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2025.1.6
東京国立博物館を親子で楽しもう!「みどりのライオン」で文化財に親しむ
東京国立博物館は、日本でもっとも長い歴史を持つ博物館です。創立から150年にわたり、日本やアジアの美術品、工芸品、歴史資料を収蔵してきました。コレクションの点数はなんと12万件以上にのぼり、総合文化展では常に3千件もの作品を見ることができます。
そんな東京国立博物館では、すべての世代が文化財に親しめるよう、様々な取り組みを行っています。そのひとつが、教育普及スペース「みどりのライオン」です。
目次
この記事では、筆者が3歳の娘と夫の3人で「みどりのライオン」体験コーナーを訪れたレポートや、オンラインで楽しめるコンテンツをご紹介します。東京国立博物館を楽しむアイデアが詰まっていますので、文化財を身近に感じるヒントを見つけてみてくださいね。
教育普及スペース「みどりのライオン」とは?
はじめに、教育普及とは、博物館や美術館の活動のひとつで、イベント・ワークショップ・講座などを通じて、来場者が博物館や作品に親しむ機会を作るものです。「みどりのライオン」では、展示にまつわる体験コーナーや、オンラインでアクセスできるコンテンツを提供しています。
「みどりのライオン 体験コーナー」は、東京国立博物館の本館にあります。タッチパネルで文化財を調べたり、日本の伝統的な模様ではがきをデザインしたりと、楽しめるコーナーです。
また、「みどりのライオン オンライン」は、東京国立博物館のホームページで閲覧できる無料のコンテンツです。お子さんと博物館を巡る時に活用できる「たんけんマップ」や、展示作品をモチーフにしたぬり絵などをダウンロードできます。
ここからは、コンテンツの内容や活用する方法について、詳しく解説します。
みどりのライオン 体験コーナー
「みどりのライオン 体験コーナー」は、本館(日本ギャラリー)1階の19室にあります。国宝や重要文化財、日本の伝統的な模様など、展示で見た内容を楽しむことができます。
筆者の娘は、総合文化展を見た後に訪れたので、「さっき見た(作品だ)!」と興味津々でした。
ここでは、3つのコーナーをご紹介します。
※この記事の内容は、2024年11月23日の取材に基づいています。
展示内容に若干の変更が生じる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
※「みどりのライオン 体験コーナー」は、2025年2月3日(月)まで閉室しています。
来館される際は、東京国立博物館ホームページにてスケジュールをご確認ください。
トーハクで国宝をさぐろう(e国宝)
「トーハクで国宝をさぐろう(e国宝)」では、タッチパネルで国宝や重要文化財を細部まで観察できます。東京・京都・奈良・九州にある各国立博物館と、奈良文化財研究所が所蔵している作品を見られますよ。
娘は埴輪や石器などの考古遺物に関心を持ったようで、回転させたり拡大したりして調べていました。
トーハクをまわそう
「トーハクをまわそう」は、3Dデータ化された作品を観察できる展示です。360度どこからでも見られるので、お気に入りの作品の背面や底面の造形までじっくり調べられます。空中で手を動かすと回転、拡大・縮小ができ、新しい鑑賞体験を味わえます。
トーハクでデザイン
「トーハクでデザイン」は、日本の伝統的な模様を使ってはがきのデザインができるコーナーです。「季節のもよう」「動物のもよう」などのスタンプが用意されています。
このコーナーは特にお子さんに人気があり、テーブルの周りには何人も集まっていました。小さなお子さんは親御さんと一緒に取り組み、小学生くらいのお子さんは真剣にデザインしていました。
また、スタンプの模様は、展示作品に施されている意匠でもあります。展示室を巡って、自分が押したものと同じデザインを探してみるのも面白いでしょう。
このように、「みどりのライオン 体験コーナー」には、文化財への関心を深めるしかけがたくさんあります。
筆者の娘は、体験した後に「もう一回(展示を)見たい」とリクエストするほど、展示作品が好きになったようです。
帰宅してからも、「また博物館に行きたい!」と言っていました。
多くの作品を眺めてワクワクし、さらに色々な体験ができたことで、良い思い出になったのでしょう。東京国立博物館は、様々な年齢のお子さんが夢中になれる場所だと感じました。
みどりのライオン オンライン
「みどりのライオン オンライン」は、東京国立博物館のホームページで公開されているコンテンツです。
展示の見どころを分かりやすく解説する「たんけんマップ」や、文化財をモチーフにしたぬり絵などを無料でダウンロードできます。
「子どもと一緒に博物館を楽しむ方法を知りたい」
「子どもがおうちで取り組めるアイデアを探している」
という親御さんにおすすめです。
ここでは、作品を鑑賞するヒントやご自宅で体験できるコンテンツに注目してご紹介します。
家族で楽しむアイデアが満載!たんけんマップ
「たんけんマップ2024 秋号」2024年9月発行(画像提供:東京国立博物館)
「たんけんマップ」は、お子さんと博物館を巡るガイドとして活用できます。展示品の見どころを「ココみて!」と虫眼鏡で表したり、クイズを設けたりと、博物館を楽しむアイデアが盛り込まれています。
このマップを見れば、お子さんが「次はここに行ってみたい」と興味を持ってくれるでしょう。体験コーナーの写真も掲載されているので、お子さんがどこに行きたいか、希望を聞いてみるのも良いですね。
上の写真の「たんけんマップ2024 秋号」は、こちらからダウンロードできます。
作品をもっと身近に!ぬり絵シート
雛形(ひいながた)ぬりえシート B5サイズ 『越後屋衣装雛形』より 江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵(画像提供:東京国立博物館)
「ぬり絵シート」は、ご自宅で楽しめるコンテンツのひとつです。展示に関連したぬり絵が40種類以上も公開されています。
上の写真は、「日本文化のひろば」の着物の展示で配布されていたぬり絵です。
小学校の中学年以上のお子さんも楽しめる、本格的な作品です。
>ダウンロードはこちら
低学年向け トーハクくんとユリノキちゃん(画像提供:東京国立博物館)
また、小さなお子さん向けのぬり絵もあります。上の写真は、東京国立博物館の公式キャラクター、トーハクくんとユリノキちゃんのぬり絵です。たんけんマップや館内でも見かけるキャラクターなので、親しみがわきそうですね。
>ダウンロードはこちら
ほかにも、扇の形をしたユニークなものや、季節のモチーフが使われた作品もありますので、お子さんと選んでみてくださいね。
本格的な工作をご自宅で!ペーパークラフト
「八橋蒔絵螺鈿硯箱ペーパークラフトのつくりかた」(画像提供:東京国立博物館)
国宝「八橋蒔絵螺鈿硯箱(やつはしまきえらでんすずりばこ)」をペーパークラフトで作れるコンテンツもあります。
ペーパークラフトの型紙やつくりかたマニュアルのほか、動画でも制作方法を解説しています。お子さんと一緒に、ぜひチャレンジしてみてください。
この作品は、江戸時代の画家・工芸家である尾形光琳(おがたこうりん)の名作として知られています。自然のモチーフを取り入れた巧みなデザインが魅力です。
自分で作ってみると、デザインや色彩などの表現に興味を持つきっかけになるでしょう。博物館を訪れて、実際に作品を見ると新しい発見があるかもしれません。
このように、「みどりのライオン オンライン」では、博物館に行きたくなるような、ワクワクするコンテンツがたくさん公開されています。普段の遊びに取り入れられるものもありますので、まずはご自宅で楽しんでみてはいかがでしょうか。
親子で体験!文化財が身近になる博物館の楽しみ方
この記事では、東京国立博物館の「みどりのライオン」を詳しく紹介しました。
筆者は、未就学児の娘が「みどりのライオン 体験コーナー」で真剣に取り組む様子を見て、年齢に関わらず文化財に興味を持てるのだと分かりました。また、娘はくり返し「博物館に行きたい」とリクエストしており、東京国立博物館に行くのを心待ちにしています。
「みどりのライオン」の魅力のひとつは、お子さんが自ら興味を持って学べる点です。
「子どもが関心を示してくれるか不安」
「作品を分かりやすく説明する自信がない」
という親御さんのサポートをしてくれるコンテンツが充実しています。
お子さんがワクワクする気持ちを大切にしながら、文化財に親しめる「みどりのライオン」。ぜひご家族で東京国立博物館を楽しんでみてくださいね。
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アートと文化のライター。アーティストのサポートや、行政の文化事業に関わった経験を活かし、インタビューや展覧会レポートを執筆しています。難しく考えがちなアートを解きほぐし、「アートって面白い」と感じていただける記事を作成します。
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