STUDY
2024.12.13
ディズニーとアートの関係性とは?ウォルト・ディズニーの歩みとともに解説!
2023年10月16日、ウォルト・ディズニー・カンパニー(The Walt Disney Company)は創立100周年を迎えました。
その華々しく長い歴史の中では、いくつもの困難にぶつかりながらも世界中の人々に感動とハピネスを与え続けてきました。
人々を惹きつけるディズニーの魅力とは何なのでしょうか。
目次
現在では様々な分野とのコラボレーションをはじめ、多方面での事業を展開し世界的大企業となったディズニーですが、元は小さなスタジオと1匹のねずみから始まりました。
当記事では、これまでのディズニーの長い歴史を振り返りながら、ディズニーの魅力やアートとの繋がりについて追っていきたいと思います。
ウォルト・ディズニーの歴史
~ アートと夢 ~
1901年12月5日、アメリカ イリノイ州シカゴに生まれたウォルト・ディズニーは、幼い頃に叔父の住むミズーリ州マーセリーンへ移り住み、少年時代を過ごしました。
ウォルト・ディズニーが芸術に触れ、絵を描き始めたのもその頃です。
Pixie-CoreによるPixabayからの画像
幼い頃からアートにとても興味を持ち自身でも絵を描いていたウォルト・ディズニー。7歳の頃には自分で描いたスケッチを周りの人に売ったり、理髪店では絵と引き換えに無料で散髪をしてもらったりしていました。
再びシカゴに戻った高校時代には、高校へ通いながらアートの専門学校夜間部で絵を学びます。
戦争の為学校を退学しましたが、戦争が終わりアメリカへ戻ってからは再びアートの世界へ進みました。
初めは漫画家を目指していたウォルト・ディズニーでしたが、中々仕事の依頼が増えず苦しい生活を送っていました。
そんな時、兄のロイ・オリヴァー・ディズニーの計らいで広告デザインの仕事に就く事となり、そこで生涯の友人となる、アブ・アイワークスと知り合います。
彼と出会ってからは2人でデザイン会社を立ち上げ、漫画家からアニメーターへと転身していきます。
ウォルト・ディズニーはその時すでに、それまでの主であった”切り抜き手法”ではなく、”セル・アニメーション”の可能性を確信していました。
この時から時代の先をいっていたと言えるでしょう。
ディズニーが世に出した最初のアニメーション
~ 成功と苦難 ~
ウォルト・ディズニーは独立してからも倒産を経験しましたが、再起を図りハリウッドへと移ります。
そこで兄のロイ・オリヴァー・ディズニーと共に、ディズニー・ブラザース・カートゥーン・スタジオ(Disney Brothers Cartoon Studio)、後のウォルト・ディズニー・カンパニー(The Walt Disney Company)を共同設立しました。
アメリカロサンゼルス市に制作スタジオを開設し、そこから数々のアニメーションを世に送り出しています。
ディズニーが世に出した最初のシリーズは、『アリス・コメディ』シリーズです。
子役少女の実写とアニメーションを融合させた革新的なシリーズは大人気となり、ディズニー社は軌道に乗っていきました。
その後、自社キャラクターとして”オズワルド・ザ・ラッキー・ラビット”を生み出しますが紆余曲折あり、オズワルドの権利はおろか多くのスタッフまで失ってしまいます。
またもや倒産の危機に立たされ、大きな壁にぶつかったディズニーですが、それでもウォルト・ディズニーは諦めませんでした。
Stefan SchweihoferによるPixabayからの画像
困難を何度も乗り越える強さ
~ 夢を叶えた一匹のねずみ ~
オズワルドに代わる新たなキャラクターを生み出すことを決意したウォルト・ディズニーは、ついに”ミッキーマウス”を生み出します。
「すべては一匹のねずみから始まった」
というウォルト・ディズニーの言葉は、とても有名です。
ミッキーマウスが登場する最初の短編アニメーションは、1928年5月15日に試写された『Plane Crazy』(邦題:飛行機狂)です。
しかし、当時は他のサイレントアニメーション映画と大差ないという理由で、配給会社から相手にされませんでした。
しかしその後の1928年11月18日、音声つきのアニメーション『Steamboat Willie』(邦題:蒸気船ウィリー)が大ヒットし、ミッキーマウスは華々しいスクリーンデビューを果たしました。
この日がミッキーマウス、ミニーマウス初のスクリーンデビューである為、二人の誕生日とされています。
当時、音声付きのアニメーションは他からすでに出ていましたが、その中でも『蒸気船ウィリー』は世界初となる”サウンドトラック方式”を用いて制作されていました。
ここでもウォルト・ディズニーは人々の先を行き、新しい事を実践していたのです。
1937年12月21日には、世界初となる長編カラーアニメーション『Snow White and the Seven Dwarfs』(邦題:白雪姫)が公開され、空前の大ヒットを記録しています。
『蒸気船ウィリー』が大ヒットしたものの赤字が続いたディズニー。実は多額の借金もあり倒産間近だったといいます。
しかし『白雪姫』には巨額の費用と年月が費やされ、一切の妥協もなく制作されました。
その努力の甲斐もあって桁外れの大ヒットとなり、ディズニーはまたも波に乗ってゆくのです。
その後公開された『Fantasia』(邦題:ファンタジア)では、またも史上初となる”ステレオサウンド方式”が用いられています。
常に映像表現の道幅を広げ、映画業界の最先端を行くウォルト・ディズニー。
まだ誰も成し遂げていないことでも躊躇せず挑戦し、努力を惜しまないウォルト・ディズニーだからこそ、次々と夢を叶え、また人々に夢や感動を与えることができたのでしょう。
ディズニーの世界へ没入できる夢と魔法の王国
~ 緻密に創られ散りばめられた魔法の数々 ~
1955年7月17日、アメリカ カリフォルニア州アナハイムに、ついに世界初となる「ディズニーランド」がオープンしました。
誰もが注目し心待ちにしていたその様子は、全米に中継され人々を魅了しました。
開園のスピーチでは、「ディズニーランドはあなたのものです。大人はかつての記憶を懐かしみ、若者は未来への挑戦と約束を味わうでしょう。また、世界中の人々に楽しい思い出を作ってもらえる場所となるよう願っています。」と語っています。
映画と同様に、パークにもウォルトの妥協しない強いこだわりや夢、願いがたくさん込められているのです。
パークの中は一歩入れば数えきれないほどの魔法が散りばめられ、何もかもが完璧な、まさに”夢の国”ですが、それは人間のイマジネーションと緻密に計算され創りだされた努力の賜物です。
建造物やBGM等ディズニーリゾートの中に造られたものは全て、見え方や感じ方、聞こえ方を意識して造られ、そこには何一つ無駄がありません。
例えば各国のパークの象徴とも言える”お城”ですが、東京ディズニーランドにある”シンデレラ城”では、外壁の石垣やタイルが上にいけばいくほど意図的に小さく造られています。
これは「強化遠近法」という、視覚効果によって実際の大きさよりも大きく見せる為にそうされているのです。
シンデレラ城だけではなく、ディズニーリゾート内のあらゆる所でこの方法は使われています。
アトラクションのデザインや設計も、全て念密に考え込まれて造られています。
東京ディズニーシーにある”タワーオブテラー”では、”ホテル・ハイタワー”にまつわる物語と、ホテルの所有者である”ハイタワー三世”の性格が考慮され、いくつもの建築様式が合わさった建物にデザインされています。
つまり実際にはありえない形で建っているのです。
その外観だからこそ、私たちは”タワーオブテラー”の不穏で不気味な雰囲気をより感じることができます。
異なる建築様式を混ぜてしまうなんて、普通の考えでは到底イメージできません。
まさに芸術と言えるでしょう。
flynn_chrisによるPixabayからの画像
もちろんそういった工夫は日本のパークだけではありません。
世界で2番目にオープンした、アメリカ フロリダ州オーランドにある「ウォルト・ディズニー・ワールド」。
その中のテーマパークの1つである”エプコット”にある球体「スペースシップ・アース」は、アトラクションでありながらも、その外観はなんとも近未来なデザインで目を引き、エプコットのシンボルともなっています。
建設時にはSF作家も携わったという徹底ぶりです。
そんな「スペースシップ・アース」は外観がカッコいいだけではなく、雨が降った際にゲストが濡れないよう、外側のパネルが水を吸い込むようになっています。
そうして吸い込まれた雨水は、エプコット内の湖”ワールドショーケース・ラグーン”に流れるようになっているのです。
flynn_chrisによるPixabayからの画像
念密に考え創られているのは、アトラクションや建造物だけではありません。
リゾート内にたくさん植わっている木々や花たち、そのどれもが意図してそこに在ります。
パーク内では魔法にかかったかのように、キャラクターの姿になっている木々やお花をあらゆる所で見ることができます。
また、岩がディズニーのキャラクターの姿をしているロックワークも、とても迫力があり圧巻です。
こういった芸術的な建造物や植物たちも全て、人々を楽しませる為に創られた”アート”と言えるのではないでしょうか。
ディズニーリゾート内のあらゆる場所で、このようなアートを見ることができます。
巨大な美術館・博物館・動物園等、全てが詰まった場所です。
~ 豊富なエンターテイメントと光と魔法の芸術 ~
brunapazini0によるPixabayからの画像
各国のパーク内では、様々な輝かしいショーやパレードが行われています。
音楽に乗せて放たれる水や光、花火の演出、キャラクターやダンサーのダンス。そのクオリティーはエンターテイメント業界においても大いに称賛されるほど、素晴らしいものばかりです。
キラキラとしたイルミネーションが音に合わせて動いているだけではありません。
映像を駆使し、炎や花火、水などの演出、そして基盤にあるディズニーの世界観と音楽、それら全てが合わさって感動的なショーが出来上がっています。
そんなパークで行われるショーやパレードも、1つの”アート”といえるのではないでしょうか。
また、パーク内ではキャストが水や落ち葉で地面に絵を描いてくれる事があります。
当然ながらずっとその場にあるわけではなく、時間が経てば消えてしまいます。
見ることができたらとてもラッキーですし、嬉しくなりますよね♪
パーク内では大きなショーやパレードだけではなく、色々な所で様々なエンターテイメントが行われています。
マーチングバンドやピアノの演奏が始まったり、マジックが始まったり。
キャラクター達のグリーティングも、推しがいる方には堪らないのではないでしょうか。
パーク内のどこにいても、アートやエンターテイメントに触れることが出来て、感動を味わうことができるのです。
今年に入ってからは、東京ディズニーシーに新エリア「Fantasy Springs」がオープンしました。
2024年6月6日~9月30日まで、東京ディズニーリゾート内にあるイクスピアリにて、「ファンタジースプリングス ニューチャプター・ビギンズ展」も開催され、Fantasy Springsがオープンするまでの軌跡や模型、アートが展示され、大変人気を博していました。
「ディズニーランドは永遠に完成しない。この世界に想像力が残っている限り、成長し続ける」
と、生前ウォルト・ディズニーは語っています。
その言葉の通り、現在も新しいアトラクションやショーが次々に考案され、どのパークも常に進化をし続けています。
ディズニーはそんな姿勢だからこそ、人々を飽きさせる事なく常に魅了し、ここまでの歴史を築くことができたのでしょう。
今後も世界中のディズニーパークスから目が離せません。
いつもディズニーと共に
~ フィギュアや絵画 ~
唯一、ウォルト・ディズニー本人のサインがロゴとして使われ、とても貴重なコレクションであるWDCC(ウォルト・ディズニー・クラシック・コレクション -Walt Disney Classics Collection-)。
1992年7月から2012年まで生産されていました。
ディズニーのアニメーター監修の元、映画の名場面を再度スケッチ、考察を重ねてデザインされ、キャラクターや作品に忠実につくられている陶器製のフィギュアです。
(WDCC / 右:Broom "Bucket Brigade") (WDCC / 左:YenSid & Mickey "Oops..") 筆者撮影
作品によっては、一部にクリスタルやガラス、金属が使われているものもあり、色は全て1点ずつ手彩色されています。
多いときでは20回以上も色付けと焼き入れを繰り返し、丁寧に仕上げられるWDCC。
すでに生産も終了していることも相重なり、現在ではレアなフィギュアとしてコレクターに楽しまれています。
映画のワンシーンからそのまま出てきたかのような生き生きとした躍動感のあるデザインと、陶器ならではの繊細な質感や色味は、何物にも代えがたい圧倒的な存在感を放ちます。
キャラクター部分のみならず細かいところまで精巧に作りこまれ、見ていてうっとり溜息が出てしまうほどに美しいWDCC。
タイトルシリーズは、このシリーズだけを集めているコレクターもいる程人気があります。
緑色の箱が特徴的で、全ての作品にロイ・E・ディズニーの自筆サインスタンプの入った証明書もついています。
(WDCC / 右:Minnie Mouse "Princess Minnie") (WDCC / 左:Mickey Mouse "I Let 'Em Have It!") 筆者撮影
WDCCは既に生産を終了していますが、現在もディズニー公認のアーティストたちが、ディズニーキャラクターの素晴らしいフィギュアたちを世に出しています。
(Disney Traditions / Donald with Kite) 筆者撮影
フィギュアはブランドによって陶器やレジン(合成樹脂)でできていて、素材は様々です。
また、アーティストによって作風や質感も異なります。
(Disney Show Case / Ariel Botanical) 筆者撮影
これらのフィギュアは続々と新作もつくられ、日本にも輸入されています。
フィギュアの他に、絵画もディズニーのアート作品として楽しまれています。
アニメーションを作る際にとても重要な「セル画」は、当時は価値がないと思われ破棄されていました。
現在ではとても貴重なアートとして取り扱われています。
鑑賞用として製作された「セリグラフ・セル」も全てに限定枚数が入り、ディズニー社発行の証明書がつく大変貴重なアートです。
また、公認アーティストが描く「ジクリー」も、お家でディズニーのアート楽しめるものの1つです。
フィギュアと同じように、アーティストによって画材や雰囲気も異なる為、お気に入りの1枚に出会えたらそれはとても幸せな事に思います。
絵画も一期一会なのです。
実際にディズニーのアニメーターとして活躍していたアーティストが描いた作品もあり、世界枚数限定で製作される為、全ての作品にシリアルナンバーが入ります。
ジクリーの技術は本当に素晴らしく、更に加筆される作品もあるので、より原画に近い版画と言えるでしょう。
ご紹介したアート以外にも、ドローイングやエッチングなど、素晴らしいアートはたくさんあります。
お家にフィギュアや絵画があると、毎日の生活にきっともっとハピネスを与えてくれますよ。
受け継がれるウォルト・ディズニーの想い
~ 輝かしい歴史は続いていく ~
ここまでディズニーの長い歴史とアートとの繋がりを追ってまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
ウォルト・ディズニーは幼い時から、常にアートと共に生きてきました。
映画やパークを合わせてみてみても、「ディズニーはアート」と言って過言ではありません。
幼い頃から絵を描いていた少年は、大きな夢と魔法の王国を築き上げ、今では世界中で愛される大きな存在となりました。
100周年を迎えたディズニーは、その長い歴史の中で様々なことが起こりましたが、どんな困難が起きても屈せず、ウォルト・ディズニー自身も夢を持ち続けました。
そしてきっと叶うと信じ、努力し続けてきました。
常に人の喜ぶ事を考えてきたウォルト・ディズニーが描いた”ディズニー”だからこそ、多くの場で名をとどろかせ、世界中の人々に夢や感動、最上級のハピネスを与えることができるのでしょう。
Roberto OliveiraによるPixabayからの画像
100年経った現在も尚進化し続け、人々に感動を与え続けているディズニー。
ウォルト・ディズニーの想いは褪せることなく次の世代へと受け継がれ、新しいものを生み出しながら新たな歴史へと繋がれていきます。
また100年後、200年後へと、今後も止まることなく進化し続け、世界中の人々に感動とハピネスを与え続けてゆく事でしょう。
映画、ディズニーパーク、アート等、これからのディズニーからも目が離せません!
今後もディズニーの活躍に、注目していきたいと思います。
ここまで読んでくださった皆様も、ウォルト・ディズニーのように夢を諦めず、きっと叶えていって下さい。
筆者も自分に言い聞かせ、精進していきたいと思います。
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セバスチャン
本が大好きで、幼い頃から日本文学から世界の文学まで、幅広く読んでいました!その中で見つけた言葉の美しさや深さを記事に込めて、みんなに届けるのが私の幸せです♪
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