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STUDY

2022.6.20

サン・ピエトロ大聖堂の建築の特徴【ミケランジェロとベルニーニ】

サン・ピエトロ大聖堂は、ヴァチカン市国内にある聖堂です。
ローマ・カトリックの総本山であり、教会建築として世界最大級の大きさとも言われています。

サン・ピエトロ大聖堂の建築の特徴【ミケランジェロとベルニーニ】Alvesgaspar, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

サン・ピエトロ大聖堂は長い歴史の中で増改築を重ね、現在の大聖堂の姿になるまでには、有名な芸術家ミケランジェロやベルニーニも設計・建築に参加してきました。

この記事では、ローマ大学院で美術史を専攻している筆者が、サン・ピエトロ大聖堂の建築について紹介します。

サン・ピエトロ大聖堂改築とルネッサンス

サン・ピエトロ大聖堂の建築の特徴【ミケランジェロとベルニーニ】Luca Aless, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

サン・ピエトロ大聖堂の歴史は4世紀までさかのぼります。
初期キリスト教世界では、聖人の墓の上に教会を建設するという伝統があり、サン・ ピエトロ大聖堂はその名の通り聖ペトロの墓の上にあるとされています。
14世紀まではサン・ジョバンニ大聖堂に教皇座が敷かれていましたが、1309年から1377年のアヴィニョン捕囚により教皇が不在となり、サン・ジョバンニ大聖堂はすっかり荒廃してしまったそうです。
そこでサン・ピエトロ大聖堂が新たに教皇座に選ばれ、今日までカトリックの総本山として機能を果たしています。
この頃、失ったローマの権威を復活させるために芸術保護運動が興り、サン・ピエトロ大聖堂の改築は長期間にわたり歴代教皇の大きな関心ごととなっていました。
しかし、工事の規模の大きさや資金面の問題により、計画は幾度となく中断されて最終的に大聖堂が現在の形になったのは1626年のことでした。

ミケランジェロの設計プラン

サン・ピエトロ大聖堂の建築の特徴【ミケランジェロとベルニーニ】Fred Romero from Paris, France, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

数百年にわたる再建計画の中では、名だたる芸術家たちが案を提示しています。
ルネッサンス建築の巨匠ブラマンテや、ラファエロのプランも検討されていました。
最終的には、ブラマンテのオリジナル設計プランを踏襲したミケランジェロのプランを基に建設が進められました。
ブラマンテと倦厭の仲であったミケランジェロですが、彼の設計プランの素晴らしさをたたえ、敬意をもって修正案を作成したと言われています。
ミケランジェロのプランは、中世に一般的であったラテン十字型ではなく中央集中型で、光を取り入れるために柱が邪魔にならない構造となっていました。
ミケランジェロが設計したクーポラ(ドーム形の屋根部分)は直径40m以上で、ローマの街のどこからでも見えるくらいの迫力です。

ベルニーニ設計の楕円形広場

サン・ピエトロ大聖堂の建築の特徴【ミケランジェロとベルニーニ】valyag, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

17世紀には彫刻家ベルニーニがサン・ピエトロ大聖堂の内部やファサード(正面)部分の建築を担いました。
しかし、鐘楼部分に亀裂が見つかり、この失敗をライバルのボッロミーニに糾弾されたことから、一時ベルニーニはサン・ピエトロ大聖堂の計画から離れていたそうです。
後にインノケンティウス10世とアレクサンデル7世によって再度起用されたベルニーニは広場の設計に取り掛かります。
広場は限られたスペースを少しでも広く豊かに見せるため、楕円形の構造が選ばれました。
また、ベルニーニは「信者を迎えるために、あたかも母が両腕を差し出しているかのように見せるコロネード(柱廊)を備えていなくてはならない」という言葉も残しています。
周囲からは明確に隔てられていながらも歓迎の気持ちが表されている広場は、ベルニーニの建築家としての才能が大いに発揮された作品と言えます。

長い混乱の後で完成したサン・ピエトロ大聖堂

サン・ピエトロ大聖堂は、多くの教皇と多くの芸術家が関わり、様々な思惑で姿を変えながら現在に至りました。
そのため、建築様式自体は一概にルネッサンス様式、バロック様式と規定することができないという特徴があります。
アヴィニョン捕囚や対抗宗教改革などの歴史の荒波を経てきたことを思うと、建築の美しさが一層際立つようですね。

はな

はな

3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経て2021年秋よりイタリアの大学で美術史修士課程に進学予定。フリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経て2021年秋よりイタリアの大学で美術史修士課程に進学予定。フリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。