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NEWS

2026.4.24

草間彌生《われは南瓜》を箱根・彫刻の森美術館で公開。国内で鑑賞できる貴重な石彫作品

神奈川県・箱根の彫刻の森美術館に、草間彌生の新たな風景が誕生した。2026年4月19日(日)より公開されたのは、新収蔵作品《われは南瓜》(2013年)。屋外展示場の一角に設けられた新たな展示空間で、箱根の緑と呼応しながら、静かで力強い存在感を放っている。

われは南瓜

草間彌生の代表的モチーフ「南瓜」を、貴重な石彫で公開

草間彌生といえば、水玉や網目、鏡を用いたインスタレーションで世界的に知られる存在だが、《南瓜》はその創作において極めて重要なモチーフのひとつだ。中でも今回公開された《われは南瓜》は、草間作品の中では珍しい花崗岩による石彫であり、国内で草間の石彫作品を鑑賞できる場所は、現在この彫刻の森美術館のみとなる。さらに、同館にとっても草間作品の収蔵は今回が初めて。美術館のコレクションにおいても、大きな節目となる展示だ。

《われは南瓜》に込められた、愛と平和へのメッセージ

草間彌生氏草間彌生氏

この作品がもつ魅力は、単に“草間の南瓜が見られる”という話にとどまらない。
タイトルの《われは南瓜》には、草間がかぼちゃを自己の象徴として重ね合わせてきた背景があり、そこには愛や平和への願い、そして世界を救おうとする強い意志が込められているという。
半永久的な素材である石を用いたこともまた印象的で、草間が語る「愛はとこしえ、愛は永遠である」という思想が、作品の物質性そのものに刻まれているようだ。

作品と向き合うための“秘密のガーデン”が誕生

彫刻の森美術館

今回の公開にあわせて、展示エリアもリニューアルされた。カフェに隣接する空間には、草間自身による鮮やかなモザイクタイルが敷設され、作品を中心にした新たなランドスケープが構成されている。設計を手がけたのはトラフ建築設計事務所。コンセプトは、草間作品と静かに一対一で向き合える“秘密のガーデン”だという。

四季とともに移ろう草木の色彩、360度それぞれ異なる表情を見せる風景、そして木漏れ日の中で佇むためのベンチ。作品を見るという行為が、自然と呼吸を合わせる体験へと拡張されている。

彫刻の森美術館彫刻の森美術館 ベンチ

丸の内から箱根へ、作品が見せる新たな表情

もともと《われは南瓜》は、2013年に東京・丸の内ストリートギャラリーで初公開され、2025年まで都市空間の中で親しまれてきた作品だ。それが今、箱根の豊かな自然の中へと移されたことで、同じ作品でありながらまったく異なる表情を見せている。

ビル群の間で立ち上がっていた彫刻が、木々や苔、風や光の中で呼吸し始める。その変化こそが、この移設の最大の見どころと言えるだろう。都市の中での緊張感とは異なる、より有機的で包み込まれるような鑑賞体験が、ここにはある。

インスタレーション展示やインタビュー映像もあわせて楽しみたい

《南瓜》(2017年)《南瓜》(2017年)

また、関連企画もあわせて見逃せない。丸太広場 キトキとThe Hakone Open-Air Museum Caféでは、草間のインスタレーション作品《南瓜》(2017年)の展示を2026年11月1日(日)まで実施。さらに、2013年の作品完成時に収録された草間本人のインタビュー映像も公開されており、ショップではグッズ販売も行われている。作品そのものだけでなく、草間彌生という表現者の思考や世界観を立体的に味わえる機会になりそうだ。

ショップショップ

自然とアートが溶け合う、彫刻の森美術館という場所

彫刻の森美術館は、日本初の野外美術館として知られ、箱根の自然の地形を生かした展示空間の中で、近現代彫刻を体感できる場所だ。屋外展示だけでなく、ピカソ館や室内展示場、子どもが体験できる作品、天然温泉の足湯なども備え、アートと滞在がゆるやかにつながる時間を楽しめる。

現在は、本館ギャラリーで「Unique Collection」、アートホールで「名作コレクション」も開催中。草間作品の新収蔵をきっかけに、あらためてこの美術館全体を巡ってみたくなる。

箱根で出会う、草間彌生の“永遠”

草間彌生の南瓜は、しばしば祝祭的でポップなイメージで語られる。しかし《われは南瓜》が箱根の森の中に置かれたとき、その印象は少し変わる。鮮烈な造形の奥にあるのは、自然、愛、生と死、そして無限へと向かう草間芸術の根源的なテーマだ。

色彩に誘われて近づいた先で、鑑賞者はより深い静けさと対話することになるだろう。箱根の風景のなかで、草間の“永遠”を体感したい。

施設情報

彫刻の森美術館(THE HAKONE OPEN-AIR MUSEUM)
運営:公益財団法⼈彫刻の森芸術⽂化財団
所在地:〒250-0493 神奈川県⾜柄下郡箱根町ニノ平1121
開館時間:9:00~17:00 (最終入館16:30) 年中無休
入館料:大人 2,000 円、大学・高校生 1,600 円、中学・小学生 800 円、未就学児 無料
※Webチケット割引、団体割引、障害者割引あり ※学生の方は証明書をご提示ください

アクセス:詳細は公式ウェブサイトをご覧ください。
電車:箱根登山鉄道「彫刻の森」駅下車、徒歩2分
車:東名高速道路厚木ICー小田原厚木道路ー西湘バイパス箱根口ICより約25分または東名高速道路御殿場ICより約30分

公式ウェブサイト:https://www.hakone-oam.or.jp/
お問合せ:0460-82-1161

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イロハニアート編集部

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アートをもっと自由に、もっとたくさんの人に楽しんでもらいたいという想いから生まれたメディア。日々、アートのイロハが分かるコンテンツを配信しています。アイコンは「イロハニくん」。アートのそばに、ひっそりと棲んでいます。

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