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STUDY

2023.4.19

ポルトガルの街を彩るアズレージョとは?技法や歴史を紹介!

ポルトガル語の「アズレージョ(azulejo)」は 釉薬(うわぐすり)をかけて焼いたタイル装飾です。ポルトガル以外でもスペインで生産されており、スペイン語 ではアスレホと呼ばれます。

Alta Falisa, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

この記事ではアズレージョについて、ヨーロッパの大学院で美術史を専攻する筆者が解説します。

アズレージョとは

Julien Chatelain from Paris, France, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

アズレージョとは、ポルトガルとスペインの典型的なタイル装飾を指します。とくにポルトガルの街中ではいたるところでアズレージョ装飾が見られ、街の華やかで上品な雰囲気を作っています。

アズレージョは教会や宮殿などの特別な建造物に対して用いられるだけでなく、駅や一般家庭の装飾にもなっています。

「アズレージョ(azulej)」の語源には「青」という意味が含まれており、ポルトガルの街でよく見るアズレージョは白地に青で描かれることがほとんどです。しかし、歴史的に見るとアズレージョは青以外にも多彩な色が用いられており、実際カラフルな装飾も現存しています。

ポルトガル美術:アズレージョの技法

Joseolgon, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

アズレージョは釉薬をタイルに塗って焼き上げることで色を定着させる技法です。タイルに釉薬を塗る前に下書きをし、デザインを正確に描く準備をします。

下書きは直接線で描くのではなく、ペーパーに描かれた下書きに沿って針で穴をあけます。その穴の隙間から炭をタイルにこすりつけることで、完成品に下書きの跡が残りません。

続いて、黒い点線の下書きにそって筆で釉薬を塗っていきます。焼き上がりは色味が変化するため、色の調整が重要です。釉薬の状態では鮮やかな色でも、焼き上げ後はやや落ち着いた色味になってしまうためです。

タイルへの色付けがすべて完了したら、1020~1040℃に熱した釜で6~8時間焼き上げます。焼き上げ後は釜でタイルを休ませ、さらに16~18時間後にようやく取り出すことができます。

ポルトガル美術:アズレージョの歴史

Alvesgaspar, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

アズレージョの起源はアラビア文化圏にあります。アズレージョが生まれたポルトガルやスペインは、中世の長い時代を通じてイスラム圏にありました。そのため、芸術や文化におけるアラビア文化の多大な影響を受けているのです。

アズレージョは15世紀初期から浸透し、アラビア芸術でよく用いられた幾何学模様で装飾されていました。この頃のアズレージョの装飾は、壁を広く覆うように全体的に施される特徴があります。アラビア文化圏では、「horror vacui (空白の恐怖)」と呼ばれる装飾のないスペースを忌避する伝統があったためです。

1492年にレコンキスタが完了して以降は、元来のイスラム的幾何学装飾から飛躍したキリスト教色の強いアズレージョが制作されはじめます。このようなミックスカルチャーの背景があるため、ポルトガルのアズレージョ装飾はユニークで独特な発展を遂げたのですね。ポルトガルを訪れた際は、ぜひ街のアズレージョ装飾を見つけてみてください。

【写真4枚】ポルトガルの街を彩るアズレージョとは?技法や歴史を紹介! を詳しく見る
はな

はな

イタリア・ローマの大学の美術史修士課程に在籍中。3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経てフリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

イタリア・ローマの大学の美術史修士課程に在籍中。3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経てフリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

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