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2026.5.29

【千葉県立美術館】グーテンベルクから杉浦非水、浅井忠まで。印刷博物館の名品でたどる“美しい印刷”の世界

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TOPPANホールディングス株式会社が運営する印刷博物館のコレクションを紹介する企画展「ひらく、めくる、めぐる―印刷博物館の美しい印刷」が、2026年6月27日(土)から9月6日(日)まで、千葉県立美術館で開催されます。

本展では、印刷博物館が所蔵する貴重な印刷物の中から、各時代・各地域で生み出された名品を厳選して公開。西洋の宗教書や日本の古典文学、近代デザインのポスターや書籍などを通して、印刷がどのように知を広げ、文化を記録し、美しい視覚表現を生み出してきたのかを紹介します。

ひらく、めくる、めぐる―印刷博物館の美しい印刷ひらく、めくる、めぐる―印刷博物館の美しい印刷

印刷は、知と美をひらくメディアだった

印刷と聞くと、書籍や新聞、チラシなど、情報を複製して届ける技術を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし印刷物は、単なる情報伝達の手段にとどまらず、その時代の思想や信仰、文学、デザイン、美意識を映し出す文化財でもあります。

本展のタイトルにある「ひらく、めくる、めぐる」という言葉は、本や印刷物に触れる体験そのものを想起させます。ページをひらき、紙をめくり、時代や地域をめぐるように鑑賞することで、来場者は印刷文化の奥深い広がりに出会うことができます。

展示は「西洋の印刷」「日本の印刷」「デザインと印刷」の3章構成。活版印刷の発明から、江戸の出版文化、近代以降のポスターやデザイン表現まで、印刷が社会と美術に与えてきた影響を多角的にたどります。

グーテンベルク以降、知は“複製”され広がっていった

フィリップ・ピグーシェ 印刷、シモン・ヴォストル 出版 『時禱書』1502年頃、印刷博物館蔵フィリップ・ピグーシェ 印刷、シモン・ヴォストル 出版 『時禱書』1502年頃、印刷博物館蔵

第1章「西洋の印刷―知のひろがり、美の極み」では、ヨハネス・グーテンベルクによる活版印刷の発明以降、西洋社会で印刷が果たした役割に注目します。

宗教、科学、哲学、政治に関する書物が印刷によって広く流通するようになったことで、知識や情報は一部の支配階級だけのものではなく、より多くの人々へと開かれていきました。印刷技術の普及は、宗教改革をはじめ、ヨーロッパの歴史や思想にも大きな影響を与えたとされています。

展示では、フィリップ・ピグーシェ印刷、シモン・ヴォストル出版による『時禱書』(1502年頃)や、ヤン・モレトゥス1世印行『ローマ・ミサ聖歌集』(1599年)などを紹介。信仰や学問の世界を、文字と図像の美しさによって支えた印刷物の魅力に迫ります。

ヤン・モレトゥス1世 印行『ローマ・ミサ聖歌集』 1599年、印刷博物館蔵ヤン・モレトゥス1世 印行『ローマ・ミサ聖歌集』 1599年、印刷博物館蔵

日本の印刷文化をたどる。百万塔陀羅尼から『南総里見八犬伝』まで

『百万塔陀羅尼(相輪)』764-770年、印刷博物館蔵『百万塔陀羅尼(相輪)』764-770年、印刷博物館蔵

第2章「日本の印刷―文学の世界、技の粋」では、日本における印刷文化の歩みを紹介します。

日本の印刷文化は、奈良時代の「百万塔陀羅尼」に始まるとされ、その後、平安、室町時代を経て、江戸時代に大きく発展しました。かつて写本は高価で、一般の人々が手に入れることは難しいものでしたが、江戸時代に印刷技術が広がると、物語や学問、娯楽に関する印刷物が広く流通するようになります。

本章では、『百万塔陀羅尼(相輪)』(764-770年)や、滝沢馬琴著、柳川重信ほか画による『南総里見八犬伝』(1814-42年)など、日本の印刷史を語る上で欠かせない作品を展示。文字を読む文化と、挿絵を楽しむ視覚文化が交差する、日本独自の出版文化を感じることができます。

滝沢馬琴 著、柳川重信 他 画『南総里見八犬伝』1814-42年、印刷博物館蔵滝沢馬琴 著、柳川重信 他 画『南総里見八犬伝』1814-42年、印刷博物館蔵

杉浦非水、浅井忠も。デザインとしての印刷物に出会う

杉浦非水『非水百花譜』1929-34年、印刷博物館蔵杉浦非水『非水百花譜』1929-34年、印刷博物館蔵

第3章「デザインと印刷―広がる視覚、新しい形」では、印刷博物館のコレクションを「デザイン」という視点から見つめ直します。

19世紀以降、ヨーロッパでは活版印刷に代わる新しい印刷技術が登場し、より効率的な大量印刷が可能になりました。石版印刷によるポスター表現も発展し、華やかな色彩や優れたデザインを持つ印刷物が次々と生み出されていきます。

本章では、地図、ポスター、ちりめん本を含む書籍など、多彩な印刷物を紹介。なかでも注目したいのが、日本のグラフィックデザインの先駆者として知られる杉浦非水の『非水百花譜』(1929-34年)です。植物を題材にした繊細な観察眼と装飾性は、印刷物が美術作品としても鑑賞できることを示しています。

また、千葉県立美術館での開催にあわせ、千葉県ゆかりの画家・浅井忠が手がけた『甲辰 明治三十七年 暦』(1904年)も展示されます。浅井忠は、TOPPANホールディングスの前身である凸版印刷株式会社の初代社長・河合辰太郎と親交があった人物。本展では、千葉の風土にちなんだ海や船に関連する作品も紹介され、地域とのつながりも感じられる内容となっています。

浅井忠『甲辰 明治三十七年 暦』1904年、印刷博物館蔵浅井忠『甲辰 明治三十七年 暦』1904年、印刷博物館蔵

本の世界を歩く、デジタルインスタレーションも登場

会場では、TOPPAN株式会社が制作したデジタルインスタレーション「ページの中を歩く」も展示されます。

本展示は、印刷博物館が所蔵する印刷物の中から厳選された一場面をスクリーンに映し出し、来場者が自由に歩きながら作品を鑑賞できる体験型展示です。まるで本の中に入り込んだような感覚で、細部の描写や色彩、印刷技術の美しさを体感できます。

紙の上に印刷された世界を、空間として歩いてめぐる。アナログな印刷物とデジタル技術が交差するこの展示は、印刷文化の新たな楽しみ方を提示してくれるでしょう。

印刷物から見えてくる、時代の美意識

印刷は、知識を伝えるための技術であると同時に、時代ごとの美意識を形にしてきた表現でもあります。宗教書の荘厳な装飾、江戸の物語本に描かれた挿絵、近代ポスターの色彩と構成。その一つひとつには、人々が何を伝え、どのように見せようとしたのかが刻まれています。

「ひらく、めくる、めぐる―印刷博物館の美しい印刷」は、印刷物を“読む”だけでなく、“見る”ものとして楽しめる展覧会です。ページの中に広がる知と美の歴史を、千葉県立美術館でたどってみてはいかがでしょうか。

開催概要

展覧会名:ひらく、めくる、めぐる―印刷博物館の美しい印刷
会期:2026年6月27日(土)~9月6日(日)
会場:千葉県立美術館
住所:千葉県千葉市中央区中央港1-10-1
開館時間:9:00~16:30(入場は16:00まで)
※金・土曜日および7月19日(日)は9:00~19:30(入場は19:00まで)
休館日:月曜日
※ただし7月20日(月)は開館、7月21日(火)は休館
入場料:一般1,000円、高校・大学生500円
※20名以上の団体料金あり
※中学生以下、65歳以上、障がい者手帳等をお持ちの方とその介護者1名は無料
※金・土曜日および7月19日(日)の16:30以降はナイト割適用。一般800円、高大生400円
公式サイト:https://www.chiba-muse.or.jp/ART/exhibition/events/event-11033/
主催:千葉県立美術館
企画協力:TOPPAN株式会社
特別協力:TOPPANホールディングス株式会社 印刷博物館

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