STUDY
2022.11.10
『ローマの休日』で有名な「スペイン広場」は何が特別?歴史と美術解説
オードリー・ヘプバーン主演の不朽の名作『ローマの休日』は、その名の通りローマを舞台にした映画です。
『ローマの休日』作中に登場したロケ地のほとんどが今でも訪れることのできる場所で、ローマの街をふらふら歩いていると突然見覚えのある場所にたどり着く…なんてこともあります。
この記事では、『ローマの休日』ロケ地の中でも特に印象深い「スペイン広場」の歴史と美術について、現地の大学院で美術史を専攻している筆者が紹介します!
目次
『ローマの休日』に登場する「スペイン広場」って?
Photo by Gabriella Clare Marino on Unsplash
「スペイン広場」の場所・名前の由来
「イタリアなのに“スペイン”広場?」と疑問に思った方もいるでしょう。
これは、イタリアのローマにある広場で間違いありません。
広場のすぐ近くにスペイン大使館があることから、この名前が付けられました。
階段での座り込みや飲食は禁止・・?!
映画では、このスペイン広場の階段に腰かけてオードリー・ヘプバーンがジェラートを食べているシーンが登場します。
しかし非常に残念なことに、現在では条例によりスペイン広場の階段での座り込みや飲食は禁止になってしまっています。
ルールを知らない観光客が階段に座ろうとすると、急いで警官がやってきて注意されてしまいます。
「スペイン広場」の歴史
Photo by Yoav Aziz on Unsplash
スペイン広場のこの135段の階段は、教皇ベネディクト8世の時代に建設されました。
ローマでは歴史的に聖年(1500年、1650年など区切りの良い西暦の年)には都市開発や新しい教会の建築が行われてきました。
これは、聖年に教皇のお膝元であるローマに巡礼者としてやってくる信徒が多く、永遠の都としての権威を誇示するために歴代教皇が様々な都市整備を行ったためです。
教皇ベネディクト8世がスペイン広場を整備したのは1725年の聖年のためでした。
実はこの階段の建築のために出資をしたのはフランスでしたが、スペイン大使館に近いからという理由から「スペイン広場」という名前がついてしまったという経緯があります。
せっかくお金を出したフランスとしては、少し残念な気持ちかもしれません…。
「スペイン広場」の美術解説
波打つような形の階段
Photo by Gabriella Clare Marino on Unsplash
スペイン広場の階段は一見シンプルなようにも見えますが、並行に階段を観察すると複雑に波打つような形になっていることがわかります。
階段を登りきるためには左右に分かれた道のどちらかに進む必要があり、まっすぐは進めません。
両側に背の高い建物があっても圧迫感がなく、広々と優雅な構造となっています。
ベルニーニが手がけた噴水
スペイン広場の中央にある舟型の噴水は、ローマを代表する巨匠ベルニーニの作品です。
この噴水が舟の形をしているのは、16世紀の洪水の際にテヴェレ川からこのスペイン広場まで舟が流れ着いたことに由来していると言われます。
舟の彫刻が地上よりもやや低い位置に設置されているのは、美的な観点からというよりも、噴水の水の勢いを保つための実用的な理由からです。
まとめ
『ローマの休日』の名シーンに登場するスペイン広場は、スペインという名前がついているのに実はフランスからの経済的支援で建てられたという不思議な歴史を持っています。
彫刻家ベルニーニの手がけた作品が街中で気軽にみられるスポットでもあるので、ローマを訪れた際はぜひ足を運んでみてくださいね。
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イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
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