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2026.6.2
【2026年6月のおすすめ展覧会5選】ピカソ、モネ、杉本博司から元禄文化へ。初夏に訪れたい注目展覧会
初夏の訪れとともに、美術館では足を運びたくなる企画が続々と始まります。パブロ・ピカソの芸術をポール・スミスの視点で再構成する異色のピカソ展から、芸術家たちが集った“カフェ”をテーマに近代美術の誕生をたどる展覧会、そして杉本博司の写真作品で構成した大規模個展など、時代も表現も実に様々です。
本記事で紹介する注目の展覧会をチェックして、6月のお出かけの参考にしてみてください。
目次
巨匠ピカソをポール・スミスの視点で楽しむ─かつてない“ピカソ体験”へ|国立新美術館
『ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ』は、パブロ・ピカソの作品世界を、英国を代表するファッションデザイナーであるポール・スミスの視点から再構成する、かつてない展覧会です。2023年にパリ国立ピカソ美術館で開催された「Picasso Celebration: The Collection in a New Light!」をもとにした国際巡回展で、日本では国立新美術館のみで開催されます。
会場では、世界有数のピカソ・コレクションを誇るパリ国立ピカソ美術館の所蔵作品約80点を紹介。「青の時代」の《男の肖像》や、《アルルカンに扮したパウロ》などを通して、初期から晩年に至る創作の軌跡を緩やかにたどります。生涯を通して重要なテーマとした闘牛をモチーフとした作品や、晩年の芸術活動を象徴する一点ものの陶芸作品なども見どころです。
さらに注目したいのが、ポール・スミスによる大胆な会場演出です。セクションごとに異なるコンセプトで構成された空間には、鮮やかな色彩やユーモア、遊び心が散りばめられます。また「ポスターの集積」に着想を得たスミスは、ピカソの膨大なエネルギーを体感できる展示空間を作り上げました。
上海、東京、オークランド、ソウルを巡回する世界規模のプロジェクトとしても注目を集める本展。20世紀美術の巨匠と現代ファッションデザインの感性が時代を超えて交差する、これまでにない“ピカソ体験”をぜひ味わってみてください。
『ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ』 国立新美術館 企画展⽰室2E
開催期間:2026年6月10日(水)〜9月21日(月・祝)
所在地:東京都港区六本木7-22-2
開館時間:10:00~18:00 ※毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
休館日:火曜日。※ただし8月11日(火・祝)は開館、8月12日(水)は休館
観覧料:一般2,400(2,200)円、大学生1,400(1,200)円、 高校生1,000(800)円
※( )内は前売料金
展覧会サイト:『ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ』
カフェから始まる、近代美術史のもうひとつの物語|三菱一号館美術館
ラモン・カザス《マドレーヌ》1892年 油彩、カンヴァス ムンサラット美術館 Museu de Montserrat. Donated by J. Sala Ardiz.
19世紀後半のパリ。芸術家たちはカフェに集って語り合い、ときに議論を交わしながら、新しい芸術を生み出していきました。そうしたカフェを軸に、近代美術誕生のダイナミズムをひもとく『“カフェ”に集う芸術家 ―印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで』が、東京・丸の内の三菱一号館美術館で開催されます。
会場では、エドゥアール・マネや印象派の画家たちをはじめ、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、パブロ・ピカソらによる作品を紹介。街角のカフェやキャバレー、劇場などを舞台に、人々の日常や都市の熱気を描き出した作品の数々から、近代都市パリの息づかいが浮かび上がります。
なかでも注目したいのが、バルセロナの芸術家グループ「クアトラ・ガッツ(四匹の猫)」に関するセクションです。パリの芸術文化に刺激を受けた若き芸術家たちは、バルセロナに同名のカフェを開き、新たな創造の拠点を築きます。若き日のピカソもこの場所へと通い、後の創作へとつながる影響を受けました。
さらに、「カタルーニャのロートレック」とも称される画家ラモン・カザスによる《マドレーヌ》が35年ぶりに来日。赤いドレスの女性を描いた本作では、鏡越しにシャンデリアの灯りや着飾った人々のシルエットが映し出され、パリの華やかなカフェ文化が鮮やかによみがえります。印象派の都市風俗画の系譜を感じさせる作品として、その洗練された空気感に引き込まれます。
サンティアゴ・ルシニョル《カフェ・デ・ザンコエラン》1889-1890年 油彩、カンヴァス ムンサラット美術館 Museu de Montserrat. Donated by J. Sala Ardiz.
『“カフェ”に集う芸術家 ―印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで』 三菱一号館美術館
開催期間:2026年6月13日(土)〜9月23日(水・祝)
※8月4日以降一部作品を展示替えします。
所在地:東京都千代田区丸の内2-6-2
開館時間:10:00~18:00(金曜日、第2水曜日、7/25(土)、9/19(土)~9/23(水・祝)は20:00まで)
※入館は閉館時間の30分前まで
休館日:祝日・振休を除く月曜日。ただし、トークフリーデー(6/29、7/27、8/31)は開館
観覧料:一般2,300円、大学生1,300円、高校生1,000円
展覧会サイト:『“カフェ”に集う芸術家 ―印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで』
杉本博司、約20年ぶりの写真作品で構成する美術館での個展|東京国立近代美術館
杉本博司 《ポコット族》 2025年 ゼラチン・シルバー・プリント 119.4×185.4cm © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi
杉本博司は、写真をはじめ、建築、舞台芸術、書、陶芸、さらには料理にまで表現領域を広げてきた現代美術作家です。その活動の原点にある銀塩写真に焦点を当てた『杉本博司 絶滅写真』が、東京国立近代美術館で開催されます。写真作品で構成される国内美術館での個展としては、2005年の森美術館以来、約20年ぶりとなります。
会場では、〈ジオラマ〉〈海景〉〈劇場〉など初期から現在に至る代表的シリーズ約60点を展示。とりわけ注目したいのが、〈ジオラマ〉や〈海景〉シリーズに加わる初公開の新作です。〈ジオラマ〉では、《ポコット族》などの新作を通して、1975年のシリーズ開始時から構想されていたという人類史をめぐる物語が、半世紀を経て初めて明かされます。
サテライト展示「劇場・海景・スギモトノート」にも注目です。ここでは東京国立近代美術館所蔵の作品とともに、初公開となる「スギモトノート」を展示。撮影時の工程や暗室作業、技術的工夫などが細密に記されたノートからは、杉本の職人的な側面も浮かび上がります。
「デジタル嘘つく、写真嘘つかない」とも語る杉本。約200年の歴史を持つ銀塩写真が終焉を迎えつつあるいま、彼が見つめるのは、単なる技法の変化ではありません。本展では、「絶滅」というテーマを通して、人類の記憶や知覚、そして「見る」という行為そのものの変容を問い直します。
杉本博司 《スタイアライズド・スカルプチャー120[クリスチャン・ディオール、Bar、1947]》 2025年 ゼラチン・シルバー・プリント 149.2×119.4cm © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi
※画像の無断転載を禁じます。
『杉本博司 絶滅写真』 東京国立近代美術館
開催期間:2026年6月16日(火) ~9月13日(日)
所在地:東京都千代田区北の丸公園3-1
開館時間:10:00~17:00(金曜・土曜は10:00~20:00)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし7月20日は開館)、7月21日
入館料:一般2,300円(2,100円)、大学生1,200円(1,000円)、高校生700円(500円)
※( )内は20名以上の団体料金、ならびに前売券料金
展覧会サイト:『杉本博司 絶滅写真』
モネを見る「目」が変わる。現代アートと響き合う『モネ没後100年・開館25周年記念 あたらしい目 ― モネと21世紀のアート』|ポーラ美術館
神奈川県・箱根町のポーラ美術館にて、『モネ没後100年・開館25周年記念 あたらしい目 ― モネと21世紀のアート』が開催されます。会場では、アジア最大規模を誇る同館のモネ・コレクション19点を一挙公開。セーヌ河畔の風景からロンドン、ヴェネツィア、そして〈睡蓮〉連作に至るまで、クロード・モネの画業を初期から晩年まで通覧することができます。
モネ作品を単独で鑑賞するのではなく、現代アートとの対話を通して、新たな視点を導き出していく点も大きな特徴です。国内外18組の現代作家が参加し、「みる」という行為を問い直しながら、モネの絵画に潜む革新性を浮かび上がらせます。展示室だけでなく、ロビーや周囲の森へと広がるインスタレーションなども展開され、箱根の自然環境を取り込んだ空間体験も見どころとなります。
モネ《睡蓮の池》と、フランス人作家ノエミ・グダルによる作品との対話にも注目しましょう。モネが自ら造り上げたジヴェルニーの庭を描いたように、グダルもまた人工的に構築した風景を写真や映像に記録してきました。最新作「デルタ」シリーズでは、3億年前の植生をジオラマのように再現し、今に存在しえない太古の風景を立ち上げます。
この他、ルーカス・アルーダやダニエル・スティーグマン・マングラネら、国際的に注目を集める作家たちを日本の美術館として初めて紹介。さらにフェリックス・ゴンザレス=トレスやロニ・ホーンなど、近年収蔵された現代アート作品も初公開されます。
ノエミ・グダル、展示風景:「And yet it still moves」エーデル・アサンティ、ロンドン、2025年、 撮影:Tom Carter ©Noémie Goudal Courtesy of the artist and Edel Assanti
『モネ没後100年・開館25周年記念 あたらしい目 ― モネと21世紀のアート』 ポーラ美術館
開催期間:2026年6月17日(水)〜2027年4月7日(水)
所在地:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山 1285
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
会期中無休(12月1日は休館)
入館料:大人2,200円、大学・高校生1,700円、中学生以下無料
展覧会サイト:『モネ没後100年・開館25周年記念 あたらしい目 ― モネと21世紀のアート』
江戸の熱気がよみがえる。師宣が描いた「元禄劇場」を歩く|静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)
菱川師宣《見返り美人図》 江戸時代・元禄元~7年(1688~94)頃 ※展示期間:6/27〜7/12 東京国立博物館蔵 Image: TNM Image Archives
静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)にて、『元禄! 師宣劇場 十二ヶ月風俗図巻 大公開』が開催されます。《見返り美人図》で知られる浮世絵の始祖・菱川師宣を中心に、英一蝶や宮川長春らの作品を通して、元禄文化が生み出した華やかな風俗表現の世界をたどります。
本展の中心となるのは、静嘉堂が所蔵する《十二ヶ月風俗図巻》です。雛祭りや花見、端午の節句、盆踊りなど、一年を彩る年中行事のなかで、富裕な武家層の暮らしが活き活きと描き出されています。鮮やかな色彩と精緻な描写、そして豊かな人物表現によって展開される光景は、まるで一幕物の芝居を見ているかのよう。愛らしい子どもたちの姿も多く見られ、師宣作品のなかでも異彩を放っています。
この《十二ヶ月風俗図巻》をはじめ、《見返り美人図》(東京国立博物館蔵)と重要文化財《歌舞伎図屛風》(東京国立博物館蔵)の3つの代表作が夢の競演を果たします。これらを合わせて見ることで、師宣が生み出した江戸の人物像や都市風俗のイメージを立体的に体感できます。
さらに会場では、《四条河原遊楽図屛風》をはじめ、尾形光琳や英一蝶ら元禄を彩った絵師たちの名品も紹介。江戸庶民の活気や賑わいを描き出した師宣の表現が、やがて宮川派へ受け継がれ、さらに江戸後期の「師宣リバイバル」へとつながっていく流れを追うことができます。師宣らが描き出した「元禄劇場」の世界へ、観客のひとりとして足を運んでみてください。
菱川師宣《十二ヶ月風俗図巻》下巻 七月 江戸時代・元禄5~6年(1692~93)頃 ※後期展示 (公財)静嘉堂蔵
『元禄! 師宣劇場 十二ヶ月風俗図巻 大公開』 静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)
開催期間:2026年6月27日(土)~8月23日(日)
[前期]6月27日(土)~7月26日(日)
[後期]7月28日(火)~8月23日(日)
所在地:東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1階
開館時間:10:00〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
※7月3日(金)・10日(金)は師宣劇場【見返り美人図ナイト】!20:00まで開館
※第4水曜 7月22日(水)は20:00まで開館
※8月21日(金)、22日(土)は19:00まで開館
休館日:毎週月曜日(ただし7月20日は開館)、7月21日(火)
入館料:一般1,500円、大高生1000円、中学生以下無料。
美術館サイト:『元禄! 師宣劇場 十二ヶ月風俗図巻 大公開』
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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
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