じている「現実」の輪郭を優しく、かつ鋭く解きほぐしていく体験が待っています。
ドイツ時代から晩年まで。27点の作品が紡ぐ「存在と不在」の物語
本展の大きな魅力は、その構成の幅広さにあります。
2000年代初頭にドイツ・デュッセルドルフで制作された初期の貴重な作品から、後年の円熟味を増した作品まで、映像と平面作品を織り交ぜた計27点が展示されます。
佐藤氏の作品には、ドラマチックな事件は起きません。ただそこにある空き地、静かに動く遊具、誰かの背中――。
しかし、それらを丁寧にトレースし直す行為によって、そこにあったはずの「実在」が削ぎ落とされ、代わりに言葉にできない「気配」や「記憶」が浮かび上がってきます。
2019年に逝去した彼が、病と向き合いながらも描き続けた「存在の不在/不在の存在」というテーマ。作品群を巡ることは、彼が最期まで見つめ続けた「世界への眼差し」を追体験することに他なりません。
なぜ今、私たちは佐藤雅晴の作品を見るべきなのか
情報が溢れ、あらゆるものが即座に消費される現代において、佐藤氏の作品は「立ち止まること」を強いてきます。
「見えているものは、本当にそこに存在しているのか?」
「私たちが記憶している風景は、正しいものなのか?」
作品から漂う「強い詩情」は、私たちの個人的な記憶と結びつき、鑑賞後に会場を出た後の景色さえも、いつもと少し違ったものに見せてくれるでしょう。日常の解像度を変えてしまうほどのインパクトを、ぜひ会場で体感してください。
<アーティストプロフィール>
1973年大分県生まれ。美術家。1999年東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修了後、2000年から2002年まで国立デュッセルドルフ美術アカデミーに研究生として在籍。実写映像をトレースし、アニメーションとして再構築するロトスコープの手法を用いながら、日常の風景に潜む不確かさや、存在と不在のあわいを静かに描き出した。主な個展に「ナイン・ホール 佐藤雅晴展」(川崎市市民ミュージアム、2013年)、「ハラドキュメンツ10 佐藤雅晴―東京尾行」(原美術館、2016年)、「佐藤雅晴 尾行-存在の不在/不在の存在」(大分県立美術館、水戸芸術館、2021年)など。主なグループ展に「六本木クロッシング2019展:つないでみる」(森美術館)、「横浜トリエンナーレ2020 Afterglow」(横浜美術館)、「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」(東京国立近代美術館、大阪中之島美術館、2024年)など。第12回岡本太郎現代芸術賞特別賞、第15回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選出。作品は原美術館、森美術館、大阪中之島美術館、大分県立美術館、東京都現代美術館などに収蔵されている。2019年逝去。
ファッションとアートが交差する「art cruise gallery」という特別な舞台
会場となるのは、ベイクルーズが手掛ける「art cruise gallery by Baycrew’s」。
虎ノ門ヒルズ ステーションタワーという都市の最先端に位置しながら、ファッションの感性とアートの普遍性が交差する、極めて現代的なギャラリーです。
本展のセノグラフィー(空間構成)を手掛けるのは、総合ディレクターのおおうちおさむ氏。
展示ごとにその姿を変える実験的な空間の中で、佐藤雅晴氏の静謐な作品がどのように配置され、響き合うのか。
作品単体だけでなく、空間全体が「一つの詩」のような美しさを持って迫ってくるはずです。
【art cruise gallery by Baycrew's】
所在地:東京都港区虎ノ門2-6-3
虎ノ門ヒルズ ステーションタワー 3F SELECT by BAYCREW’S内
公式サイト
Instagram
展覧会概要
【作家名】佐藤雅晴 / Masaharu Sato
【展覧会名】REAL≒UNREAL
【日程】2026年7月1日(水)〜 8月23日(日)
【会場】art cruise gallery by Baycrew’s
東京都港区虎ノ門2-6-3
虎ノ門ヒルズ ステーションタワ ー3F SELECT by BAYCREW’S 内
【営業時間】11:00〜20:00(19:30最終入場)
【協力】imura art gallery
【メディア内覧会】
2026年6月30日(火)15:00~17:00
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