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STUDY

2023.11.6

【TwitterSpaceArtTalk】 Avery Singer(エイヴリー・シンガー,1987-) 2023年8月2日放送分

TwitterSpaceArtTalkは、Twitterのスペース機能内で私現代美術家のMasakiHaginoを語り手として、東京美術館巡り(@tokyoartmuseum)さん、そしてスポンサーにイロハニアートさん(https://irohani.art/)を迎えて、世界中の現代アーティストを紹介、解説する第2第4水曜日21時より開催している1時間番組です。

アーカイブはそのままTwitter上でも聞くことができますしPodcast「ArtTalk-アートトーク-」の方でもアップ予定です。
この記事では、番組内で挙げる画像や、情報の物置場としてまずは公開しています。
記事まとめはイロハニアート(https://irohani.art/)でもアップ予定です。

2023年8月2日の今晩はAvery Singerをご紹介します。
Twitterアカウントをお持ちでない方も下記URLから直接聞くことができます。本記事と合わせてご拝聴ください。

X:𝘔𝘢𝘴𝘢𝘬𝘪 𝘏𝘢𝘨𝘪𝘯𝘰 / 萩野真輝

Avery Singer 1987-

パリ, 2021年7月1日 /PRNewswire/ --
Avery Singerの作品を取り巻く国際的な熱狂は、「希少性」というよりも、過去 3 年間に彼女の市場 (プライマリとセカンダリの両方) が持続的なペースで盛り上がりを見せてきたことと関係があります。

一流のギャラリー (Kraupa-Tuskany Zeidler、Gavin Brown、Hauser & Wirth) での展示や定期的なオークションの結果、この若いアメリカ人画家の作品の価格は、香港 (2021 年 5 月)、ニューヨーク (6 月) でセンセーショナルなレベルまで上昇しました。

Artmarket.com およびその Artprice 部門の社長 兼 創設者であるティエリー・エールマン氏は次のように述べています。

「Avery Singer は、金融市場におけるマイナス金利のようなパラダイムシフトをアートの世界にもたらしました。数年後には、現代アートの新しいスターが、偉大な巨匠よりもはるかに高価になる可能性があります。作品の希少性も、美術史における芸術家の位置付けも、今日では目新しさの感覚やそれが引き起こす熱狂ほど重要ではないようです。」

2017 年 1 月 1 日以降、Avery Singer の絵画がすでに合計 18 点オークションにかけられ、落札されなかったのは 2 点だけでした。
予想通り、彼女の超大型の作品が最も人気があります。

2018 年 5 月、Sotheby's はニューヨークでキャンバスの「Fellow Travelers, Flaming Creatures 」 (2013 年) を販売しました。
予想は 60,000 ~ 80,000 ドルでしたが、実際は 735,000 ドルに達しました。

2021年5月21日、香港のクリスティーズで「Dancers Around An Effigy To Modernism 」 (2013) が 300 万ドル以上で落札されたとき、Avery Singer のキャリアはまったく異なるステージに移行しました。
その 1 か月後の 6 月 23 日には、ニューヨークの Phillips で彼女の「Untitled」 (2018) 」が 410 万ドル (手数料込み) で落札されました。

これは、35 歳以下のアーティストのオークションでは、歴代 2 位の結果です。
絶対的な記録は、Raqib Shaw の「Garden of Earthly Delights III」 (2003) で、2007 年 10 月、Shaw が 33 歳のときにロンドンの Sotheby's で 550 万ドルの値をつけました。
しかし、Shaw の作品はその後、オークションでそこまでのレベルに達することはありませんでした。

35 歳という運命的な年齢

Amedeo Modigliani が亡くなったとき、35 歳でした。
この年齢は、芸術家が最初の芸術的成熟を迎えようとする時期です。
彼の「若かりし頃」の傑作は、今では数百万ドルの価値がありますが、それが実現するには、1920 年の彼の死後、何年もかかりました。

35 歳の Avery Singer はすでに重要な個展を開催しており、特に 2016 年にアムステルダム市立美術館、2019 年にケルンのルートヴィヒ美術館で開催されたものは有名です。
しかし、彼女が 26 歳のときに描いたキャンバスに付けられた 7 桁の価値 (2013 年) は、極めて「時期尚早」と思われます。

ヨーロッパの優れた美術館に認められ、アングロサクソンのメガギャラリーに支持されている Avery Singer は、欧米やアジアの偉大なコレクターたちを魅了しています。
そして、目新しさを求めるグローバル化したアートマーケットで利益を得るために、大手オークションハウスは彼女の作品の価格を危険なまでに引き上げています。

引用元: Artmarket.com: 34 歳という若さで、Avery Singer がオークションで 400 万ドルを達成しました。

30代前半でオークションでいきなり数千万ー数億円の値が付けられている。値段はもちろん素晴らしいが、作家としてはこれはあまりいいことではない。セカンダリーの値段が吊り上げられてしまったことにより、プライマリー(新作など)の値段設定がキャリアにそぐわなくなってしまうからだ。

彼女本人がこのことをどう捉えているのかは分かりかねるが、今後の活動に注目のアーティストだ。


Fellow Travelers, Flaming Creatures

acrylic on canvas
218.4 x 335.3 cm. (86 x 132 in.)
2013
(#6) Avery Singer

参照: (#6) Avery Singer

彼女の代名詞とも言えるこのシリーズでは、3Dモデリングソフトでレンダリングしたイメージをキャンバスに投影し、マスキングテープとエアブラシで着彩する技法がメインに用いられている。

デペイズマン的とも取れるような物体の不自然な、あるいは独特な配置はデジタルを経由することでより際立ち、初見同士の物体の新しい関係性が見て取れる。こうしてデジタルとアナログを行き来することで、絵画そのものの物質として、もしくは非物質としての価値を問いているようにも見える。

多くの人が恐らく、この「デジタルとアナログの行き来」で最初にイメージするのは、ドイツのAlbert Oehlen(アルバート・オーレン、1954)だろう。

Albert Oehlen | Computer Painting (1998) | Artsy
From Los Angeles County Museum of Art, Albert Oehlen, Compute
参照: Albert Oehlen | Computer Painting (1998) | Artsy

1990年代初期に購入したコンピュータを用いて、イメージを生成。それをシルクスクリーンでキャンバスに印刷し、さらに手作業で加筆を加えたこの"Computer Painting"は、当時の最新テクノロジーを用いた、「デジタルとアナログの絵画表現」に疑問を投げかけた作品だ。

そしてその20年後、シンガーの作品はサザビーズ・ニューヨークのセールで735,000ドルという驚くべき値をつけたのだ。そして2022年上半期の市場ランキングでは女性40歳以下オークション総額$9,170,591で世界5位となった。

The Contemporary Art Market Report 2022

参照: The Contemporary Art Market Report 2022

Avery Singer, Happening, 2014
Avery Singer Happening, 2014 acrylic on canvas 254 x 300 x 4.

参照: Avery Singer, Happening, 2014


Self-portrait (summer 2018), 2018

Acrylic on canvas stretched over wood panel
241.9 x 216.5 x 5.1 cm
95 1/4 x 85 1/4 x 2 inches

Self-portrait (summer 2018), 2018 by Avery Singer
View Self-portrait (summer 2018), 2018 by Avery Singer at Hau
ocula.com
参照: Self-portrait (summer 2018), 2018 by Avery Singer

2018年の作品では一転してセルフポートレートの作品が発表された。薄めた白の絵具や液体ゴムでのレイヤーが見て取れるが、結露した窓に落書きをする情景が浮かぶが、彼女の指のしぐさや、右下のバッテリーの件を加味すると、スマホのディスプレイの内側から覗いているようなイメージ(セルフィー)を連想させる。

さらに美術史の内容を多く取り入れてきた彼女のこの作品は、どこかヴィーナスなどの女神像をも連想させる。


Schultze Projects #2 Untitled,2019

Schultze Projects #2 Avery Singer | Exhibition | ArtFacts
artfacts.net
参照: Schultze Projects #2 Avery Singer | Exhibition | ArtFacts

ドイツ・ケルンのルードヴィヒ美術館の招待プロジェクトでは、第二回目にシンガーが招待された。シンガーが世界中に名を轟かせるさらなる一手になったのは言うまでもない。7つのパートからなるこの作品は、長さ17メートル、高さ3.5メートルを超える。

日本から取り寄せたとされる、エアブラシの大型機械を使って作られた作品は、これまで手動でエアブラシを使って、デジタルとアナログを対比させてきた過去の作品と対比的に、アナログな装置(エアブラシ)を自動で動かす機械という絶妙なポイントを指すような技法が面白い。

“When you look at a painting, you are perceiving people’s decision-making, you are seeing process behind how things are made or thought of or realized, so the way you make a painting carries with it most of its meaning.”

“絵を見るということは、人の意思決定をみるということである。
つまり、物事がどのように作られ、考えられ、実現されているのかというプロセスを見ているということであり、絵の生成方法はその意味のほとんどを担っている”

引用元: エイヴリー・シンガー (Avery Singer.1987~) | MERZ

Masaki Hagino
Contemporary painting artist based and work in Germany and Japan .
https://linktr.ee/masakihagino


Web : https//masakihagino.com
Instagram : @masakihagino_art
twitter : @masakihaginoart
Podcast : ART TALK Podcast
Discord : ART TALK Community
Opensea : @MasakiHagino

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Masaki Hagino

Masaki Hagino

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Contemporary Artist / 現代美術家。 Diploma(MA) at Burg Giebichenstein University of Arts Halle(2019、ドイツ)現在は日本とドイツを中心に世界中で活動を行う。

Contemporary Artist / 現代美術家。 Diploma(MA) at Burg Giebichenstein University of Arts Halle(2019、ドイツ)現在は日本とドイツを中心に世界中で活動を行う。

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