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2025.10.23
絵本界の巨匠はどう生きてきたのか「レオ・レオーニと仲間たち」展で知る、創作の世界
2025年11月22日(土)から12月25日(木)まで、JR京都駅ビル内7階の美術館「えき」KYOTOにて、展覧会「レオ・レオーニと仲間たち」が開催されます。
『スイミー』や『あおくんときいろちゃん』といった、世代を超えて愛され続ける絵本の作者、レオ・レオーニ。彼の作品は、鮮やかな色彩と心温まる物語で、私たちに多くの感動を与えてきました。しかし、彼の魅力は絵本だけにとどまりません。本展では、レオーニの多岐にわたる創作活動の全貌と、彼に影響を与え、また影響を受けた「仲間たち」の作品を通じて、その奥深い世界を紐解きます。
この記事では、「レオ・レオーニと仲間たち」展の魅力や見どころを深掘りし、皆さんが展覧会をさらに楽しめるような情報をお届けします。
目次
レオ・レオーニとは? 絵本の「魔法」を生み出した多様な顔
「レオ・レオーニ」と聞いて、まず思い浮かべるのは愛らしい絵本作品でしょう。しかし彼は、絵本作家としてデビューする以前から、グラフィックデザイナー、アートディレクター、画家、彫刻家としても活躍した、まさに「創造の巨人」でした。
1910年、オランダのユダヤ系家庭に生まれたレオーニは、幼少期からイタリアやアメリカを転々としながら、豊かなヨーロッパ文化を吸収しました。イタリアでは、ブルーノ・ムナーリといった先進的なアーティストたちと交流し、その才能を磨きます。差別的な人種法を機にアメリカへ渡ってからは、アートディレクターとしてMoMAや「フォーチュン」誌の仕事を手がけ、数々の企業広告を成功に導きました。
そして50歳を目前にした1959年、初の絵本『あおくんときいろちゃん』を発表し、絵本作家として新たなキャリアをスタートさせます。後半生はイタリアとアメリカを行き来しながら、絵本、絵画、彫刻と、ジャンルにとらわれない旺盛な創作活動を続けました。
レオーニの作品は、自己のアイデンティティ、平和への願い、アーティストとしての誇りなど、彼が生涯考え続けたテーマが寓話的に織り込まれています。絵本の主人公たちが、まるでレオーニ自身の分身のように生き生きと描かれているのは、そうした深いメッセージが込められているからかもしれません。
展覧会「レオ・レオーニと仲間たち」の5つの見どころ
本展は、レオーニの生涯を5つの章で辿りながら、彼の多彩な才能と、彼を取り巻く芸術家たちの影響関係を総合的に紹介します。
第1章 アムステルダム シャガールのある家
オペラ歌手の母、著名な美術品コレクターの親戚など、レオーニは幼い頃から質の高い芸術に囲まれて育ちました。この章では、家族写真や当時の参考作品を通じて、彼の芸術的感性の源流を探ります。豊かな芸術的土壌が、いかに彼の創造性を育んだのか、その原点に触れることができます。
第2章 ジェノヴァとミラノの間で 未来派と広告メディアでの活動
《製菓会社新聞広告 ミラノからヴェネツィアへ直行》1935年頃 板橋区立美術館蔵(Gift of the Leo Lionni Family, 2021)
イタリアでグラフィックデザイナーとして活躍していたレオーニは、ブルーノ・ムナーリやソール・スタインバーグといった当時の最先端のアーティストたちと深く交流しました。彼らがどのように互いに影響し合い、20世紀初頭のイタリアの芸術と広告メディアを牽引したのか、当時の貴重な作品から垣間見ることができます。特に、レオーニが手掛けた《製菓会社新聞広告 ミラノからヴェネツィアへ直行》1935年頃 のような作品は、その後のデザイン界に与えた影響の大きさを物語っています。
第3章 ニューヨーク アートディレクター時代
《ニューヨーク近代美術館 開館25周年記念ポスター》1954年 板橋区立美術館蔵(Gift of the Leo Lionni Family, 2021)
《ユネスコ ポスター World on view(世界を見わたす)》1952年 板橋区立美術館蔵(Gift of the Leo Lionni Family, 2021)
ユダヤ系であったレオーニは、イタリアの人種法を避けてアメリカへ渡ります。ニューヨークでは、雑誌「フォーチュン」のアートディレクターとして名を馳せ、MoMAやCCA、オリヴェッティなどの企業広告を数多く手がけました。彼の卓越したデザインセンスは、当時のアメリカのコマーシャルアート界に大きな影響を与えました。この章では、アートディレクターとしての手腕が光る《ニューヨーク近代美術館 開館25周年記念ポスター》1954年 や《ユネスコ ポスター World on view(世界を見わたす)》1952年 といった作品に加え、その傍らで制作された政治風刺画や「想像肖像」シリーズのような絵画作品も紹介され、彼の多様な表現活動に触れることができます。
《想像肖像シリーズ(金髪の婦人)》1963年頃 板橋区立美術館蔵(Gift of the Leo Lionni Family, 2021)
特に《想像肖像シリーズ(金髪の婦人)》1963年頃 は、レオーニの絵画表現の奥深さを感じさせる作品です。
第4章 イタリアでの制作
《植物学》1991年 Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family
キャリアの絶頂期でアートディレクターを引退したレオーニは、イタリアへ帰国し、自宅兼アトリエで絵本制作やファインアートに専念します。
油彩画からブロンズ彫刻、さらには学術書形式の「平行植物」シリーズ、軽やかな「空気」シリーズ、そして80歳を過ぎてから取り組んだ「黒いテーブル」シリーズまで、彼の尽きることのない創造性を象徴する作品群が展示されます。特に《植物学》1991年 や《プロジェクト:幻想の庭》1978年 は、レオーニの芸術的な探求の深さを感じさせるでしょう。
《プロジェクト:幻想の庭》1978年 板橋区立美術館蔵(Gift of the Leo Lionni Family, 2021)
第5章 レオの絵本
『フレデリック』原画 1967年 Frederick ⓒ 1967, renewed 1995 by Leo Lionni/Pantheon Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family
『マシューのゆめ』原画 1991年 Matthewʼs Dream ⓒ 1991 by Leo Lionni/Knopf Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family
最終章では、30年以上にわたるレオーニの絵本制作の軌跡をたどります。『フレデリック』や『マシューのゆめ』など、彼の代表作の原画が展示され、絵本ごとに異なる多様な技法や表現方法を間近で鑑賞できます。レオーニが絵本に込めたメッセージや、登場するキャラクターたちの愛らしさに、改めて魅了されることでしょう。
展覧会概要
【展覧会名】レオ・レオーニと仲間たち
【会期】2025年11月22日(土)~12月25日(木) 会期中無休
【開館時間】10:00~19:30(入館締切:閉館30分前)
【会場】美術館「えき」KYOTO(京都駅ビル内ジェイアール京都伊勢丹7階隣接)
【入館料(税込)】
一般1,100円(900円)/高・大学生900円(700円)/小・中学生500円(300円)
※( )内は前売料金。「障害者手帳」をご提示のご本人さまとご同伴者1名さまは、当日料金より各200円割引。
※高・大学生の方は学生証をご提示ください。
【前売販売】2025年10月11日(土)より11月21日(金)まで前売券販売。
【販売場所】当館チケット窓口(休館日を除く)、チケットぴあ、ローソンチケット。
【主催】美術館「えき」KYOTO、朝日新聞社
【企画協力】Blueandyellow,LLC、コスモマーチャンダイズィング
【特別協力】板橋区立美術館
【協力】好学社、あすなろ書房、至光社、印傳屋上原勇七
【問い合わせ】TEL075-352-1111(ジェイアール京都伊勢丹大代表)
※展示作品やイベント内容が変更、または中止になる場合がございます。予めご了承ください。
美術館 公式HP
美術館 公式X
まとめ
「レオ・レオーニと仲間たち」展は、絵本の世界だけでなく、グラフィックデザイン、絵画、彫刻といった多岐にわたるレオーニの創作活動の全貌に触れる貴重な機会です。彼の生涯を通じて一貫して問い続けたテーマや、作品に込められた深いメッセージは、私たちに多くの示唆を与えてくれるでしょう。
京都駅から直結というアクセスしやすい立地も魅力。ぜひこの機会に、美術館「えき」KYOTOを訪れて、色彩と物語の魔術師レオ・レオーニの奥深い世界を体験してください。
■PR TIMES
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