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2024.1.25

「第1回印象派展」って何?伝統的芸術サロンに対抗したグループ展

「印象派展」とは、印象派の画家たちがおこなったグループ展を指す言葉です。「第1回印象派展」は1874年に最初に開催された展示会であり、2024年の今年は150周年の節目の年にあたります。

モネ『印象、日の出』, Public domain, via Wikimedia Commons

「第1回印象派展」は、モネやドガなど名だたる芸術家の作品が集結した歴史的に重要な展示会です。しかし、開催に至るまでにいきさつは決して華々しい内容ばかりではありませんでした。この記事では、当時のフランス芸術界の歴史背景を踏まえ、「第1回印象派展」の概要を紹介します!

印象派が反発したフランスの伝統的な「サロン」とは?

セザンヌ『首吊りの家』, Public domain, via Wikimedia Commons

19世紀のフランス芸術界では、王立絵画彫刻アカデミー(Académie Royale de Peinture et de Sculpture)やフランス芸術家協会が主導したサロンの文化が強い影響力を持っていました。正式には「サロン・ド・パリ」で、パリで公式に行われる美術展覧会を指します。

もとは王立絵画彫刻アカデミーが定期的に開催していたアカデミー会員の作品展覧会でしたが、1745年に出展審査制度が設けられたことにより、芸術家の登竜門に近い立ち位置になっていきました。相次ぐパリの政治的混乱により制度が変更されることはあったものの、おおむねサロンはフランス芸術界における権威であり続けました。

「第1回印象派展」開催のいきさつ

ルノアール『桟敷席』, Public domain, via Wikimedia Commons

公式美術展覧会として発足したサロンは、絵画の伝統を重視し保守的な傾向がありました。ヨーロッパにおける絵画の伝統とは、歴史画や宗教画をテーマや、理想主義的・古典主義的な画風を指します。とくにフランスの美術アカデミーにおいては古典主義こそが美の象徴であるとする考えが根強く、枠組みを外れるほどの革新的な美術スタイルは生まれにくい土壌がありました。

モネやドガなどの「印象派」画家は、瞬間的な光をとらえる革新的な技法(のちに「印象派」の特徴とされる)や農村風景や自然景色の主題が特徴です。伝統に反した彼らの作風はサロンで認められず、落選することも少なくありませんでした。

次第に彼らは古典主義を絶対とするフランス美術アカデミーの姿勢に疑問を抱き、サロン出展が認められないのであればと、自分たちでグループ展を開催することを決めます。

「第1回印象派展」に出展した芸術家は?

ドガ『競馬場の馬車』, Public domain, via Wikimedia Commons

第1回印象派展を開催したメンバーは「画家、版画家、彫刻家等、芸術家の共同出資会社(フランス語:Société anonyme des artistes peintres, sculpteurs et graveurs)」と呼ばれるグループを設立しています。不思議な名称に感じられますが、芸術界における権威の象徴となっていたサロンのような団体になることを避けるため、中立的なグループ名が選択されたのです。


第1回印象派展に出展した主な芸術家は、次のとおりです。
• クロード・モネ
• ピエール=オーギュスト・ルノワール
• アルフレッド・シスレー
• ポール・セザンヌ
• エドガー・ドガ

1874年4月15日から開催された第1回印象派展は、30名の芸術家からの作品出展がありました。複数作品を出展した芸術家もいたため、総展示作品数は165点といわれます。公式のサロンから独立したグループ展としては、比較的大きな規模があったとわかりますね。

「印象派展」、その後…

モネ『Frost at Giverny』, Public domain, via Wikimedia Commons

第1回印象派展には、約1ヶ月の開催期間中に3,500人の来場者がありました。これは同時期に開催されたサロン・ド・パリに比べると約100分の1の人数にすぎず、開催費と入場料でギリギリ黒字になる程度の規模です。「印象派」の呼称はもともとモネの『印象、日の出』から美術評論家が皮肉を込めて用いたものであり、「印象派展」は「サロン落選組の展覧会」と嘲笑されていました。

しかし、徐々に「印象派」は旧来の美術から離れた新しい美術スタイルとして受け入れられるようになり、後世の美術界に大きな影響を与える存在に。印象派には、光を重視し瞬間的な場面をとらえる技法や、農村風景や自然を中心テーマに据える革新性が注目を集め始めたのです。

ほかにも、あいまいで直感的な陰影を表現するために黒を使用しない点や、絵具に筆の質感をわざと残す物質感も印象派の特徴でした。技法や絵画主題だけではなく、戸外に出て自然光を目で見ながら作品を制作するスタイルも当時のフランスでは珍しく映ったのでしょう。

印象派展は、第2回以降も不定期に開催され、1886年の第8回印象派展まで続きました。「第1回印象派展」は伝統的なサロンから脱却し、革新的な芸術潮流を生み出した最初の一歩といえます。批判の声に負けずに自身の芸術を貫いたことで、新しい芸術が生まれたのですね。

以上、「第1回印象派展」についてでした!

【写真5枚】「第1回印象派展」って何?伝統的芸術サロンに対抗したグループ展 を詳しく見る
はな

はな

イタリア・ローマの大学の美術史修士課程に在籍中。3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経てフリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

イタリア・ローマの大学の美術史修士課程に在籍中。3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経てフリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

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