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2022.11.9

『ノートルダムの鐘』の舞台!パリ・ノートルダム大聖堂の歴史と建築

『ノートルダムの鐘』はディズニー映画にもなった作品で、原作は19世紀のフランス作家ヴィクトール・ユゴーの『NOTRE-DAME DE PARIS』(パリのノートルダム)です。
この作品の舞台である「ノートルダム」とは、パリのノートルダム大聖堂を指します。

sacratomato_hr, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

この記事では、パリのノートルダム大聖堂の歴史、建築様式などについて、イタリアの大学院で美術史を専攻している筆者が詳しく解説していきます!

『ノートルダムの鐘』の舞台、ノートルダム大聖堂とは

Dietmar Rabich / Wikimedia Commons / “Paris, Notre Dame -- 2014 -- 1445” / CC BY-SA 4.0

『ノートルダムの鐘』は15世紀パリを舞台にしています。
ジプシー(流浪の民)の子として生まれた主人公のカジモドは、育ての親である最高裁判事フロローの言いつけを守り、パリのノートルダム大聖堂から外に出ずに生活していました。

「ノートルダム」という言葉にはフランス語で「私たちの女性」という意味があり、これはカトリックでは聖母マリアを意味しています。
2019年4月には火災が発生し、屋根部分が崩落してしまったのも記憶に新しいのではないでしょうか。
その際にパリ市民が近くに集まり「アヴェ・マリア」を歌っていたと報じられましたが、それはこの歌が大聖堂と同じように聖母マリアに捧げられたものだからです。

『ノートルダムの鐘』の舞台!パリ・ノートルダム大聖堂の歴史

Uoaei1, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

15世紀を舞台にした小説にすでに登場しているということは、当然パリのノートルダム大聖堂はそれよりも古い歴史を持ちます。
もともとローマ時代に神殿があった場所にキリスト教教会が建てられ、12世紀に現在のようなゴシック様式として建築がスタートしました。
ノートルダム大聖堂は他の中世ゴシック教会と同じように、完成までに100年近くの年月がかかっています。

ノートルダム大聖堂の役割はその長い歴史の中で、教会としてミサなどの宗教行事が開催されるだけにとどまりませんでした。
記念式典や祝賀行事の中心になることも多く、1455年にはジャンヌ・ダルクの裁判が行われたり1804年にはナポレオンの戴冠式が行われたり、時には政治的な意図で利用されることもありました。

『ノートルダムの鐘』の舞台!パリ・ノートルダム大聖堂の建築様式

Photo: Myrabella / Wikimedia Commons

パリのノートルダム大聖堂は、その洗練された美しさもさることながら、建築物としての巨大さも圧巻です。
全長128m、幅48m、高さ91m、内部の身廊の天井高は32.50mにものぼり、見る人を圧倒する堂々とした佇まいが特徴です。
21世紀を生きる我々にとってもここまで迫力があるのだから、他の背の高い建物のなかった中世の人々にはいかに巨大な建築に感じられたか、想像もできません。
『ノートルダムの鐘』の主人公カジモドは、この大きな鐘楼の内部で鐘を鳴らす仕事を毎日していたのですね。

ノートルダム大聖堂の建築様式は「ゴシック様式の代表」といっても過言ではないほど、ゴシックとしての要素をきれいに反映しています。
内部には一部ロマネスク様式の雰囲気が残る部分もありますが、背の高く薄い壁をフライングバットレスで支える構造やステンドグラスで装飾をしている点などは典型的なゴシック様式といえます。

▼関連記事:中世の教会建築『ゴシック聖堂』ってなに?一層楽しむための注目ポイント解説

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参考:ノートルダム大聖堂内部のステンドグラス, Krzysztof Mizera, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

中世末期に建てられた教会(特に建築に非常に時間がかかるゴシック教会)は、建設過程の数十年・数百年の間に様式が微妙に変化していくことがよくあるのです。

まとめ

パリのノートルダム大聖堂は、パリの中心的な存在として数百年の間街を見守ってきました。
15世紀を題材にした『ノートルダムの鐘』の舞台が今もまだ存在しているのは、驚くべきことですね。

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はな

はな

イタリア・ローマの大学の美術史修士課程に在籍中。3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経てフリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

イタリア・ローマの大学の美術史修士課程に在籍中。3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経てフリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

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