LIFE
2026.8.10
ガラスの奥に、遊び心。イロハニアート代表が偏愛する、ジャン=ピエール・ウェイルの4作品
何層にも重ねたガラスの一枚一枚に絵を描き、額の中で組み合わせる「3Dペインティング」。前回の記事では、エルサレム近郊にアトリエを構えるファミリースタジオが生み出すこのユニークな技法と、作家ジャン=ピエール・ウェイル(Jean-Pierre Weill)の物語をご紹介しました。
第二弾となる今回は、少し個人的な視点から。ジャン=ピエール・ウェイルの作品を日本へ紹介するイロハニアート代表・吉村が、実際の作品と向き合うなかで感じた魅力を、特におすすめしたい4作品とともに語ります。
目次
光を受けて並ぶジャン=ピエール・ウェイルの作品たち(Jean-Pierre Weill Studios提供)
私が思う、ジャン=ピエール・ウェイルの魅力
彼の作品の一番の魅力は、ガラスかつ立体構造だからこそ生まれる「奥行き感」だと思っています。手前の層、中間の層、奥の層。間隔を空けて重ねられたガラスの中に、小さな世界がまるごと収まっている感覚です。
そしてもうひとつが、見るほどに発見のある「遊び心」。一見すると、透明感のあるきれいなアート。けれど近づいてじっくりのぞき込むと、角度によって見え方が変わり、絵の表情がくるくると動き出します。上品で繊細なのに、どこかお茶目。この二面性こそ、ジャン=ピエール・ウェイルのデザインの真骨頂だと感じています。
近づいて角度を変えると、絵の表情が変わる(Jean-Pierre Weill Studios提供)
ここからは、そんな魅力がとりわけ詰まった、私のおすすめの4作品をご紹介します。
Italian Pastel――マット(余白)までも絵の一部に
「Italian Pastel」(Jean-Pierre Weill Studios提供)
3Dペインティングならではの奥行きと透明感が際立つ作品です。北イタリアのコモ湖から着想を得た作品だけあって、温かい色合いから、イタリアの陽気な空気が伝わってきます。
注目してほしいのは、マット(余白)の使い方。絵を縁取るはずの余白にまで木々や街並みがはみ出していく、ジャン=ピエール・ウェイルならではの作風で、他では見ることのできない一枚になっています。湖の濃淡は、それぞれのガラスに色が塗り重ねられることで表現されていて、ぜひ写真や映像ではなく、実際に見ていただきたい作品です。
Jitterbug――絵の中に、影が踊る
「Jitterbug」(Jean-Pierre Weill Studios提供)
実物を見て一番躍動感を感じ、カタログで見ていた印象と良い意味で異なったのが、この「Jitterbug」でした。全体を包む黄色の明るさも、洋服の赤も素敵で、二人が本当に踊っているように見える作品です。
3Dペインティングの魅力のひとつは、絵から背景までの距離があるため、絵の中に影ができること。ライトのあたる方向によって絵に動きが出るので、時間帯によっても表情が変わり、飽きさせません。お部屋に飾るとおしゃれなうえに、元気までもらえる作品です。
Tree of Orange Hearts――最初の一枚に選ぶなら
「Tree of Orange Hearts」(Jean-Pierre Weill Studios提供)
ジャン=ピエール・ウェイルの作品を最初に購入するなら、この作品だと私は思います。シンプルながらも色鮮やかな、彼の良さがぎゅっと詰まった一枚です。
この作品のストーリーには「ハートの葉の木の下で友情が花ひらく」という一文があります。その言葉どおり、彩りと友情と温かい気持ちにあふれた作品です。手のひらサイズのミニシリーズなので、どこにでも置けるのも魅力。ベッドの横に、書斎の机に、玄関に。自分の生活に、そっと彩りを付け加えてくれる作品です。
Monkey――なぜかホッとする、愛おしさ
「Monkey」(Jean-Pierre Weill Studios提供)
おさるさんがピンクの風船をもって、空を漂う作品。ユーモラスでありつつも、とても愛おしい一枚です。日常とは異なる光景のはずなのに、なぜかホッとする温かみにあふれています。ガラスの中に浮かぶおさるさんのゆらぎも、ぜひ実物で見ていただきたいポイントです。
作品の魅力は、作る人の魅力
今回、ジャン=ピエール・ウェイルのファミリースタジオとパートナー契約を結べたことを、本当に嬉しく思っています。私は、作品自体の魅力はもちろんですが、作る人自身の魅力も大切だと思っています。
まだ直接お会いしたことはありませんが、WEBミーティングを通して色々とお話をさせていただきました。本当に丁寧で、優しく、真摯。そして作風のとおり、ちょっとお茶目で温かい人柄です。ご家族で営むファミリースタジオということもあり、全ての作品に愛がこめられていると感じました。
世界中にファンを持つスタジオですが、作品だけでなく、パッケージや同封物にまでこだわりがあふれています。箱を開ける瞬間から、彼らの世界は始まっているのです。
生活の空間に、そっと彩りを添えてくれる(Jean-Pierre Weill Studios提供)
おわりに
透明感のある上品なアートでありながら、のぞき込むほどに遊び心が見つかる、ジャン=ピエール・ウェイルの3Dペインティング。私はそんな彼の作品を日本の皆様に知っていただき、ご自身の大切な空間に置いていただければと思っています。
機会があれば、ぜひ実物を、いろいろな角度からのぞき込んでみてください。ガラスの奥で、小さな世界が動き出すはずです。
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アートをもっと自由に、もっとたくさんの人に楽しんでもらいたいという想いから生まれたメディア。日々、アートのイロハが分かるコンテンツを配信しています。アイコンは「イロハニくん」。アートのそばに、ひっそりと棲んでいます。
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