STUDY
2021.11.4
中世の教会建築『ゴシック聖堂』ってなに?一層楽しむための注目ポイント解説
中世後期からドイツ、フランス、スペイン、イギリスなどの広い範囲で登場したゴシック聖堂は、その巨大さ、荘厳さから、見る人を圧倒する力強さをもっています。
美術の本や観光ガイドブックなどで『ゴシック様式』『ゴシック聖堂』などの言葉をよく耳にしますが、それが何かはよくわからない…そんな人も多いはず。
そこで今回の記事では、ゴシック聖堂がどのように成立したか、どのような点に注目すれば楽しめるのかについて解説したいと思います。
ゴシック様式の教会とは?
William Barclay Parsons Collection, Public domain, via Wikimedia Commons
ゴシック様式は、12世紀から15世紀までに北西ヨーロッパで広まった様式です。
ゴシック様式が広まる前には、ロマネスク様式と呼ばれる建築様式が広まっていました。
このロマネスク様式の天井部分は石材でできた半円アーチで作られており、必要な石材が多かったため、壁や柱は分厚く、建物自体も背が低いという特徴があります。
Uoaei1, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
ゴシック様式では、このロマネスク教会の課題でもあった天井の重さを改善するために、「尖頭型アーチ」と呼ばれる三角形に近い半円の天井が発明されました。
この効果により、これまで横方向に広がっていた重みが減り、壁を薄く、建物をより高く作ることができるようになりました。
ゴシック様式の教会の特徴は?
Reinout van Rees from Nieuwegein (NL), The Netherlands, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
ゴシック様式の教会の特徴は、とにかく巨大でとげとげした外観と、ステンドグラスです。
ゴシック様式の教会を現地で見たことがある人はおそらく、その巨大さに驚いたことでしょう。
天井がロマネスク教会よりも軽くなったとはいえ、これだけ巨大な建造物を維持するためには、壁と柱だけでは不十分です。
そこで、ゴシック様式の教会ではメインの建築物の周りに、外側から壁を支えるための「フライングバットレス」という機能が加えられています。
ゴシック聖堂を外から見たときに、側部にとげとげした部分があります。
これは、単なる装飾ではなく、建築の構造上の強度を維持するための機能を持っており、ゴシック教会の特徴でもあります。
ロマネスク教会では、壁の強度を下げないために窓は小さく、教会内は全体的に薄暗い作りになっていることが一般的です。
一方、天井が軽く高くなったゴシック聖堂では、壁の強度にこだわる必要がなくなり、大きな窓を取り付けることができるようになりました。
この窓部分に、聖書や福音書のシーンなどの装飾を加えるようになったことが、ステンドグラスの始まりです。
ゴシック様式の教会はどこを見れば楽しめる?
Rolf Heinrich, Köln, CC BY 3.0, via Wikimedia Commons
ゴシック様式の教会はまず、周りを一周まわって、その巨大な建造物がどのように維持されているかを考えてみるのがおすすめです。
例えば、ドイツのケルン大聖堂は着手から500年以上かかったと言われています。
まとめ
現在のような測量技術のない当時の建築現場では、「とりあえず建ててみる」以外、巨大建造物を建てる方法がありませんでした。
デザイン性の高さだけでなく、建築技術に注目するとゴシック聖堂をより楽しむことができます。
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イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
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