LIFE
2026.4.23
美術・アートの知識に触れるはじめの一歩に!書籍『語れる名画BEST100』刊行
美術館に行ったり美術の本を読んだりすると、「印象派」や「○○主義」、「聖母子像」、「新約聖書」などなど、いわゆる美術用語によく出会います。正直、こうした難しそうな用語を見ると面白くなくなる……という方も多いのではないでしょうか?
目次
そんな用語を楽しく易しく解説する書籍『絵を見るときに知っておきたいキーワード 語れる名画BEST100』が発売となりました! 美術・アートに興味を持ち始めた方に、ぜひお手に取っていただきたい1冊です。
本書では、初心者さんがつまずきやすい用語から重要なものを100個厳選し、ランキング形式で解説。「エンタメ型教養本」という公式の紹介文のとおり、「楽しく読んでいるうちに、いつのまにか知識が身についてた!」を目指した書籍です。
そして、私も本書の執筆を共同で担当させていただきました! 同じくイロハニアートのライター・ヴェルデさん(竹内さん)、多数の媒体で活躍中の齋藤さんとの共著です。
というわけで本書について紹介していきたいのですが、普通に紹介しても面白くないので……著者のひとりだからこそ話せる裏話もたっぷり語っていきます!
ポイント①厳選した100のキーワードで美術に触れる!
本書の核となるのが、ランキング形式で並んだ100のキーワード。第1位「モチーフ」を筆頭にさまざまな用語が並び、美術に触れたばかりの方が学びに一歩を踏み出し、100歩まで一緒に歩める構成となっています。
キーワードはごった煮で、「○○派」といった画家の派閥・流派を指す用語もあれば、「油彩画」「テンペラ画」のように絵画の技法を示す用語など、本当に多彩です。もちろん、西洋美術・日本美術の両方を横断。しかも「名画BEST100」といいつつ、「仏像」や「インスタレーション」など、絵画以外の用語も入ってます。
なかには、「どうしてもこのキーワードを入れてください!お願いします!!」とライター側の強い要望でねじ込んだ用語も。たとえば、「唐絵」と「大和絵」、「洋画」と「日本画」などですね。議論の段階で100位から落ちそうになったとき、「私が責任を持って書くので!!入れてください!!!」と、気持ちは土下座でお願いしました。
詳しくは本書に書きましたが、ざっくり紹介すると、「大和絵」と「日本画」は日本で育った伝統的な絵画。一方、「唐絵」は中国由来の絵画、「洋画」は日本人が描いた欧米風の絵画です。
日本の美術は海外の影響を受けつつ独自に発展してきたので、海外と日本を対比する用語が結構多いんです。これらの用語を押さえるだけで、日本の美術の大きな流れがわかりやすくなるはず……と考えて強く推し、本書にも収録していただきました。
美術の話から少し逸れますが、現代の日本でもファッションやグルメのジャンルで「韓国風○○」というものをよく耳にします。海外の文化を吸収して自国にフィットするようにアレンジする日本人の特徴は、今も昔も同じなんだなと思ったり。
こんな風に、「これから美術に触れる人が最初に出会っておくと良い美術用語ってなんだろう?」に真剣に向き合って制作したのが本書です。西洋美術・日本美術の両方の知識を、バランスよく身につけていただけると思います!
ポイント②紙の書籍だからこそ載せられた絵画が多数!
100個ものキーワードを解説しつつも、本書は文章少なめ・作品の画像大きめの紙面構成。レオナルド・ダ・ヴィンチ《モナ・リザ》やゴッホ《ひまわり》など有名作品から、かなりマニアックな作品まで100点以上載っているので、楽しみながらページをめくっていただけたら嬉しいです。
ふだんWeb記事を書くことが多い私としては、Web検索では出てきにくい絵画をいくつかお願いして載せていただきました。内輪の話ですみませんが、権利関係がいろいろあるため、Webだと紹介しやすい作家としにくい作家に差が出るのです…。
その結果、紹介しやすい作家の記事は溢れるのに対し、紹介しにくい作家の記事は相対的に少ない、というアンバランスな現状があります。今のインターネットは美術史的な重要さをまったく反映していません…。
書籍ではそんな課題を乗り越えたい! と考え、Webではあまり見かけない重要作家・作品も取り上げました。
そのひとつが、「岩絵具」とともに紹介した東山魁夷です。Web記事だと魁夷の作品を高解像度で掲載することはかなり難しいのですが……本書では魁夷の代表作《緑響く》を鮮やかな色彩で大きくご紹介させていただくことが叶いました!
ざっと類書を見渡しても、ここまで大きな図版で魁夷の作品を紹介している本はほぼないのでは? と思います。実は凄いページなので、舐めるように絵画を見て味わい尽くしていただければ幸いです!
他の作品も含め、掲載のための申請手続きにあたってくださった編集部の皆さまには感謝しかありません。私のわがままを受け止めてくださり、本当にありがとうございました。
ポイント③キーワードだけじゃない!「コラム」でより深い学びを
100のキーワードに加え、3名のライターが独自の観点で合計5本のコラムを寄稿。美術を楽しむ新たな視点を提示できたのではないかと思います。
私は「なぜ巨匠に女性はいないのか?」「盗まれた名画・失われた名画」の2本を担当しました。
1つめのコラム「なぜ巨匠に女性はいないのか?」では、有名な画家のほとんどが男性であることに注目しました。美術史もジェンダーバランスの偏りが激しいのですが、実力派の女性画家は大昔から存在していたんです。
コラムでは数々の女性画家のうち、マリー・アントワネットのお気に入り画家ヴィジェ=ルブラン、上村松園、草間彌生などをご紹介しました。
本書に登場する芸術家も大半が男性ですが、今後、美術史の見直しが進めば女性画家たちの名前はもっと前面に出てきます。10年後、20年後も古くならない本にするには、女性画家をできる限り広く載せたほうが良いだろう……と考え、コラムを書かせていただきました。
コラム2つめは「盗まれた名画・失われた名画」。過去にルーヴル美術館から盗難された《モナ・リザ》や、日本国内で焼失したゴッホ《芦屋のひまわり》など、盗まれたり失われたりした有名絵画を特集しました。
見ることができない作品は研究される機会も減り、美術史から存在が消えてしまうことも。現に、作品が「存在しない」がゆえに歴史を正確に捉えられなくなっている事例も起きています。
本書のような美術の案内本では現存する作品を紹介するのが基本ですし、美術館でも「生き残っている作品」にしか出会えません。そんななか、「失われた作品」にも関心を向けていただけたら……という思いで、コラムを執筆しました。
少し前にもルーヴル美術館で盗難事件がありましたし、以降もあちこちで盗難騒ぎが起きています。きっとこれからも起こるでしょうし、このコラムはいつまでも時事ネタであり続けるのかもしれません。なんと皮肉な…。
【まとめ】縦糸と横糸のような『語れる名画BEST100』
実は本書、モナリザが表紙の『名画BEST100』の第二弾となります(それぞれ個別に読める本なので、続編ではないです)。
前作では100人の画家を取り上げ、親しみやすいエピソードとともに紹介しました。第二弾の企画が持ち上がったのは、前作が好評をいただけたからに他なりません。お求めいただいた皆さま、ありがとうございました!
しかし、この手の本で第二弾って異例ではないでしょうか? というのも、前作は1冊で美術の基礎知識をまるっと学べることを目指した本。重要な画家はすでに100人網羅したので、続編を普通に作ると、101〜200位の画家を紹介するマニア向けの本になってしまいます。(それはそれで面白そう)
そこで切り口を刷新し、今回は画家名ではなく「キーワード」に着目しました。「印象派」など画家のくくりだったり、「油彩画」のような技法的な話だったり、カテゴリを問わず重要な用語を100個収録。内容のレベルとしては、前作と同じく美術初心者の方が楽しく読めることにこだわりました。
前作では「画家」、今作では「キーワード」を軸としたわけですが、2冊とも楽しく学べる易しい本です。レベル感も似ているのに、それぞれ違う味がする本になりました。この2冊が生まれたことが、美術を語る切り口の多彩さの証明でもあるように思います。
2冊まとめてお読みいただけたらとても嬉しいですが、1冊だけでも十分にありがたいです。ぜひ『語れる名画BEST100』をお手に取っていただけますと幸いです!
書籍情報
◆絵を見るときに知っておきたいキーワード 語れる名画BEST100
著者:齋藤久嗣、竹内麻里子、畠山明菜
出版社:永岡書店
初版年月:2026年4月
判型:A5
ページ数:192ページ
ISBN:9784522443040
公式ページ:絵を見るときに知っておきたいキーワード 語れる名画BEST100
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美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。
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