EVENT
2022.8.10
私たちの魂が求める戦う芸術『展覧会 岡本太郎』大阪中之島美術館にて開催中
「芸術は爆発だ」でお馴染みの、日本を代表する芸術家、岡本太郎(1911-1996)。史上最も大きな規模と言える岡本太郎の大回顧展が、大阪中之島美術館で10月2日まで開催されています。本展は東京と愛知にも巡回予定です。
実は、筆者は岡本太郎の大ファン。大学院生時代には「太陽の塔モノマネ」という一発芸をよく披露したものです。
そんな岡本太郎大好きな人はもちろん、「岡本太郎ってどんな人?」という初心者さんも、岡本芸術の圧倒的なパワーに引き込まれてしまうのが本展。約300点という膨大な作品が所せましと展示され、岡本太郎の凄さ、カッコよさを実感できる内容となっていました!
本展の見どころについて、美術ライターの明菜が紹介していきます。
常に戦っていた岡本太郎
本展では、最初期から晩年までの作品が網羅的に展示されています。絵画は概ね時系列での展示となるため、画業の変化が分かりやすい構成でした。
岡本太郎の生涯は「戦い」であったと思います。戦後の停滞した画壇に向けて「絵画の石器時代は終わった。新しい芸術は岡本太郎から始まる」と宣言したことは、その象徴たる出来事です。
岡本太郎は、常に権威と戦い、新しい芸術を模索しました。自分の目の前に現れる壁に真っ向から立ち向かい、絵画や彫刻などの表現によって自分を表現してきました。
まさに「爆発」としか言いようがないほどのエネルギーは、作品を一目見ただけでも伝わってくるはずです。一体、何を食べればこれほどの体力と熱量で絵を描けるのでしょうか……。
そうして権威と戦っていると、いつしか自分が権威とされ、戦う相手はいなくなってしまいます。岡本太郎は、孤独を貫き、自分と戦うことを選びました。
岡本太郎は、「強烈に生きることは常に死を前提にしている。死という最もきびしい運命と直面して、はじめていのちが奮い立つのだ」と自著『自分の中に毒を持て』で書きました。その言葉のとおり、年を経るごとに作品はどんどん太く激しくなっていきます。死ぬまで戦い続けて命を燃やし続けた芸術家に、私は学ぶべきところが多いような気がしてなりません。
新たに見つかった岡本太郎作と推定される作品
戦前に渡仏した岡本太郎ですが、当時の作品はすべて焼失し、現存していません。
と、されてきたのですが、最近になって戦前に岡本太郎が描いたと推定される作品がパリで3点見つかりました。3点とも、本展でお披露目となります。
代表作の《明日の神話》やよく知られている《痛ましき腕》とは印象が大いに異なる作品群です。ですが、私としては「ああ、フランスっぽい……」と感じました。戦後に描かれた《赤い兎》に通じる作風です。
パリ時代、つまり初期の岡本太郎は、抽象絵画やシュルレアリスムなどの影響を受けていました。日本とは美術の主流が違ったので、帰国してからの作風とかけ離れているのも頷けます。パリで吸収した芸術のアウトプットとして、貴重な作例だと感じました。
【まとめ】今こそ必要な岡本太郎のパワー
絵画や彫刻だけでなく、パブリックアートにプロダクトデザイン、執筆の仕事も手掛けた岡本太郎。本職は何なのかと聞かれると、「人間―全存在として猛烈に生きる人間だ」と答えました。
岡本太郎は常に何かと戦い、人間を見つめ直してきた芸術家です。漠然とした不安が漂う現代社会。私たちの魂には岡本太郎のパワーが必要です。
展覧会情報
展覧会 岡本太郎
会期:2022年7月23日(土)~10月2日(日)
休館日:月曜日(9月19日を除く)
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
会場:大阪中之島美術館 4階展示室
https://taro2022.jp/
【巡回予定】
・東京都美術館(2022年10月18日~12月28日)
・愛知県美術館(2023年1月14日~3月14日)
画像ギャラリー
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美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。
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