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2026.5.22

河鍋暁斎の初公開作品65点が一堂に。加島美術で「櫂 舟三郎コレクション」展開催

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幕末から明治にかけて活躍し、“画鬼”とも称された絵師・河鍋暁斎。その圧倒的な画技と自由奔放な発想に迫る展覧会「櫂 舟三郎コレクション 暁斎が描いた浮世のことども ―肉筆画と版画でたどるその画業―」が、2026年6月13日(土)から6月28日(日)まで、東京・京橋の加島美術にて開催されます。

本展では、国内屈指の河鍋暁斎コレクター・研究者である藤田昇氏が約40年にわたり蒐集・研究を重ねてきた「櫂 舟三郎コレクション」より、肉筆画・版画あわせて167点を展示。そのうち65点が東京で初公開となります。

観覧は無料。さらに、本展は日本美術の普及を目的とした展覧会として開催され、作品販売は行われません。

「櫂 舟三郎コレクション 暁斎が描いた浮世のことども ―肉筆画と版画でたどるその画業―」「櫂 舟三郎コレクション 暁斎が描いた浮世のことども ―肉筆画と版画でたどるその画業―」

“画鬼”河鍋暁斎の多彩な表現を、肉筆画と版画からたどる

河鍋暁斎河鍋暁斎

河鍋暁斎は、1831年に生まれ、幕末から明治という激動の時代を生きた絵師です。幼少期には浮世絵師・歌川国芳に学び、その後、11歳で駿河台狩野家の画塾に入門。狩野派の伝統を受け継ぎながらも、流派にとらわれることなく、浮世絵、戯画、風刺画、花鳥画、仏画など、多様なジャンルに才能を発揮しました。

暁斎の魅力は、たしかな古典的画力と、型にはまらないユーモアが同居しているところにあります。緻密で品格ある肉筆画を描いたかと思えば、庶民の笑いや世相を映す版画では、軽やかで鋭い観察眼を見せる。まさに、時代の空気を自在に描き分けた絵師といえるでしょう。

本展では「美とモード」「花鳥風月」「戯画・狂画・諷刺画」など全14のテーマに沿って、肉筆画と版画をあわせて紹介。暁斎芸術を一面的に捉えるのではなく、優美さ、技巧、笑い、風刺、時代性といった複数の視点から、その画業の全体像に迫ります。

65点の初公開作品を展示。全国初公開《大津絵戯画》も

大津絵戯画大津絵戯画

本展の大きな見どころのひとつが、65点にのぼる初公開作品です。

出展される肉筆画60点のうち35点、版画94点のうち30点が東京で初公開。これまで広く紹介される機会の少なかった作品を通して、暁斎の知られざる表現世界に触れることができます。

なかでも注目したいのが、全国初公開となる《大津絵戯画》。画工が手がけた大津絵から念仏鬼が現れるという名工譚を題材にした作品で、暁斎らしい奇想と物語性が感じられる一作です。

新発見の肉筆画《鴛鴦図》から見る、暁斎初期の画風

鴛鴦図鴛鴦図

本展では、新たに発見された肉筆画《鴛鴦図》も全国初公開されます。

暁斎は生涯に数千点もの作品を残したともいわれていますが、20代前半の肉筆画は現存数が極めて少なく、その初期画業にはいまだ不明な点が多く残されています。

《鴛鴦図》は、20代前半に描かれたと推測される貴重な作品です。江戸狩野派の画風を色濃く残しており、後年の自在で大胆な表現へとつながる、若き暁斎の出発点をうかがうことができます。

“画鬼”と呼ばれるほど奔放な表現で知られる暁斎にも、狩野派の伝統を丹念に学んだ時期があった。その事実を実感できる点でも、本作は重要な意味を持っています。

秘蔵の名品《惺々暁斎団扇絵聚画帖》を紹介

惺々暁斎団扇絵聚画帖/神功皇后 武内宿禰 見立端午節句人形図惺々暁斎団扇絵聚画帖/神功皇后 武内宿禰 見立端午節句人形図

もうひとつ見逃せないのが、肉筆の団扇絵15枚を収めた画帖《惺々暁斎団扇絵聚画帖》です。

本作は、上質な画材を惜しみなく用い、細部まで描き込まれた極彩色の作品。現存する肉筆団扇絵の画帖としては他に例がないとされ、2019年にサントリー美術館で開催された「河鍋暁斎 その手に描けぬものなし」展でも名品として紹介されました。

団扇絵という身近な形式の中に、暁斎の技巧と美意識が凝縮されている点が大きな魅力です。日常に近い支持体でありながら、そこに注ぎ込まれた描写は極めて濃密。暁斎がいかに幅広い表現形式に本気で向き合っていたかを示す作品といえるでしょう。

このほか、《神功皇后 武内宿禰 見立端午節句人形図》《雪中鷲兎図》《巨勢金岡作画図》など、暁斎の深い教養と卓越した画技を味わえる作品が並びます。

ユーモアと風刺が光る版画作品94点

新板かげづくし/狂斎百圖新板かげづくし/狂斎百圖

暁斎の画業を語るうえで、版画作品も欠かせません。
本展では、浮世絵や版本を含む版画作品94点を展示。戯画や狂画、風刺画など、暁斎ならではのユーモアに満ちた作品群をまとめて鑑賞できます。

たとえば、欧米列強を揶揄したとされる《新板かげづくし》や、ことわざを題材にした《狂斎百圖》などには、社会を見つめる鋭い目と、人間味あふれる笑いが表れています。

暁斎の版画は、単なる娯楽ではありません。そこには、当時の社会情勢、人々の価値観、暮らしの中の関心や不安が映し出されています。肉筆画の技巧と、版画の軽やかさ。その両方を比較しながら見ることで、暁斎という絵師の奥行きがより立体的に浮かび上がります。

167点すべてを収録した展覧会図録も販売

展覧会図録展覧会図録

本展の開催を記念し、展示作品全167点を収録した図録も販売されます。

図録には全作品に藤田昇氏による解説が付され、作品の見どころや背景をより深く知ることができます。年譜、署名、印章の一覧も掲載され、鑑賞ガイドとしてだけでなく、資料性の高い一冊となっています。

仕様は176ページ、全カラー。販売価格は1,000円(税込)です。販売方法は加島美術店頭およびオンライン販売で、販売開始日は加島美術の公式HPおよびSNSにて案内されます。

コレクター・藤田昇氏と巡るギャラリーツアーも開催

会期中には、藤田昇氏による展示解説付きギャラリーツアーも実施されます。

藤田氏は1988年頃より河鍋暁斎の肉筆作品を中心に蒐集を開始し、約40年にわたり研究を重ねてきた人物。「櫂 舟三郎コレクション」という名称は、暁斎の幼名「甲斐周三郎」へのオマージュとして名付けられました。

ギャラリーツアーでは、作品の背景や見どころ、時代背景、コレクション形成の経緯などを、藤田氏本人の案内で聞くことができます。定員は各回10名、所要時間は約30分。参加無料、事前予約制です。

河鍋暁斎の再評価につながる貴重な機会

狩野派の伝統を受け継いだ正統派の絵師でありながら、庶民の笑いや時代の矛盾をも鋭く描き出した河鍋暁斎。

本展は、その多面的な画業を、肉筆画と版画の両面からたどることができる貴重な機会です。初公開作品や新発見作品、秘蔵の名品を通して見えてくるのは、単なる“奇才”としての暁斎ではなく、時代と人間を描き続けた表現者としての姿です。

日本美術に親しみのある方はもちろん、暁斎の作品を初めて見る方にとっても、その自由で力強い表現に出会える展覧会となるでしょう。

開催概要

<展覧会名>
櫂 舟三郎コレクション 暁斎が描いた浮世のことども
―肉筆画と版画でたどるその画業―

<会期>
2026年6月13日(土)〜6月28日(日)

<営業時間>
10:00〜18:00

<会場>
加島美術
〒104-0031 東京都中央区京橋3-3-2

<出展作品>
167点

<主催>
加島美術

<観覧料>
無料
その他
会期中無休、販売無
※会場スペースの都合により、会期中に一部展示作品の入れ替えを行う場合があります。

<公式Webサイト>
https://www.kashima-arts.co.jp/exhibitions/kaisyuzaburo_kyosai/

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イロハニアート編集部

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