EVENT
2026.7.9
ForbesやPIVOTが注目する美大卒起業家・坂木茜音、初の個展に込めた社会への問い「昨日見た花の色は何色だったっけ」開催
目次
加速し続ける社会への「問い」。起業家・坂木茜音がアートを通して表現する、効率化の向こう側
AIが生産性を劇的に向上させ、動画を倍速で視聴することが当たり前になった現代。私たちはかつてないほどの「速さ」の中に生きています。そんな効率至上主義の社会に一石を投じる個展が、2026年7月10日から、神奈川県横須賀市で開催されます。
仕掛けるのは、デジタル名刺「プレーリーカード」の共同代表としてForbesやPIVOTなどでも注目を集めた起業家であり、美術大学出身のアーティストでもある坂木茜音(さかき あかね)氏。
なぜ、スタートアップの最前線にいた彼女が、今あえて「遅さ」や「曖昧さ」をテーマに掲げるのか。本記事では、人生初の個展『昨日見た花の色は何色だったっけ』の見どころと、そこに込められた深いメッセージを紐解きます。
「美大卒の起業家」が辿り着いた、アートという原点
坂木茜音氏は、京都の美術大学で伝統工芸とアートを学び、クリエイティブディレクターを経てスタートアップを起業したという異色のキャリアの持ち主です。「プレーリーカード」という事業を通じて、コミュニケーションの効率化や利便性を追求してきた彼女。
しかし、その活動の根底に一貫してあるのは、社会に対する「問い」です。
「効率化や便利さを追求したからこそ、逆に人間らしい『曖昧さ』や『遅さ』が持つ価値に気づいた」と語る彼女が、事業という枠組みを超え、より純粋な問いを社会に投げかけるために選んだ手段が、今回の個展でした。
「昨日見た花の色は何色だったっけ」に込められたメッセージ
展覧会のタイトル『昨日見た花の色は何色だったっけ』。この言葉には、私たちが日々の速さの中で見落としてしまっている、「時間の手触り」への気づきが込められています。
展示作品は、写真とガラスを用いた立体作品や、来場者が参加できるインスタレーション。透き通るガラス、刹那を切り取る写真。それらは、移ろいゆく時間の「遅さ」や、記憶の「曖昧さ」を象徴しています。
坂木氏は、自然が司る24時間や365日という普遍的なリズムを「遅さの象徴」と捉えています。AIがもたらす加速とは対照的な、地球の自転に合わせた本来の時間感覚。作品を通じて、私たちは「効率」というモノサシを一旦横に置き、自分自身の時間を再認識する体験へと誘われます。
ステートメント
昨日を忘れてしまうことを
花は、許してくれるだろうか。
今日がもう終わってしまうという事実を
私は、許せるだろうか。
社会は相対的に速くなっています。人間社会はAIで生産性を5倍にし、YouTubeを2倍速で見る社会です。速いことは悪いことではありません。速くなっていく感覚の裏にあるものはなんでしょうか。私は速さと遅さを対極なものとして扱うのではなく、同じ場所にあるものと捉え、その価値を抱きしめるように捉えたい。それが日が上り沈むことにより生まれた24時間、そして、地球の自転に合わせた365日という時間。これらを司るのは自然だと捉えます。環世界の概念で考えると生物が持つそれぞれの時間の長さは違うとされますが、人間の視点で捉えると、自然が遅さの象徴として存在しているのではないかと考えます。「昨日見た花の色は何色だったっけ」では、遅さ、そして曖昧さを生み出すこと、そしてその時間を認識してもらうことを問の起点として生まれた作品群を展示します。
作家コメント
「みなさま、今回はわたしの作品に興味を持ってくださりありがとうございます。 私は大学時代は京都の美術大学にて、伝統工芸とアートを学び、その後美術館やクリエイティブカンパニーで働きながら、いろいろなアートプロジェクトに関わってきました。そして、友人とスタートアップを立ち上げて「プレーリーカード」をつくり、経営を経てまたアートの舞台に戻ってきました。 私にとっては作品も事業も、社会への『問い』から始まっています。今回の展示では、スタートアップで豊さと同時に劇的な効率化や便利さを追求したからこそ、『遅さ』や『人間の曖昧さ』が持つ、価値を表現の問いとして設定しています。このキャリア、このタイミングで個展を開催するということ。私にとっては挑戦です。人は作り続ける生き物だと信じ、それが一つの人類の喜びであると信じています。初めての個展だからこそ挑めることがあると思っています。社会と、身の回りのみんなと、そして私自身にとって意味のある時間になるよう、準備を重ねてまいります。」
―― 坂木茜音
舞台は横須賀の古民家〈問室〉。場所そのものが「問い」になる
会場となるのは、横須賀の谷戸(やと)と呼ばれる特有の地形にある古民家スペース〈問室 -toishitsu-〉です。
高台へと続く坂道を登り、たどり着いた先にある静かな空間。利便性の高い都心のギャラリーではなく、あえてこの場所を選んだこと自体が、表現の一部となっています。物理的に「時間をかけて足を運ぶ」という行為そのものが、本展のテーマである「遅さ」を体現しているのです。
「本屋でも図書室でもない、“問う”場所」をコンセプトにする〈問室〉の空気感と、坂木氏の作品が共鳴し、訪れる人に深い内省の時間をもたらします。
人類学者や建築家と紡ぐ、多角的な対話のワークショップ
会期中には、作品の世界観をさらに深める全4回のトーク&ワークショップも開催されます。
ゲストには、暴力や社会的痛苦を研究する人類学者の中村寛氏や、横須賀のまちづくりに携わる藤原香奈氏、建築家の田村聖輝氏など、多彩な専門家が名を連ねます。
単なる作品鑑賞に留まらず、横須賀の街を実際に歩き、心に留まったものを持ち帰って語り合う「まちあるきワークショップ」は、まさに「今日という日を忘れないための練習」のような体験になるでしょう。
まとめ:速すぎる世界で、あえて「立ち止まる」勇気を
坂木茜音氏の初個展は、単なるアート展示ではありません。それは、現代社会のスピードに翻弄される私たちへの、優しくも鋭い「招待状」です。
「速いことは悪いことではないけれど、その裏にある価値も抱きしめたい」。
起業家として社会の加速を肌で感じてきた彼女だからこそ描ける、リアルで温度のある問い。この夏、横須賀の坂の上で、あなたも「昨日見た花の色」を思い出す時間を過ごしてみませんか。
開催概要
【展示名】「昨日見た花の色は何色だったっけ」(A Flower I Almost Remember)
【作家】坂木茜音(さかき あかね)
【会期】2026年7月10日(金) 〜 7月20日(月・祝) ※7月15日(水)は休廊
【開館時間】
平日 12:00–21:00 / 土・日・祝 10:00–19:00
【会場】問室 -toishitsu-
【所在地】神奈川県横須賀市汐入町3-20-4
【アクセス】
京急本線「汐入駅」より徒歩10分/「横須賀中央駅」より徒歩10分
【入館料】500円(小学生以下無料)
【主催】坂木茜音(会場協力:問室 -toishitsu-)
【関連企画】
「トーク&まちあるきと対話のワークショップ」を会期中4日間開催(7/11・12・18・19)
申込情報
坂木茜音 公式Instagram
登壇者プロフィール(トーク・ワークショップ)
坂木茜音氏は全日程に登壇します。各回のゲストは以下の通りです。
・中村 寛 氏(人類学者/7月11日)
アトリエ・アンソロポロジー合同会社代表、多摩美術大学リベラルアーツセンター/大学院教授。暴力や社会的痛苦、脱暴力の仕組みづくりに取り組む一方、人類学に基づくデザインファームを設立し、企業・デザイナー・アーティストと協業。著書に『アメリカの〈周縁〉をあるく』(平凡社, 2021)ほか。
・藤原 香奈 氏(問室/7月11日・12日)
立教大学観光学研究科修士。株式会社POD、株式会社やとと代表取締役、一般社団法人SOIL&CO.理事。公共空間・施設の利活用戦略から構想・現場運営まで、まちづくりを領域横断で実践。2023年より横須賀で「問室 -toishitsu-」を運営。テーマは「問うを通して新しい気づきに出会う」こと。
・田村 聖輝 氏(問室・建築家/7月12日・19日)
東京都生まれ。横浜国立大学大学院Y-GSA修了、建築設計事務所勤務。公園施設の設計・古民家リノベーション・都市計画・アートイベントの空間設計などを手がけ、個人でもランドスケープ・家具・出版デザインまで多岐に活動。汐入の谷戸での活動や yokosuka research art project をライフワークとする。
・AKI IWAYA 氏(アーティビスト/7月18日)
思想家・アーティビスト・作家。人類学的見地から近代を相対化し、文化芸術をテコに現代の社会課題を問い直す。対話とコレクティブを探究。VS?collective メンバー。
・田坂創一 氏(建築家/7月19日)
株式会社HAGISO一級建築士事務所 所員 / 西日暮里BOOK APARTMENT 管理人 / ひみつの本屋主宰。1990年 神奈川県横浜市生まれ、谷中在住。HAGISO 建築設計・企画担当。東京藝術大学で建築を学び、大学院卒業とともにHAGISOに入社。建築家としての仕事の傍らで、共同書店「西日暮里BOOK APARTMENT」や熱海の無人書店「ひみつの本屋」などを運営。
作家プロフィール
■坂木茜音(さかき あかね) アーティスト
山口県生まれ。京都美術工芸大学・京都建築大学校のWスクールで、伝統工芸・アート・建築を学ぶ。海外バックパック後、美術館やコワーキングスペースで働く。2021年から株式会社ロフトワークでクリエイティブディレクターを務める。2023年には友人とデジタル名刺サービス「プレーリーカード」を立ち上げ、共同代表として経営やブランディングに従事。“美大卒の起業家”としてForbes、PIVOT、日経クロストレンド等でも紹介、サービスを取材いただく。アートと事業を行き来しながら、2026年に自身初となる個展を開催。クリエイターやが集まるシェアハウス「アサヒ荘」の管理人を務め、自身も音楽ユニット「編 -hen-」として活動。自然や動物、音楽、古着、クラフトビールが好き。よく人に道を聞かれるが、方向音痴。
■受賞・活動歴
・京都美術工芸大学 卒業制作展 学長賞(2018)
・グループ展「痕跡と生きる」を企画・運営し、自身もアーティストとして出展(2023)
・QWS STAGE 最優秀賞・NTT賞(2023)
・Forbes、PIVOT、日経クロストレンドなどで紹介(美術大学卒の起業家として ほか、2024–)
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