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2026.9.10
【山梨県立美術館】特別展『印象派の先駆者 ウジェーヌ・ブーダン展 ―瞬間の美学、光の探求』モネの師の革新性に迫る展覧会
山梨県立美術館にて特別展『印象派の先駆者 ウジェーヌ・ブーダン展 ―瞬間の美学、光の探求』が開催されます。会期は9月12日(土)〜11月3日(火・祝)です。
《ブーダン夫人とモネ一家》1875-77年頃 ウジェーヌ・ブーダン美術館、オンフルール Honfleur, musée Eugène-Boudin /Henri Brauner
ブーダンは、若き日のモネを戸外制作へと連れ出した師としても知られる画家。のちの印象派誕生のきっかけとなった彼の足跡をたどる、国内では30年ぶりとなる待望の展覧会です。
本展では、油彩のみならず素描やパステルなどを含め、約100点の作品が一堂に会します。単なる歴史的画家の回顧にとどまらず、ブーダンという一人の表現者が生涯をかけて挑んだ「光と大気の探求」を新鮮な眼差しで追体験できるでしょう。
見どころ①「空の王者」が捉えた、二度と訪れない「一瞬」の光と海景
《ベルク、出航》1890年 ランス美術館(inv. 907.19.34) C. DEVLEESCHAUWER©
ブーダンの絵の前で私たちがまず目を奪われるのは、画面の大部分を占める雄大な「空」の表情ではないでしょうか? 彼は生まれ故郷ノルマンディーの海辺に立ち、刻一刻と表情を変える雲の切れ間や光の移ろいを鋭敏に描き出しました。
その卓越した描写力は同時代の詩人ボードレールを魅了し、コローには「空の王者」と、クールベには「熾天使」と言わしめたほどです。
《干潮》1884年 サン=ロー美術館 © Musée d'art et d'histoire de Saint-Lô, Pierre-Yves Le Meur
光や大気、水などの不定形のものにとどまらず、去っていく「瞬間」をいかに絵画として留めるか。キャンバスに塗り込められた色彩には、自然に対するブーダンの探求心が漂います。
見どころ②8つの切り口で深める!ブーダンの魅力
《コルドリーの道、トルーヴィル》1878年 ブーローニュ=シュル=メール市立美術館 © coll. Musée Boulogne-sur-Mer Ville de Boulogne-sur-Mer
本展では、「海景」「空」「風景」「建築」「動物」「人物」「素描」「版画」という8つのテーマ別に作品を分類して、画家を深掘り。ブーダンといえば海景画のイメージがありますが、それだけでない多面的な魅力に触れられる構成です。
《水飲み場の牛の群れ》1880年 ランス美術館(inv. 907.19.33) C. DEVLEESCHAUWER©
帆船の浮かぶ海や各地の港の情景だけでなく、旅先で出会った木造や石造の建築物、牧草地でのんびりと過ごす牛の群れ、浜辺の海水浴客や漁師まで。彼が残した多様な作品に触れることで、海の画家という思い込みを取り払い、ブーダンの新たな魅力に出会える機会となりそうです。
また、先輩であるバルビゾン派の画家たちや、ブーダンを師と呼んだモネとの関係も紹介され、彼が受けた影響・与えた影響にも思いを馳せることができます。
見どころ③素描や習作も圧巻!「瞬間」の美学の結晶
《ヴェネツィア、サン・ジョルジョ・マッジョーレ》1895年頃 ランス美術館(inv. 907.19.38) C. DEVLEESCHAUWER©
絵画において最も重要なのは素描である、と考えていたブーダン。膨大な数の素描のほか、油彩やパステルなどによる習作も数多く残されています。
これらは完成作を描くための下絵というだけではなく、彼が戸外で目撃した自然の「瞬間」を素早く描いたもの。目にした光景を記録するだけでなく、あとから記憶を引き出す役割もあり、一瞬の光景を絵画に留めたブーダンにとってなくてはならない装置でした。
その素早いタッチには、まるで後年の抽象絵画を先取りしたかのような新しさもあります。近代風景画の成立を担ったブーダンの革新性が垣間見られる作品群も、本展の大きな見どころです。
展覧会情報
◆特別展 印象派の先駆者 ウジェーヌ・ブーダン展 ―瞬間の美学、光の探求
会期:2026年9月12日(土)〜11月3日(火・祝)
会場:山梨県立美術館
開館時間:午前9:00~午後5:00(入館は午後4:30まで)
休館日:月曜日(9月21日、10月12日は開館)、9月24日(木)、10月13日(火)
美術館公式サイト:特別展 印象派の先駆者 ウジェーヌ・ブーダン展
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美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。
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