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2023.2.2
イタリア発のロボット彫刻家「ROBOTOR」って?特徴を詳しく解説
芸術の国イタリアで伝統と技術を活用した高度なロボット彫刻家が発明されたのをご存じでしょうか? 「ROBOTOR」と呼ばれるこのロボットは、簡単な操作で高度な彫刻を制作でき、注目を集めています。
この記事では、イタリアの大学院で美術史を専攻する筆者が、ロボット彫刻家「ROBOTOR」の特徴と用途を詳しく解説します!
「ROBOTOR」はイタリア最大級の大理石採掘場カッラーラ発!
Sailko, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
「ROBOTOR」が開発された街「カッラーラ」は、イタリア国内で最も重要な大理石採掘場がある場所です。
カッラーラでは、山に積もった雪に見える部分が実は大理石! 白く輝くカッラーラの大理石は、「カッラーラ・ビアンコ」として人気を集めました。ルネッサンスに活躍した彫刻家ミケランジェロの作品の多くも、カッラーラから採掘された大理石でできています。
Carrarino at Italian Wikipedia, CC BY 3.0, via Wikimedia Commons
カッラーラの大理石の歴史は古く、古代ローマ時代から神殿建築や巨大彫刻に用いられてきました。長い伝統を持つ石材加工のノウハウを最先端のロボット技術を組み合わせることで、今回の「ROBOTOR」の開発が実現しました。
過酷な彫刻作業を代行できる「ROBOTOR」
彫刻は、実は過酷で危険な作業です。彫刻に用いる大理石などの石は重く硬いため、削って形を作るためにはパワーが必要です。ノミによるケガや石の破損・落下による破壊は石工職人にとっては日常茶飯事で、リスクを冒して石材加工をするのが当たり前でした。
それだけではなく、石は強く削りすぎてしまうと石が割れてしまうため、繊細な力加減の調節が必要です。現在の美術館に残されている彫刻作品の中には、一部が欠損していたり破損を接着した跡があったりするものも多いでしょう。石が衝撃で粉砕してしまうのを避けつつ理想の形にディテールを整形していく作業は、想像を絶する精神力を要します。
そんな危険かつ高度な作業を代わりに担ってくれるのが「ROBOTOR」です。「ROBOTOR」は、切削加工中に飛んでくる大理石などの破片に耐えられるよう、頑丈な構造で設計されています。建築物や巨大彫刻など負担の大きく危険な作業を代行できるため、人間が作業した場合のケガや事故のリスクが回避できます。
「ROBOTOR」はどう操作する?
「ROBOTOR」は、簡単なプログラミングによって作動指示が出せます。プログラミングの基礎知識がある人なら誰でも簡単に操作でき、複雑な作業であっても短時間で完了します。
「ROBOTOR」が切削加工するための速度や力加減は、リアルタイムで調節することが可能です。OR-OSと呼ばれるソフトウェアを活用し、複雑なデザインであってもアーティストが仕上げたかのような作品ができます。
偉大な芸術家が残した作品をデータとして取り込み、それを「ROBOTOR」に設定します。等身大サイズ程度の作品であれば、数日で完成できるほどの作業スピードです。
「ROBOTOR」を巡る議論…アートとはなにか?
Coyau / Wikimedia Commons
革新的な技術の導入は、これまで彫刻や建築作業で危険にさらされてきた芸術家や石工職人を守る意味もあります。しかし、イタリアの現役の芸術家や石工職人の間では、「ROBOTOR」を巡って意見が分かれているようです。
あるフィレンツェの大聖堂彫刻家は、機械に頼って作品を作っているうちに伝統ある「彫刻技術」が失われてしまうことを危惧しています。また、芸術は心に浮かんだアイデアを手作業で形にする活動でなければならないという考え方もあります。
しかし一方で、すでに現代の彫刻の現場においては、部分的な機械の使用が受け入れられている現状です。力が必要な作業や時間がかかる作業を機械に任せるのはOKなのに、彫刻全体を機械で作るのはNGなのか? 論点は多岐にわたり、それぞれの異なる視点から意見が寄せられています。
まとめ
「ROBOTOR」はイタリアの街カッラーラがこれまで大切にしてきた石材加工の伝統と、新しい技術革新により生まれた彫刻ロボットです。芸術活動への応用には様々な意見があり、現在でも議論は続いています。あなたは、「ROBOTOR」についてどう思いましたか? ぜひ周りのアート好きの方と意見交換してみてくださいね。
「ROBOTOR」公式サイト
https://www.robotor.it/
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はな
イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
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