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2026.4.28
【奈良国立博物館】特別展『南都仏画―よみがえる奈良天平の美―』史上初の大展覧会!ボストン美術館から里帰りも
日本の仏教美術の原点にして頂点を示す、奈良に生まれた「南都仏画(なんとぶつが)」。このたび、南都仏画を特集する史上初の大展覧会の開催が決定しました。
目次
国宝 十一面観音像 平安時代(12世紀) 奈良国立博物館 [展示期間:7月18日~8月16日]
奈良国立博物館で開催される特別展『南都仏画―よみがえる奈良天平の美―』は、米国・ボストン美術館の国際共同企画。約20年の構想を経たそうで、2026年、ついに展覧会が実現します。
本展の会期は7月18日(土)~9月13日(日)。ボストン美術館が所蔵する南都ゆかりの仏画の優品も一挙に里帰りし、国内外の仏画を堪能できる貴重な機会となるので、ぜひ足をお運びください。
見どころ①国宝・重要文化財も多数!南都仏画をめぐる史上初の大展覧会
法隆寺金堂壁画第6号壁 模写 昭和15~26年(1940~1951)入江波光ほか筆 奈良・法隆寺 [展示期間:8月18日~9月13日]
都が平安京に移ってからも仏教美術の都とされた奈良は、京都から見て南に位置するため「南都」と呼ばれていました。本展では、南都の絵仏師(えぶっし)たちによって連綿と描き継がれてきた仏教絵画を「南都仏画」と総称して紹介します。
南都仏教が誕生した奈良時代には、後世まで規範とされていく仏画の様式が確立。以降、時代の流れや最新の技法を取り込んで発展しつつ、南都仏画は力強い線描と明快な彩色によって理想的なほとけの姿を描き出してきました。
国宝 普賢菩薩像 平安時代(12世紀) 東京国立博物館 [展示期間:8月18日~9月13日] Image: TNM Image Archives
本展は、国内外の仏画・仏像を通して南都仏教の歴史をめぐる史上初の試みとなるそう。焼損前の姿を伝える法隆寺金堂壁画の模写や、国宝《普賢菩薩像》をはじめ、一生に一度は見ておきたい日本の歴史・文化を象徴する作品が揃い踏みします。
見どころ②世界最高峰を誇るボストン美術館のコレクションが里帰り!
法相曼荼羅 平安~鎌倉時代(12世紀) ボストン美術館 [通期展示] Fenollosa-Weld Collection Photograph © Museum of Fine Arts, Boston
アメリカのボストン美術館は仏画のみならず、質・量ともに充実した日本美術のコレクションで知られています。しかし、なぜ日本の美術品がアメリカに? という疑問も湧いてきませんか?
ときは明治期、急激な西欧化の煽りを受けて日本の伝統的な美術は危機に瀕していました。画家たちも自信を失くしていたとき、日本美術の真価を再発見したのが、東京大学で哲学の教鞭を執ったアメリカの哲学者・美術史学者アーネスト・フェノロサと、助手を務めた岡倉天心です。彼らに勇気づけられ、活動を続けられた日本画家も少なくありません。
十六羅漢図 鎌倉時代(13世紀) ボストン美術館 [通期展示] William Sturgis Bigelow Collection Photograph © Museum of Fine Arts, Boston
フェノロサは帰国後、ボストン美術館東洋部長に就任。調査の過程で収集してきた名品を寄贈し、日本美術の精華を世界に紹介しました。天心ものちに渡米して同館の中国・日本美術部長に就任し、日本美術コレクションを体系化。このような経緯があり、ボストン美術館は現在、海外では最大の日本美術コレクションを誇る美術館となっています。
釈迦霊鷲山説法図(法華堂根本曼陀羅) 奈良時代(8世紀) ボストン美術館 [通期展示] William Sturgis Bigelow Collection Photograph © Museum of Fine Arts, Boston
明治期の神仏分離政策により、存続の危機に陥っていた奈良の仏教美術を救ったのも彼らです。フェノロサと天心は法隆寺金堂壁画や薬師寺吉祥天像などを「日本美術の古典」として高く評価。こうして奈良ゆかりの名品たちが数多く見出され、《法華堂根本曼陀羅》などの作品がボストン美術館に収蔵される運びとなりました。
春日鹿曼荼羅 南北朝時代(14世紀) ボストン美術館 [通期展示] William Sturgis Bigelow Collection Photograph © Museum of Fine Arts, Boston
本展にあわせ、同館が所蔵する南都ゆかりの仏画の優品が一挙に里帰り。国内、それも「南都(奈良)」という地で作品を見られる、貴重な機会となっています。
見どころ③まぼろしの名刹・内山永久寺の堂内を彩った名画が一堂に!
国宝 両部大経感得図のうち 龍猛南天鉄塔相承図 平安時代 保延2年(1136) 藤原宗弘筆 大阪・藤田美術館 [展示期間:8月25日~9月13日]
平安時代に創建された内山永久寺は壮麗な大伽藍を有し、かつては「西の日光」とも呼ばれる南都の大寺院でした。明治初年の神仏分離令を経て廃絶したものの、仏画や仏像など寺宝の一部は、今も近隣の社寺や国内外の美術館・博物館で保管されています。
本展では、ボストン美術館が所蔵する内山永久寺旧蔵の名画をはじめ、堂内を彩った作品の数々を一堂に展示。内山永久寺という名刹を舞台に、南都の仏師や絵仏師たちが競演して生み出した芸術が紹介されます。
四天王像のうち 増長天 鎌倉時代 建長5年(1253)頃 重命筆 ボストン美術館 [通期展示] Fenollosa-Weld Collection Photograph © Museum of Fine Arts, Boston
多数の所蔵先から作品が集結し、一度に見られるのは展覧会だからこそ。時空を超えて集まった作品に触れ、南都仏画の魅力に浸る一日を作ってみてはいかがでしょうか?
展覧会情報
ボストン美術館共同企画
特別展「南都仏画―よみがえる奈良天平の美―」
会場:奈良国立博物館 東西新館
会期:2026年7月18日(土)~9月13日(日)
○前期:7月18日(土)~8月16日(日)
○後期:8月18日(火)~9月13日(日)
※会期中、一部の作品は展示替えあり
休館日:毎週月曜日、7月21日(火)
※ただし、7月20日(月・祝)、8月10日(月)は開館
開館時間:午前9時30分~午後5時
※毎週土曜日は午後7時まで
※8月5日(水)~7日(金)、8月9日(日)~14日(金)は午後6時まで
※入館は閉館の30分前まで
展覧会サイト:特別展「南都仏画―よみがえる奈良天平の美―」
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美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。
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