EVENT
2025.8.6
【マイセン】泉屋博古館東京で『特別展 巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語(メルヘン)—現代マイセンの磁器芸術―』開催
ヨーロッパで初めて硬質磁器を生んだドイツの名窯「マイセン」。品質の高さに加え、時代の先端をゆくデザインで、300年以上にわたって世界の人々の心をときめかせてきました。
長い歴史を持つマイセンですが、現代でも進化し続けていることをご存知でしょうか?
華麗なる現代マイセンに触れられる展覧会『特別展 巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語(メルヘン)—現代マイセンの磁器芸術―』が、泉屋博古館東京にて開幕します。会期は8月30日(土)〜11月3日(月・祝)です。
《サマーナイト》ティーサービス マイセン 1974年頃~ 個人蔵 装飾:ハインツ・ヴェルナー 器形:ルードヴィッヒ・ツェプナー
ラウンドケーキプレート《アラビアンナイト》コーヒーサービスより マイセン 1967年頃~ 個人蔵 装飾:ハインツ・ヴェルナー 器形:ルードヴィッヒ・ツェプナー
ハインツ・ヴェルナー(1928-2019)は、現代マイセンを代表する絵付師のひとり。《アラビアンナイト》《サマーナイト》などの代表作がよく知られ、今も高い人気を誇ります。マイセンの食器を取り扱う日本のお店でも、ヴェルナー特集が組まれることがあるほどです。
《ほら吹き男爵》コーヒーサービス マイセン 1964年頃~ 個人蔵 装飾:ハインツ・ヴェルナー 器形:エアハルト・グローサー、アレクサンダー・シュトルク、 ルードヴィッヒ・ツェプナーの共作
本展では、ヴェルナーが創造した名作を中心に、マイセンの磁器芸術を紹介。実物をじっくり堪能できる貴重な機会なので、マイセンのファンはもちろん、素敵なものを眺めて癒されたい人にもおすすめです。
見どころ①名窯マイセンの誕生から現在
《色絵龍虎図輪花皿》 肥前・有田窯 江戸時代中期(17世紀-18世紀)愛知県陶磁美術館蔵
「マイセン」が誕生する少し前、17世紀のヨーロッパでは中国や日本の磁器が大流行していました。薄くて硬い純白の磁器は、当時のヨーロッパでは製造できないものだったのです。
特に熱心に東洋磁器を蒐集していたのが、ドイツのザクセン選帝侯、フリードリッヒ・アウグスト1世(通称:アウグスト強王、1670-1733)です。アウグスト軍の兵士600人とプロイセン王が所有していた中国の壷151個を交換した、という逸話を残すほどの陶酔っぷりでした。
アウグスト強王は錬金術師に研究させ、ついに1709年、白磁の製法を解明。彼の命によって、ドイツ・ザクセン州の古都マイセンに王立磁器製作所が設立されたのが、1710年のことでした。
そして、17世紀の佐賀県・有田で生産された「柿右衛門様式」の色絵を愛する強王の願いが叶い、マイセンでも色絵つきの硬質磁器が作られるように。マイセンの原点とも言える「柿右衛門様式」の作品も、本展で展示されます。
創立から250年が経った1960年、マイセン磁器製作所は、5人のアーティストによって新たな時代を迎えました。そのアーティストのひとりが、ハインツ・ヴェルナーです。
見どころ②夢があふれるハインツ・ヴェルナーの磁器
ティターニアとツェットル《サマーナイト》ティーサービスより マイセン 1974年頃~ 個人蔵 装飾:ハインツ・ヴェルナー 器形:ルードヴィッヒ・ツェプナー
戦後の混乱を経て、再び立ち上がったマイセンが掲げたテーマは「生きる喜びの表現」でした。1960年代には、絵付師や造形師、彫塑家の5人のアーティストによる「芸術の発展を目指すグループ」が発足。一員であるヴェルナーは、観る者を夢の世界へと誘うメルヘンなデザインを考案し、戦後のマイセンの方向を決定づけました。
《アラビアンナイト》コーヒーサービス マイセン 1967年頃~ 個人蔵 装飾:ハインツ・ヴェルナー 器形:ルードヴィッヒ・ツェプナー
本展では、シェイクスピアの作品『真夏の夜の夢』をテーマにした《サマーナイト》や、『千夜一夜物語』に着想した《アラビアンナイト》、さらに《森の狩り》《ブルーオーキッド》などのシリーズも展示。幻想的な世界を表現した名品とともに、ウニカート(1点物)として制作されたプラーク(陶板画)なども紹介され、ヴェルナーと現代マイセンの豊かな芸術性を見て取ることができます。
見どころ③受け継がれるヴェルナーの遺志
《ドラゴンメロディ》コーヒーサービス 、プレート マイセン 1994年 個人蔵 装飾:ハインツ・ヴェルナー 器形:ルードヴィッヒ・ツェプナー
1980年代には具象を超え、色彩と線や面が共演するデザインを打ち出したヴェルナー。1990年代に入ると、若い芸術家たちの育成に心血を注ぐものの、新たな挑戦をやめることはありませんでした。
1993年に65歳で定年退職してからも創造へのエネルギーは衰えず、翌年には《ドラゴンメロディー》を発表。さらに1998年には、後輩の芸術家たちと新作を発表しました。本展では彼の遺志を継ぐアーティストたちも紹介されます。
展覧会概要
巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語(メルヘン)—現代マイセンの磁器芸術―
特別展 巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語(メルヘン)—現代マイセンの磁器芸術―
会場:泉屋博古館東京
〒106-0032 東京都港区六本木1丁目5番地1号
会期:2025年8月30日(土)〜2025年11月3日(月・祝)
開館時間:11:00〜18:00
※金曜日は19:00まで開館 ※最終入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日、9月16日・10月14日(火) ※9/15・10/13・11/3(月・祝)は開館
美術館公式サイト:
泉屋博古館東京
画像ギャラリー
このライターの書いた記事
-

STUDY
2026.01.08
2026年は午(うま)年!「馬」の絵画特集〜ダ・ヴィンチから北斎まで〜
明菜
-

EVENT
2025.12.29
【東京・上野】『NHK日曜美術館50年展』セザンヌやムンク、岡本太郎など100点以上が集結
明菜
-

STUDY
2025.12.24
下村観山とはどんな画家?西洋美術と日本美術を融合させた明治の日本画家
明菜
-

EVENT
2025.11.17
【現地取材】大阪市立美術館『天空のアトラス イタリア館の至宝』ダ・ヴィンチの手稿も日本初公開!
明菜
-

LIFE
2025.11.03
【絵画が動く】世界初公開『Moving Paintings』福田美術館とGoogle Arts & Cultureがコラボ
明菜
-

EVENT
2025.10.30
あべのハルカス美術館『密やかな美 小村雪岱のすべて』江戸情緒の香るモダンな世界観に注目
明菜

美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。
美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。
明菜さんの記事一覧はこちら
