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EVENT

2026.5.15

和田咲良の個展「□□」が六本木で開催。〈狼男〉を通して探る、自己と他者のあいだにある均衡

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若手アーティスト・和田咲良による個展「□□」が、2026年6月19日(金)から7月18日(土)まで、六本木の台湾料理店併設ギャラリー「アートかビーフンか白厨(パイチュウ)」にて開催されます。

本展で和田が主なモチーフとするのは、人間と動物の中間に立つ存在としての〈狼男〉。明るくポップな色彩や親しみやすい造形の奥に、どこか不穏さや奇妙さを潜ませながら、自己と他者、作品と鑑賞者、実像と虚像のあいだに生まれる関係性を問いかけます。

会場では、大型キャンバス作品をはじめ、立体、刺繍、そして和田にとって初挑戦となる木版画まで、多様な素材を用いた新作を展覧。ギャラリーの窓や鏡、調理場の営み、人々の気配までも作品の一部として取り込みながら、鑑賞者がただ「見る」だけでは終わらない空間をつくり出します。

和田咲良「□□」和田咲良「□□」

〈狼男〉という、曖昧で両義的な存在

和田咲良は、絵画を軸にしながらも、布、刺繍、立体、映像、パフォーマンスなど、ジャンルを横断する制作を続けてきたアーティストです。その関心の根底にあるのは、作品と鑑賞者のあいだに生まれる一方通行の関係性への違和感です。

絵画は多くの場合、壁にかけられ、鑑賞者から「見られる」存在として展示されます。しかし和田は、その固定された関係を揺さぶるように、絵画に足をつけて自立させたり、表と裏の両面に描いたり、巨大な壁のような存在として立ち上げたりしてきました。

今回の個展で中心となる〈狼男〉は、人間でもあり、動物でもある存在です。理性と本能、日常と非日常、親しみやすさと恐ろしさ。そのどちらか一方に分類できない曖昧なあり方は、和田が見つめてきた「関係性の均衡」を象徴するモチーフといえるでしょう。

かわいらしくも不気味で、ユーモラスでありながらどこか緊張感をはらむ。和田の作品に漂う独特の空気は、私たちが他者と向き合うときの距離感や、コミュニケーションに潜む力関係を静かに浮かび上がらせます。

「main」と「dub」から広がる、表と裏の関係

photo by Kenji Takahashi ©Sakura Wada, Courtesy of Tomio Koyama Galleryphoto by Kenji Takahashi ©Sakura Wada, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

本展のキーワードとなるのは、「main」と「dub」です。

「main」は主となるもの、中心にあるものを指します。一方で「dub」は、音楽におけるリミックスや別バージョンを思わせる言葉です。そこには、ひとつの正解や本体だけではなく、裏側、反復、ずれ、複製といった複数の層が含まれています。

展覧会タイトルの「□□」もまた、2枚並んだキャンバスやフレーム、窓、実像と虚像といった複数の意味を内包する記号として示されています。シンプルな四角形でありながら、そこには見るものと見られるもの、こちら側と向こう側、表と裏といった関係が重ねられています。

特に注目したいのは、会場である「アートかビーフンか白厨」という場所そのものが、作品を構成する要素として扱われている点です。大きな窓や鏡、調理場、人々が食事をする気配。いわゆるホワイトキューブとは異なる生活感を帯びた空間が、作品と鑑賞者の関係を変化させる装置として立ち上がります。

photo by Kenji Takahashi ©Sakura Wada, Courtesy of Tomio Koyama Galleryphoto by Kenji Takahashi ©Sakura Wada, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

台湾料理店併設ギャラリーで味わう、開かれた鑑賞体験

アートかビーフンか白厨(パイチュウ)

会場となる「アートかビーフンか白厨」は、ArtStickerを運営するThe Chain Museumがプロデュースする、台湾料理を楽しめるアートギャラリーです。

店名にある「白厨」は、ホワイトキューブへの憧れと、キッチンから漂う安心感や温かみを組み合わせた造語。ギャラリー空間で作品を鑑賞することも、飲食スペースで食事をすることもでき、ドリンクを片手に作品と向き合うことも可能です。

和田が本展で試みる「作品と鑑賞者が相互に作用するための装置」は、この場所ならではの環境と深く結びついています。作品を見る人、食事をする人、調理場で働く人、窓の外を行き交う人々。そうした複数の視線や動きが重なることで、展示空間そのものがひとつの生きたインスタレーションのように感じられるかもしれません。

アートかビーフンか白厨(パイチュウ)アートかビーフンか白厨(パイチュウ)

初挑戦の木版画、刺繍、立体など多彩な新作を展開

photo by Kenji Takahashi ©Sakura Wada, Courtesy of Tomio Koyama Galleryphoto by Kenji Takahashi ©Sakura Wada, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

本展では、大型キャンバス作品に加え、刺繍、木材を用いたオブジェ、そして和田にとって新たな表現となる木版画も登場します。

生活に馴染みのある素材や手触りを取り入れながら、絵画の枠組みを拡張してきた和田。異なる素材が組み合わさることで、作品は平面にとどまらず、空間や身体感覚をともなうものへと広がっていきます。

絵画、刺繍、立体、版画。それぞれのメディアが持つ質感や時間の層を通して、〈狼男〉というモチーフもまた、ひとつの姿に固定されることなく、複数のイメージへと変化していくでしょう。

ワークショップやDJイベントも開催

パペット作成イメージパペット作成イメージ

会期中には、子どもから大人まで楽しめる関連イベントも予定されています。

7月4日(土)には、手袋などの既製品を加工してパペットを制作するワークショップ「ひっくり返すパペット」を開催。完成したパペットは持ち帰ることができます。

また、7月18日(土)には、DJによる音楽を楽しみながら作品を鑑賞できるクローズイベントも実施予定です。作品鑑賞を視覚だけでなく、音楽や身体感覚を通して体験できる機会となりそうです。

さらに、6月20日(土)18:00〜21:00にはレセプションを開催。参加には無料チケットの事前登録が必要です。

注目の若手アーティスト・和田咲良の現在地

和田咲良 / Sakura Wada和田咲良 / Sakura Wada

和田咲良は1999年神奈川県生まれ。2024年に東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻領域を卒業し、同年「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2024」にて藪前知子賞、小山登美夫賞を受賞しました。

これまでに4度の個展を開催し、絵画を起点にしながらも、インスタレーションやパフォーマンスなど多様な形式で表現を展開。作品と鑑賞者、自己と他者の関係性を問い直す制作で注目を集めています。

「□□」という記号的なタイトルのもと、和田は今回、〈狼男〉という曖昧な存在を通じて、関係性の境界を揺らしていきます。見ること、見られること、向き合うこと、すれ違うこと。その均衡がふと崩れたとき、私たちは作品の中に、自分自身の姿を見つけるのかもしれません。

開催概要

■展覧会名
和田咲良「□□」

■会期
2026年6月19日(金)〜7月18日(土)

■レセプション
2026年6月20日(土)18:00〜21:00
※参加には無料チケットの事前登録が必要

■会場
アートかビーフンか白厨

■住所
東京都港区六本木5丁目2−4 朝日生命六本木ビル 2階

■開催時間
17:00〜23:00
※飲食は22:00ラストオーダー

■休館日
日曜・月曜

■観覧料
無料

■アクセス
東京メトロ日比谷線「六本木駅」徒歩4分
都営大江戸線「六本木駅」徒歩7分
東京メトロ千代田線「乃木坂駅」徒歩13分
東京メトロ南北線「六本木一丁目駅」徒歩13分

■参加アーティスト
和田咲良

■主催
ArtSticker(運営:The Chain Museum)

■協力
小山登美夫ギャラリー

■展覧会ページ
https://artsticker.app/events/134543

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イロハニアート編集部

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アートをもっと自由に、もっとたくさんの人に楽しんでもらいたいという想いから生まれたメディア。日々、アートのイロハが分かるコンテンツを配信しています。アイコンは「イロハニくん」。アートのそばに、ひっそりと棲んでいます。

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