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2026.8.31

【2026年9月のおすすめ展覧会5選】レオナルド・ダ・ヴィンチの傑作から知られざる宮中晩餐会の世界まで。この秋、東京で見たい多彩な美の世界。

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9月も時代やジャンルを越えて楽しめる展覧会が目白押しです。没後50年を迎える鳥居言人の画業、梁山泊に集う『水滸伝』の豪傑たち、水辺を愛した画家マルケの回顧展とあわせて、都内各地の5つの展覧会をご紹介します。

気になる展覧会を見つけて、9月のお出かけ先の参考にしてみてください。

鳥居派の家業と新版画の美、二つの顔を持つ絵師・鳥居言人の没後50年|太田記念美術館

鳥居言人「矢の根」旧下田コレクション

大正から昭和にかけて活躍した絵師、鳥居言人(とりいことんど、1900~76年)の名を知る人は、今決して多くないかもしれません。しかし彼は、300年以上にわたって歌舞伎絵を手掛けてきた鳥居派の八代目でありながら、鏑木清方に師事して大正新版画の美人画でも高い評価を得た、稀有な絵師でした。

鳥居派七代目・鳥居清忠の長男として生まれた言人は、若い頃には家業に反発心を抱いていたと伝えられています。清方は歌川国芳へ連なる玄冶店派の絵師であり、言人は鳥居派と歌川派という浮世絵の二大流派の遺伝子を受け継ぐ、唯一の継承者ともいえる存在でした。そして家業を継ぐ重責と葛藤しながら、やがて歌舞伎絵にも本格的に取り組み、戦後は八代目鳥居清忠を名乗って膨大な絵看板や舞台美術を手がけます。

太田記念美術館で開催される『没後50年記念 鳥居言人 歌舞伎絵と新版画』では、大画面の屏風絵「志ばらく」や名作「鳴神」をはじめとする肉筆の歌舞伎絵の数々、また実際に劇場を飾った貴重な絵看板を紹介。鳥居派伝統の力強さと言人らしい近代的な感覚をあわせ持つ、迫力ある作品が並びます。

また川瀬巴水と並んで言人を愛好していたスティーブ・ジョブズが、最後まで自室に飾っていたことでも知られる「朝寝髪」など、新版画の美人画全22点も紹介。さらに昭和3年(1928)の郷土会展覧会に出品された記録が残る屏風絵の名品「みどりの雨」など、知られざる肉筆美人画にも光が当てられます。

鳥居言人「朝寝髪」株式会社劇雅堂蔵

『没後50年記念 鳥居言人 歌舞伎絵と新版画』 太田記念美術館

開催期間:2026年9月1日(火)~9月27日(日)
所在地:東京都渋谷区神宮前1-10-10
開館時間:10:30〜17:30 ※入館は17:00まで
休館日:月曜日(9月21日は開館)、9月24日
入館料:一般1,200円、大学生・高校生800円、中学生以下無料
美術館サイト:『没後50年記念 鳥居言人 歌舞伎絵と新版画』

レオナルド・ダ・ヴィンチの傑作が初来日、ボッティチェリやティツィアーノも集うルネサンスの祭典|国立新美術館

レオナルド・ダ・ヴィンチ《女性の肖像》、誤って付された別称《美しきフェロニエール》1490‒1497年頃 パリ、ルーヴル美術館 © GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Michel Urtado

世界最大級の規模を誇るルーヴル美術館のコレクションから選び抜かれた50点余りの作品を通して、15世紀から16世紀にかけてヨーロッパ各地で隆盛を極めたルネサンス美術に迫る『ルーヴル美術館展 ルネサンス』が、東京・六本木の国立新美術館で開催されます。

最大の見どころは、レオナルド・ダ・ヴィンチの傑作《女性の肖像》、通称《美しきフェロニエール》の日本で初めて公開されることです。レオナルドの真筆とされる絵画はわずか15点ほどしか現存せず、ルーヴル美術館には5点が所蔵されていますが、この巨匠の作品が同館より来日するのは、1974年の《モナ・リザ》以来、実に半世紀ぶりのこととなります。

ミラノ滞在中に手がけられ、人物の外見の特徴だけでなく内面に潜む複雑な感情を描き出そうとした本作。四分の三正面観で描かれた女性は、こちらを見返しているようでもあり、もっと右を見ているような謎めいたまなざしを湛えています。これはルネサンス期に起こった肖像芸術の革命、つまり個人が芸術表現の中心に据えられるようになったことを象徴する作例といえます。

本展ではこのレオナルドから導き出した「旅」「技法の革新と洗練」「古代へのまなざし」「肖像芸術の隆盛」という4つのテーマに基づき、多彩な作品を展示。ボッティチェリ、ティツィアーノ、デューラー、クラーナハ、エル・グレコといったルネサンスを代表する巨匠たちの作品だけでなく、木版画や銅版画、ブロンズ彫刻、メダル、陶器、タペストリーなど、この時代に飛躍的な発展を遂げた多彩な技法による表現も紹介されます。

南ネーデルラント(?)《田園の合奏》16世紀第1四半期 パリ、ルーヴル美術館 Photo © Musée du Louvre, Dist. GrandPalaisRmn / Philippe Fuzeau / distributed by AMF-DNPartcom

『ルーヴル美術館展 ルネサンス』 国立新美術館 企画展示室1E

開催期間:2026年9月9日(水)~12月13日(日)
所在地:東京都港区六本木7-22-2
開館時間:10:00〜18:00(毎週金・土曜日は20:00まで)※入場は閉館の30分前まで
休館日:毎週火曜日(9月22日、11月3日、12月8日は開館)、11月4日(水)は休館
観覧料:一般2,400円、大学生1,400円、高校生1,000円、中学生以下無料
展覧会公式サイト:『ルーヴル美術館展 ルネサンス』

梁山泊に集う108人の豪傑、『水滸伝』が日本で辿った変容の軌跡|東京ステーションギャラリー

歌川国芳《通俗水滸伝豪傑百八人之一個 九紋龍史進 跳澗虎陳達》江戸時代(19世紀)、個人蔵

中国四大奇書のひとつに数えられる『水滸伝』。腐敗した政権に不満を抱いた宋江率いる108人の豪傑が梁山泊に集うこの物語は、江戸時代に一大ブームを巻き起こし、日本でも長く愛されてきました。その誕生の背景から北宋〜清の多彩な中国美術、さらに現代へと至るイメージの多層化を追う展覧会『水滸伝』が、東京ステーションギャラリーで開催されます。

見どころは大きく2つ。まず、江戸時代後期の浮世絵師・歌川国芳の出世作「通俗水滸伝豪傑百八人之一個」が一挙公開されます。豪放な好漢たちが筋骨たくましい姿で画面いっぱいに躍動するこの連作は、現在74枚が確認されており、本展ではそのすべてを見ることができます。あわせて、重要文化財の趙浙《清明上河図》や汝窯《青磁 水仙盆》など、『水滸伝』の舞台となった北宋時代の繁栄を物語る名品の数々も紹介されます。

そしてもうひとつが、物語が日本でたどった多彩な展開です。曲亭馬琴・葛飾北斎による『新編水滸画伝』をはじめ、歌舞伎や錦絵、半纏の意匠にまで浸透した『水滸伝』のイメージ、さらに馬琴が同作から着想を得て生み出した『南総里見八犬伝』との関係もたどります。

現代パートでは、白髪一雄のアクション・ペインティングやさいとう・たかをの漫画原画に加え、連続ドラマ『北方謙三 水滸伝』の衣裳も展示。また同ドラマの林沖役の亀梨和也さんが音声ガイドナビゲーターに就任し、見どころをたっぷりと解説します。小説から漫画、ドラマまで、時代とともに姿を変えてきた豪傑たちの物語を通じて、『水滸伝』の奥深い魅力に触れることができます。

さいとう・たかを《『水滸伝』原画》1996年 ©︎さいとう・たかを/さいとう・プロダクション

『水滸伝』 東京ステーションギャラリー

開催期間:2026年9月19日(土)~11月8日(日)
所在地:東京都千代田区丸の内1-9-1
開館時間:10:00〜18:00(金曜日~20:00)※入館は閉館30分前まで
休館日:月曜日(9/21、10/12、11/2は開館)、10/13(火)
入館料:一般1,600円、高校・大学生1,100円、中学生以下無料
美術館サイト:『水滸伝』

マティスが「我らの北斎」と称えた画家、水辺を愛したマルケの35年ぶりの回顧展|SOMPO美術館

アルベール・マルケ《マルセイユの馬》 1916年 ボルドー美術館 © Mairie de Bordeaux, Musée des Beaux-Arts, photo F. Deval

アンリ・マティスとともにフォーヴィスム(野獣派)の誕生に関わりながら、長くその陰に隠れた存在として語られてきたアルベール・マルケ(1875~1947年)。近年フランスで再評価が進む画家の業績をたどる『アルベール・マルケ展』が、東京・西新宿のSOMPO美術館で開催されます。

マルケはマティスらとともに純粋色と自由な筆触を用いたフォーヴィスムを展開しながらも、終始、対象の観察に基づいて描く態度を崩すことはありませんでした。「マルケのグリ(灰色)」と呼ばれた独特な灰色の使い方をはじめ、ニュアンスに富んだ中間色のトーンの対比によって風景画を描くようになり、パリの自宅から眺めたセーヌや、南仏、アルジェなど旅先で出会った水辺の情景を、時間や天候を変えながら繰り返し描き続けます。

本展では、マルケの最大コレクションを有するボルドー美術館をはじめ、アンドレ・マルロー近代美術館、ブザンソン美術考古博物館などフランスの公立美術館の協力のもと、初期から晩年までの様式の展開を体系的に紹介。約90点の油彩に加え、約25点の素描類も展示され、日常の身振りや都市の気配をとらえるマルケの卓越したデッサンの力も明らかになります。

人々や車、船といった都市生活のモティーフを軽やかに描き、そのわずかな筆致で本質を捉える描写力には、日本美術の影響も指摘され、マティスから「我らの北斎」と称えられたマルケ。国内では実に35年ぶりの本格的なマルケ展にて、20世紀フランス絵画の中で独自の地位を占めた画家の真髄を目の当たりにしてください。

アルベール・マルケ《ポン=ヌフとサマリテーヌ》 1940年 ひろしま美術館

『開館50周年記念 アルベール・マルケ展』 SOMPO美術館

開催期間:2026年9月22日(火)~12月13日(日)
所在地:東京都新宿区西新宿1-26-1
開館時間:10:00〜18:00(金曜日は20:00まで)※最終入場は閉館30分前まで
休館日:月曜日(10月12日、11月23日は開館)、9月24日、10月13日、11月24日
観覧料:一般(26歳以上)2,000円、25歳以下1,200円、高校生以下無料
美術館サイト:『開館50周年記念 アルベール・マルケ展』

150年続く皇室のおもてなし、宮中晩餐会の美と歴史をひもとく|霞会館記念学習院ミュージアム

有栖川宮家・高松宮家正餐用洋食器 アッシュ&ペパン・ルアルール 、アビランド、バカラ、クリストフルその他 明治中期 仁和寺蔵 有栖川宮家ボンボニエール 霞会館記念学習院ミュージアム・学習院女子中・高等科蔵

海外からの国賓を饗応するために開催され、国の最高接遇である「宮中晩餐会」。誰もが一度は耳にしたことがありながら、実際に出席した人はごく限られます。そうした世界を美術工芸品を通して体感できる展覧会『ようこそ! 華麗なる宮中晩餐会の世界へ』が、東京・目白の霞会館記念学習院ミュージアムで開催されます。

皇居内宮殿の豊明殿で催される宮中晩餐会は、フランス料理のフルコースが供され、男性は燕尾服または紋付羽織袴、女性はロングドレスまたは色留袖という、最高レベルのドレスコードが定められています。

19世紀に成立した様式を現在まで継承する、世界でも唯一無二のスタイルの晩餐会は、皇室、政府、そして職人たちが試行錯誤の末に築き上げてきたもの。本展では、そのおよそ150年にわたる歴史を、明治から現代まで続く食器やボンボニエール、ドレスなどから多角的にひもときます。

まず会場では、外国からの賓客をもてなす中心的な役割を担った有栖川宮家の、約150年前の晩餐会のテーブルセッティングを再現。明治期の宮家における西洋式饗応の華やぎが目の前によみがえります。そして、彬子女王殿下が宮中晩餐会で御着用になられたイブニングドレス4点を特別に展示し、正礼装ローブ・デコルテなどの華やかな意匠を間近で見ることができます。

この他にも、皇室の御慶事に際して制作・下賜されたボンボニエールも初公開の品を含め多数紹介され、知られざる皇室のおもてなし文化の奥行きも示されます。選ばれた人だけが目にしてきた晩餐会のきらめきを、霞会館記念学習院ミュージアムならではの本展にてじっくり堪能してください。

イブニングドレス(ローブ・デコルテ)〔平成29(2017)年4月 スペイン王国国王フェリペ6世陛下及び王妃レティシア陛下歓迎宮中晩餐会で御着用〕 三笠宮家蔵 ※展示替あり

『ようこそ! 華麗なる宮中晩餐会の世界へ』 霞会館記念学習院ミュージアム 特別展示室

開催期間:2026年9月26日(土)~11月21日(土)
所在地:東京都豊島区目白1-5-1
開館時間:10:00~17:00 ※入館は16:30まで
休館日:日曜・祝日、10月17日(土)、11月4日(水)※10月25日、11月1日、11月3日は開館
入館料:無料
美術館サイト:『ようこそ! 華麗なる宮中晩餐会の世界へ』

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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

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