STUDY
2023.6.6
「ガウディとサグラダ・ファミリア展」が待ちきれない!【第3回】聖堂内で注目すべき3つのポイント
アントニ・ガウディは、スペイン・カタルーニャを代表する建築家です。ガウディの作品の中でもっとも大がかりな建築であるサグラダ・ファミリアは、1882年に建設が開始され、2023年現在まだ完成していません。
この記事では、2023年6月13(火)~9月10日(日)に東京国立近代美術館で開催される『ガウディとサグラダ・ファミリア展』をより楽しむための解説をしていきます。
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第3回となる今回は、サグラダ・ファミリア内部で注目すべきポイントを紹介します。
聖堂内の注目ポイント①自然モチーフの構造・装飾
SBA73, ,CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons
ガウディは、サグラダ・ファミリアの設計・建設において、ヨーロッパの伝統的なゴシック聖堂のほかに多くの自然モチーフを取り入れました。自然モチーフは装飾的な部分だけではなく、全体的な構造にも応用されています。
「教会内部は森のようになる(...)主廊の柱はヤシの木で、栄光と犠牲と殉教の木である。側廊の柱は、栄光と知性の木である月桂樹となる…」
ガウディ自身はサグラダ・ファミリアについて上記のように述べています。ガウディは自然界に存在する構造ほど美しく重要なものはないと考えていました。サグラダ・ファミリアの内部で天井を見上げると、確かに森の中にいるようなのびのびした印象を受けます。
聖堂内の注目ポイント②ステンドグラス
Bxalber, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
サグラダ・ファミリアの内装で注目すべき2つめのポイントは、ステンドグラスです。ガウディが多大な影響を受けたゴシック様式の聖堂は、壁が薄く高かったため窓ガラスへの装飾が発展した特徴があります。
ガウディはステンドグラスで「超越的な雰囲気」を作り出そうとします。ゴシック様式へのリスペクトを示しつつ、過去を超越してより新しいものを作ることがガウディの意図でした。
伝統的なゴシック聖堂のステンドグラスでは、陽の当たりやすい位置とそうでない位置でカラーフィルターの強度が調整されています。陽がよく当たる上部には色彩を強め光の通過量を抑え、建物や木の陰になりやすい低い位置は透明性が高く設定されます。そうすることで、光の強弱にかかわらず一貫した色味を感じられるためです。
しかし、サグラダ・ファミリアのステンドグラスは伝統的ゴシック聖堂のステンドグラスとは真逆の構造をしています。ガウディは、光の入りやすいステンドグラス上部の透明度を上げることで、ステンドグラスから入る光源のコントラストを最大にしたのです。
地中海沿いに位置するバルセロナの強力な日差しは、ステンドグラスを通じて強くカラフルな光を内部に届けます。光はガラスを通して柔らかくより豊かになり、内部装飾のモザイク画や黄金の丸天井を照らす自然の光源となります。ステンドグラスの例からわかるように、ガウディは伝統へのリスペクトを示しつつも、積極的に新しいものを想像する姿勢を決して忘れることがありませんでした。
聖堂内の注目ポイント③主祭壇の装飾
ferran pestaña, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons
サグラダ・ファミリアの主祭壇(中央祭壇)には、天井から吊るされた天蓋が設置されています。天蓋は直径5m程度の七角形で、ふちにはブドウの房(ガラス製)、ブドウの葉(銅製)、トウモロコシの穂(白木製)が伸びています。
天蓋の中央からはイエス像が1.90mの十字架にかけられて吊るされています。イエスは天を見上げる格好で、力強く神聖な表現が特徴です。天から降りて来たようにも、天に登るようにも見えるイエス像は、天上が高く広々したサグラダ・ファミリアの内部でもひと際目立っています。
キリスト教の教会において、主祭壇はミサの際に司祭が立つ場所であり、最も重要な部分の1つです。上階から入る太陽光と背後のステンドグラス、そして中に浮く天蓋の組み合わせは、足を踏み入れた者の視線を強く引き付ける構造となっています。
まとめ
Jiuguang Wang, CC BY-SA 3.0 ES, via Wikimedia Commons
サグラダ・ファミリアは全体の建築構造から細部の装飾に至るまで、ガウディの芸術と宗教に対する情熱が込められた建築です。晩年のガウディは敬虔なキリスト教徒になったと言われ、サグラダ・ファミリアの装飾の随所に深い信仰心が感じられます。
『ガウディとサグラダ・ファミリア展』では、ぜひ芸術だけでなくキリスト教要素にも注目してみてくださいね。
▼「ガウディとサグラダ・ファミリア展」が待ちきれない!【第4回】カサ・ミラの特徴
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展覧会情報
ガウディとサグラダ・ファミリア展
開催期間:2023年6月13日(火)~9月10日(日)
会場:東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
開館時間:10:00~17:00(金・土曜日は20:00まで)
休館日:月曜日(ただし7月17日は開館)、7月18日(火)
公式サイト:https://gaudi2023-24.jp/
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イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
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